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「うわーーっすげーー!!本当にこれ船の中ー!?」
「やっぱりすごいわー。」
いきなりだが、今ツナと母の奈々は海の上の豪華客船に乗っている。なんでもお茶のペットボトルの抽選プレゼントが当たったとか。
しかし残念なことに定員は2名。ということでツナと奈々の親子2人で行くことになったのだ。
ツナはリボーンやマフィア云々のことを忘れて安らげることを心から喜んだ。
「えーー!!?」
しかし事件はディナー時に起こったのだ。
ツナと奈々がご飯を食べに自分たちのテーブルに行くと、既にそこに並べてあった料理は食い荒らされていて、飲み物はこぼれているは、グラスは倒れているは、なんとも酷い有様だった。
「ああ!」
「もーいらない…」
「食い倒れて寝てる奴いるー!!」
そしてテーブルの横にはお腹を丸く膨らませて幸せそうに寝ているランボ。よだれまで垂らしている。
いやそれよりも何故ここにいるのかが問題だ。
「アホ牛ったらママンがいないって言ったら泣きだしてさ。」
「ってか何であんたもいるんだ!!」
更にビアンキ、イーピンまでもが姿を現した。これじゃあ家にいるのと同じじゃないか。
……ということは、やつもいるということになるのか。ツナは辺りを見回した。
「ルネッサンス。」
「服着ろ!!!」
案の定、リボーンもいた。なんとブロンズ像に化けてだ。
何でチケットを持ってないはずのリボーンたちがここに入れたかというと……ストレートにガードマンを倒してきたらしい。流石と言うべきか。
「お食事のお片づけに参りました…って綱吉さん!?」
「名前さんーー!?」
次に現れたのは名前だった。まさかとは思っていたが…やはりその通りだった。
しかし名前は今ウエイトレスの格好をしている。忍び込んだようには見えない。
「なんで名前さんがここに…!?」
「実は急にお仕事が入っちゃって…。護衛を任されてるんです。」
どうやら名前は本当に仕事でここにいるらしい。
「へ?護衛って何の…」
「この船と、これから行く先のですよ。」
「え、でも…」
「…ああ、ウエイトレスはおまけみたいなものですよ!ちゃんと持ってますから!」
「見せなくていいですから!!」
「大丈夫です!」と言いながらスカートの裾を上げて銃の仕込みを見せてくる名前。
ツナにとっては何が大丈夫なのか本気でわからなかった。
「リボーンも珍しいじゃない。あそこに行くなんて。」
「まあな。」
「?」
ツナは名前が言った「あそこ」という言葉がどうも気にかかったが、ディナー会場にいきなり堅い顔をした船員たちが入ってきたのでそっちに気がいってしまった。
「ここらへんに不審な子供を見ませんでしたか?」
「いっいいえ!」
「不審な子供」にかなり心当たりのあるツナ。
しかし面倒ごとには巻き込まれたくないのでどもりながらもシラをきっておいた。…もう十分面倒ごとに巻き込まれてると思うが。
「探されてんじゃん!!」
さっきの船員が言っていた「不審な子供」とはリボーン、ランボ、イーピン、ビアンキたちのことだろうか。
当の4人はいつの間にかテーブルクロスの中に隠れていた。
「やべーな。みつかったらツナとママンもろとも途中の島でおろされちまうぞ。」
「なあ…南の島はどうなるんだよ!!」
「心配しないで、うまくやるわ。私達も快適なバカンスを楽しみたいもの。」
「そうですよ綱吉さん!私も協力します!」
「ま、まさか島につくまで隠れ通すつもりか?」
「何言ってんだ?オレ達はヒットマンだ。ガードマンを消す!」
「ソレまちがってるーー!!!」
ビシッと武器を構える5人(名前含む)だが、本気でシャレにならない。シャレのつもりはないのだろうが。そして一斉に四方へ散らばってしまった。
「ちょっ、おい!!」
「あ、綱吉さん、私はここの片付けをしてからいきますので!」
「いや別に来なくていいです!むしろ止めてくださいー!!」
「大丈夫ですよ!この銃は麻酔銃ですから!」
「そういう問題でもなくてーー!!」
ツナは頭を抱えながら4人を探しに走った。
それから数分後。ランボ、イーピン、リボーンを見つけたツナは最後のビアンキを探してコテージを歩いていた。
「綱吉さん!」
そこに片付けを終わらせた名前がウエイトレスの姿のまま合流した。手にはしっかり銃が握られている。
「どこのガードマンを眠らせればいいですか!?」
「やめてくださいーーー!!」
ツナはやる気満々の名前を必死に止めた。
「あら!?そこにいるのは名前ちゃんでは!?」
「あれ、ロンシャンくんもマフィアランドに行くの?」
「そうなのよーデートなのよー!」
またユニークな彼女をつれたロンシャンが名前に話しかけた。
ロンシャンもツナたちと同じく、マフィアランドに行くらしい。目的はデートだが。
「わっわっ、きたーー!!」
「綱吉さん!あれがマフィアランドですよ!」
名前が指をさした向こうには、島まるごと1つを大胆に使った遊園地が広がっていた。
マフィアランドなんて名前がついているが、本当に(外見は)ただの遊園地だ。
ツナはさっきまでの不安と怒りを忘れ、目の前の遊園地に胸を躍らせた。
「…で、ガードマンはどうしますか?」
「だからいいですってばーーー!!」
ちなみにガードマンが探していた不審な子供というのは、獄寺のことだったりする。
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