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「犬…ちゃん……骸くん…」


自然と2人の名前を呟いてしまった。
やばい。そう思ったら勝手に体が走り出していた。
犬ちゃんが私の名前を呼んで、骸くんが犬ちゃんを呼び止めた。
その後のことは、覚えてない。













あの後逃げ出してしまった名前さんを犬が追いかけようとしたが、僕はそれを引き止めた。
もちろん、名前さんを逃がすつもりなんてない。やっと、見つけたんです。追いかけて捕まえるより、もっと手っ取り早い方法がありますからね。


「……」
「おや…気がつきましたか。」
「骸、くん…」


その方法で名前さんをまた部屋に連れ戻して、15分くらい後に名前さんが静かに目を覚ました。
そして眩しそうに目を細め、僕の顔を見て、名前を呼んでくれる。
やっぱり名前さんだ。昔と何も変わらない……その、僕をひどく安心させる声。
名前さんは「ごめん」と言って起き上がって、僕の隣に座りなおした。別にそのままでもよかったんですが。


「…やはり名前さんだったんですね。」
「……」


最初は変装していていまいち核心は持てませんでしたがね。
茶色いかつらは取らせてもらいました。名前さんは黒髪の方が似合う。


「貴方がボンゴレに入ったことは知っています。…犬と千種には言ってませんがね。」


そう言うと、名前さんは視線を泳がせた。
名前さんは僕たちがマフィアから受けた仕打ちを知っていますからね…。
僕も知ったときには驚きました。僕たちと同じように、あんなにマフィアを嫌っていたのに。


「……ちーくんも、元気?」
「…はい、元気ですよ。」
「そっか……」


…それに名前さんはマフィアに向いていない。
今だって僕たちの安否を確認して、心の底から安心してしまっている。
僕たちはボンゴレを狙っている……つまり、名前さんの敵なんですよ。その敵の身を心配するなんて…本当に昔と変わっていない。


「……ありがとうございます。」
「…?」


僕がお礼を言うと、名前さんは何がかわからないんだろうか、首をかしげた。
本当にわからないんでしょうかね。まあそこが彼女らしいんですが。


「僕もずっと貴方にお礼を言いたかった。」
「! 私はそんな…」
「……」


僕が何を言いたいのかようやくわかったようで、名前さんは大きく首を振った。


「私は…骸くんたちを見捨てたんだよ…?」


……これまた、なんとも彼女らしいですね。あの状況であそこまでしてくれたのに、「見捨てた」ですか…。


「…クフフ、そんな風に思ってたんですか?僕も犬も千種も、見捨てられたなんて思っていませんよ。」
「……」


貴方のおかげで僕たちは今こうしていられる。


「むしろ感謝してもし足りないくらいだ。」
「……」


貴方のおかげで僕はこの世界で生きようと思えた。


「今の僕があるのも、名前さんのおかげなんですよ。」
「……」


貴方のおかげで僕はまた、貴方に逢えた。


「…私は…そんないい人じゃないよ。」
「……」


名前さんはしばらく黙った後、俯きながら小さく言った。
町の騒音が遮断されてるこの建物では十分に聞こえる。


「でも…生きてて、よかったね……また、会えたね…」


顔を上げた名前さんの目からは涙が流れていた。
ほら、こんなにも貴方は優しい。いつも僕たちの欲しい言葉をくれる。
純粋で綺麗な心。それは全ての色を受け入れてしまう、真っ白な色だ。


「……」
「!」


僕は名前さんをソファにゆっくりを押し倒した。
名前さんは目を丸くしたが、抵抗はしなかった。
何で抵抗しないんですか。いっそ抵抗してくれた方が僕も楽だというのに。


「好きです…愛しています。」


5年前、僕たちに光をくれたあの日からずっと。
やっと貴方に逢えた。話せた。触れた。


「むく…」
「何も…言わないでください。」


開きかけた名前さんの唇を塞いだ。その続きを聞くのが怖いんです。
目も閉じた。驚いて困る貴方の表情を見たくないんです。


「……!」
「……」


離した唇はそのまま下の首筋に。
これには流石に名前さんは肩を震わせた。その後もずっと肩に力が入りっぱなしだ。
おそらく怖いんでしょう。名前さんの過去についてはたくさん調べた。
それでも、抵抗はしないんですね。抵抗すれば、僕を傷つけるとでも思ってるのでしょうか。本当は怖くてたまらないくせに。


「んっ…」


名前さんがいけないんですよ。嫌だと一言いってくれれば諦められるのに…貴方は決して言わない。だから甘えてしまう。
首から口を離して名前さんの顔を見てみると、ぎゅっとかたく目を瞑っていた。
それがどうしようもなく愛しく思えて、ゆっくりと、今つけたばかりの紅い印の上を指でなぞった。びくっと名前さんの肩が震えた。


ドゴッ


「!」
「……」


誰でしょうかね、こんなときに。犬は2位を、千種は3位を探しに行ったはずですが。


「…!?」
「ひば、り…」


…なるほど。彼が並盛中喧嘩ランキング1位の雲雀恭弥ですか…。


「…っ!」


とりあえず名前さんには眠ってもらいましょう。
名前さんはきっと、僕がこれから彼にすることに耐えられないでしょうから。


「名前に…何をしたの。」
「ただ眠ってるだけですよ。」
「……」
「おや?聞きたいのはそういうことではない、ですか?」
「……」


クフフ、一般人にしてはなかなかの殺気ですね。
しかし雲雀恭弥が名前さんと知り合いだったとは…ね。
この様子からするとただの知り合いというわけでもなさそうだ。


「……名前さんとはどういった関係で?」
「君には関係ない。名前から離れてくれる。」
「…クフフ…」


名前を呼び捨てだなんて随分と仲が良さそうだ。







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