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ピーンポーン
「よおっ。宿題すすんでっか?」
「こんにちは、綱吉さん!」
「山本!名前さん!」
「今日は二階じゃねーの?」
「いや…ちょっとオレの部屋はたてこんでて!」
「子供たちなら私面倒見ましょうか?」
「そーいうわけでもなくて…」
今日は学校の宿題の関係で京子が家に来てくれて、ツナは天にも昇るほどご機嫌だったのだが、ジャンニーニというボンゴレ専属の武器チューナーが来たせいで全く心が落ち着かない。
そしてやっぱり問題が起きた。
ジャンニーニが改造した10年バズーカが獄寺に当たって、獄寺は姿だけが10年前…つまり5歳の時に戻ってしまったのだ。
たちの悪いことに本人は小さくなったことに全く気づいてない。
「こんなヒマあったら外の敵倒してこい!野球バカが!」
「何だ獄寺!来てたのか。」
「隼人…?」
「え?獄寺君?」
獄寺が縮んでいるのにも関わらず山本は違和感なしに話している。ある意味すごいがここには一般人の京子もいるのだ。
ツナは山本と名前に獄寺のいとこという嘘を耳打ちした。
「ハハハよくみりゃそーだな。なんか獄寺な気がしたんだよなー。」
「でもそっくりだね。かわいい!」
「おっおいっ!」
笑いながら獄寺を抱き上げる山本に、その獄寺の頭を撫でる名前。
そんなことをしたら獄寺の神経を逆撫でするに決まっている。ツナは青くなった。
「くそっ!!なぜ届かねえ!!?」
「ハハハすずしーぞ!」
「ふふ。」
獄寺は一生懸命パンチを山本に向けるが、5歳児の腕で山本の腕の長さにかなうわけがない。
「あららのら?どこのチビ助かしら?」
そこにニヤリと笑みを浮かべたランボが乱入してきた。
ランボはランボで自分の言っているチビ助が獄寺だということに全然気づいてないようだ。
新入りに対して先輩気分なのだろうか。言いたい放題言っている。
「つきあってるヒマはねー。」
「うわあぁあぁ!」
「あはは、よしよし。」
しかしそんなランボに獄寺は構うことなく1発蹴りをくらわせた。ランボは泣き喚いて名前にすがりつく。小さくなってもここの関係は変わらない。
「いつのまに!」
すると、獄寺がいきなり天井の方を見て、表情を変えていつものタバコとダイナマイトを構えた。
「こら、タバコは大人になってからだよ。」
「獄寺みてーになっちまうぞ。」
「なにしやがる!」
名前はそんな獄寺の口からタバコを取り上げて抱っこし、山本が手に持つダイナマイトを取り上げた。
「名前!野球バカ!てめーらあいつらがみえねーのかよ!」
「? 何も見えないけど…」
そう言って獄寺は天井の方を指差すが、そこには何も見えない。
「わー、足小さいかわいー!」
「何言ってやが……足ちかっ!!!」
名前の一言のおかげで、獄寺はやっと自分が縮んでいることに気づいた。
「?」
「しかも何だ…このプニプにの体型は…」
「あのっ、おっ、落ち着こうよ。ね!?」
「ふわっ!!」
「だっ大丈夫!?」
そして気を失った。相当ショックだったのだろう。しかしいつまでも気絶してはいられない。
中にはツナの命を狙う奴が2人侵入してきたのだ。何故かはわからないが、獄寺にしか見えないらしい。
「やばい!!10代目が!!」
「え!?オ…オレのせい…!?」
1人の男がツナの背後にまわり、怪しい注射器を構えていた。
それを見た獄寺はまたポケットからタバコの箱を取り出す
「それはだめだって言ったでしょ?体に悪いんだから。」
「なっ」
が、取り出したところで早速名前に取られてしまった。
すると今度はライターを取り出し、それを口にくわえてダイナマイトに火をつけた。
「あ、ちょっと!」
「そらっ!!」
それをツナの背後にいる男に向かって投げる。
パァン
しかし聞こえてきたのは爆発音ではなくてクラッカーが弾けるような音と、ハトの鳴く声。
そういえば獄寺のダイナマイトもジャンニーニによって不便に改造されたのだった。これでは敵に何のダメージも与えられない。
「アハハ面白いねー!」
「これを見せたかったの?」
「わるさばっかりする奴だなー。」
「10代目まだです!」
「ひい〜まだって!落ちついてっ!!」
周りは和やかムードになるが、敵はまだツナの命を狙っている。
「コラ!名前はなせ!!やつらがそこに!!」
「だーめ。ここは綱吉さんちなんだからあんまイタズラしちゃだめだよ。」
「ぎゃーーーはなせーー!!」
ツナを助けようと獄寺は名前の腕の中を足掻くが、5歳児の力が大人にかなうわけがない。
おまけにより一層抱きしめてきて心臓バクバクだ。
「お、おい山本!!キャッチボールおしえやがれ!!」
「おっ。そーゆーことなら遊んでやる。」
そして獄寺は何かを思いついたようにそう言った。
キャッチボールなら、と、名前も獄寺を床に下ろした。
「さーこい!山本!!ここだっ!!」
「オーライ!」
獄寺は小さい足で床を走り、ツナの近くで構えた。
そんなところに構えたらツナに当たってしまうかもしれないが…
ベキッ
「ぎゃ!!!」
当たったのはツナではなくて、その後ろ。
何も見えなかったはずだが、何かが落ちる音が聞こえたと思ったら怪しい服を着た男が頭を押さえてしりもちをついているではないか。
「ほらもういっちょ!!」
「え?ああ……」
唖然とするみんなをよそに、獄寺は間髪入れずに窓の方に行った。
「んっ」
ドガッ
「うげ!!!」
「よっしゃ!!!」
「なんなのーー!!?」
山本が投げたボールはさっきと同じように何かに当たり、その何かが落ちてきたと思ったらそれは人だった。
「えれーぞ獄寺。見直したぞ。」
「リボーン!!!」
そこに現れたリボーンによると、2人の男が着ている変な服は光学迷彩を利用した服で、着ると姿が見えなくなるという代物らしい。ただし小さい子供にはその姿が見えるらしい。
だから獄寺にも、リボーンにも、イーピンにも見えたのだ。
こうしてチビ獄寺のおかげで、ツナ暗殺計画は失敗に終わった。
が。
「あはは隼人小さいーかわいー!」
「はなしやがれーー!!」
なかなかもとに戻らなかった。
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