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「あ、雲雀!あのふわふわしたの何!?」
「わたがしだよ。」
「おじさん、2つくださいな。」
「僕はいいよ。」
「そう?じゃあおじさん、1こで!」
「は、はいっ!」


えへへー、ジャッポーネのお祭りは楽しいなあ!
いろんな小さいお店が道にいっぱい並んでるの!食べ物屋さんにおもちゃ屋さんに、ゲームもいっぱいある!
…ああ、そんなお祭りに何で雲雀といるのかって…そりゃあ私だって綱吉さんたちと一緒に行きたかったよ!
でもなんか気づいたら呼ばれてて、お祭りって聞いてうかれてて……うん、勢いに流されちゃった!でもでも楽しいからいいや!


「それから5万。払わなかったら屋台潰すから。」
「はははいぃっ!!」
「またそんなこと言って…」
「決まりなんだよ。」
「そうなの?」


なんかここに出てる各屋台から5万円ずつ徴収するのが風紀委員のお仕事らしいです。
決まりって言ってるけど本当なのかなあ…。あたしはこの町のルールを全然知らないからあんま口出しできないんだけど……お祭り楽しいからいっか!
あ、ちなみに今私浴衣着てます!手作りの!買うのもよかったんだけど、動きにくそうだったから。もちろん銃もちゃんと仕込んであるよ!お祭りとはいえ何が起こるかわからないからね。


「…あ、そうだ雲雀!“しゃてきやさん”ってどこにあるかな?」
「たくさんあるよ。…そことか。」


雲雀が指さす方にはまぎれもない“しゃてきやさん”が…!


「雲雀お願い!ちょっとだけ抜けていい?リボーンと射的勝負する約束があるの!」
「…7時に階段の上の鳥居のとこにおいで。」
「ありがとう!」


えへへ。最近思うんだけど雲雀ってけっこう優しいよね。
さーて!雲雀委員長のお許しも得たし、思う存分射的やるとしますか!
リボーンと射的勝負なんて久しぶりだな!しかも今回はゲームだし、楽しそう!
ルールはここらへんの射的屋さんでとれた景品の多い方が勝ち。頑張るぞー!











「ふふーたいりょー!」


数時間後、ここらへんにある殆どの射的屋台を潰し歩いた名前はルンルン気分で道を歩いていた。
その両手にはたくさんのおもちゃが入った袋が2つ。全て射的で取ったものだ。
名前もリボーンと同じく、1つの弾で10このものを落としたりと、その腕はさすがというべき。
本人は自覚無いが…とんだ屋台泣かせだ。


「あ、草壁くんお疲れさまー!」
「名字さん!」


道を歩いていると、ショバ代の回収を終えたらしい草壁がベンチに座って缶コーヒーを飲んでいた。
名前はよいしょ、とその隣に座る。


「それは…?」
「え?ああ、これね、射的屋さんで取ってきたんだ!」
「そ…そうですか…。」


屋台4つ分はありそうなそれに草壁はなんともコメントしづらかった。


「草壁くんにも何かあげようか?たとえば…ホラ、はっぱが動く癒し系オブジェとか…」
「まてーーー!!」
「! 綱吉さん!?」


名前がゴソゴソと袋の中を漁っていると、背後を目の前を2人の人間が走りすぎていった。
1人は見えなかったが、後ろの1人はツナだった。


「ごめん草壁くん、それ見といてくれる!?あとで1こあげるからね!」
「え、いや…」
「ありがとう!」


とりあえずツナの顔が必死だったので、名前はそのあとを追った。
ポツンと残された草壁はしばらく唖然として、それから言われた通りに大人しくおもちゃを守るのだった。












「綱吉さーん!」
「名前さん!」


名前がツナのあとを追って階段を上りきると、そこにはツナと…たくさんの不良の姿があった。中にはこの前海で会ったライフセイバーの3人もいる。


「お、お守りします!」
「名前さん!獄寺くんと山本を呼びに行った方が…」
「どこいくんだ?」
「ひーーーっ!」
「お、こいつこの前の女じゃん。」
「ラッキー。今度こそいただいちゃおーぜ。」


いつの間にかツナたちは囲まれて、逃げられなくなってしまった。


「綱吉さん…」
「…!」


こんな状況の中、「名前さんならなんとかしてくれるかも」という期待を抱いてチラリと名前の方を見たツナは、名前がわずかながら震えているのがわかった。かけられた言葉もどこか弱弱しい。


「…左手、握っててもらえますか?」
「へ…?」


しかしその続きはまったく予想しなかったもので。ただ、名前が無理して笑っていることはわかった。
言われた通りに名前の左手を握ると、やはり震えていて、なんだか名前がいつもより小さく見えた。


「……」
「つ、綱吉さん…」


気がつくとツナは名前の左手を握ったまま、名前を庇うように立っていた。


「あれから鏡見るたびにどれだけオレのプライドが傷ついたか……この時を待ってたぜ!二度としゃべれなくしてやるよ。」
「綱吉さ…!?」
「お姉さんはこっちねー。」
「名前さん!!」


しかしツナは海で殴った男に胸倉をつかまれ、名前は背後にいた男たちに引っ張られてしまった。
そんな絶体絶命なときだ。


「うれしくて身震いするよ。」


男の悲鳴の後に聞こえた、聞きなれた声。


「うまそうな群れをみつけたと思ったら追跡中のひったくり集団を大量捕獲。」
「ヒバリさん!!!」
「ひ、雲雀…」


次々と周りの男たちが倒れていって、その中に立っていたのは雲雀だった。両手にはもちろん血のついたトンファー。


「(まさかヒバリさん、名前さんを助けに…?)」
「借金の手間がはぶけるよ。君達がひったくってくれた金は風紀が全部いただく。」
「ああっ!?」
「(またあの人自分のことばかりーーっ!!)」


雲雀が来てくれたおかげでツナは開放されたが、また別に危険要素が増えてしまった。雲雀はツナたちのお金まで巻き上げる気だ。


「待ちな。こっちには女がいるんだぜぇ?」
「!」


トンファーを構える雲雀に1人の男がいった。
その男の腕の中にいたのは、名前だった。首元にナイフを突きつけられている。


「……」
「さあ、大人しく武器を捨てな!」


雲雀はそれを無言で見つめて、武器をおろしたが捨てようとはしない。


「捨てろっつってんだよ!」
「名前。」
「!」


声を荒げる男にものともせず、雲雀は物静かに言った。


「おいで。」







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