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「今日あたり満開だな。」
「ありがとうございます!お花見なんてすばらしい行事に誘っていただけるなんて…!」
「まだ早朝ですし最高の場所をゲットできますよ!」
「う…うん。」


季節は春。桜は満開。
…ということで朝6時。ツナ、山本、獄寺、名前の4人は花見の場所を取りに行くため、街を歩いていた。


「おーラッキー!」
「わあ…!」
「これで殺されなくてすんだ〜。」
「一番乗りだ!」


まず手始めに並盛中央公園に行ってみるといきなり当たりだったようで、誰1人として人の姿が見当たらなかった。
桜は満開で、これ以上にいい場所はないと思えた。
ツナはほっと胸を撫で下ろした。実は、最初はビアンキが場所取りに行くつもりだったのだが…場所取りのために人を殺すとまで言い出すものだから、ツナが必死に止めたところ「じゃあツナが行け」という事になったのだ。しかも、「変な場所だったら殺す」という脅しつきで。


「ここは立入禁止だ。」
「「「「!?」」」」


4人が見事な桜を前に歓喜していると、桜の木の後ろからガタイのいい男が出てきた。頭はリーゼントで、学ランを着ている。俗に言う不良だ(一世代前の)。
なんでもこの桜並木一帯の花見場所は全て占領してあるから出てけと言う。
しかし獄寺がそれに大人しく従うはずもなくて、あっと言う間にその男をのしてしまった。


「何やら騒がしいと思えば君達か。」
「ヒバリさん!!」
「ひ、雲雀…!?」


また新たに黒い影が現れたと思うと……雲雀が桜の木に寄りかかっていた。
よく見れば、今倒した男に腕には「風紀」の腕章がついていた……つまり、風紀委員だったのだ。


「僕は群れる人間を見ずに桜を楽しみたいからね。彼に追い払って貰っていたんだ。」


またムチャクチャなことを言っている雲雀に、ツナは心の中で突っ込んだ。
雲雀は木から背中を離すと地面に膝をついている男の前まで行き、容赦なくトンファーで殴った。


「見てのとおり僕は人の上に立つのが苦手なようでね。屍の上に立ってる方が落ちつくよ。」


この雲雀の言葉に、一同背筋が凍りつく。


「いやー絶景絶景!花見ってのはいいねーー♪」


そんな空気をうざいくらい陽気な声で壊したのは……朝からデロンデロンに酔ったシャマルだった。
片手にウイスキーを持って、それをひっきりなしに口に持っていく。
そのシャマルの頭上の枝の上にはリボーンがいた。…今回は花咲かじじいのコスプレだ。もちろん名前が作った。


「赤ん坊。会えて嬉しいよ。」
「オレ達も花見がしてーんだ。どーだヒバリ。花見の場所をかけてツナが勝負すると言ってるぞ。」
「なっ、なんでオレの名前出してんだよー!!」


勝手にツナの名前を出して勝負をけしかけるリボーン。
ツナからすればたまったもんじゃない。雲雀の恐ろしさは並盛にいる誰もが知っているのだ。
しかしいつの間にか話はまとまっていて、獄寺・山本・ツナの3人それぞれとサシの勝負をすることになっていた。
ツナは喧嘩なんてとんでもないと頭を抱えたが、獄寺はやる気満々だし山本も一応勝負する意思があるようだ。


「おーーーっ名前じゃーん!ガキとの花見なんてつまんねぇぜ〜。どうだ、オレと2人で甘〜い大人の花見をのへーーー!!!」
「消えろ。」
「あっ…」


名前に絡むシャマルを追い払ったのは本人ではなく、雲雀だった。
見事顔面にトンファーが当たり、シャマルは地面にぐしゃっと倒れた。
雲雀はシャマルを潰した後、庇うように名前の前に出て武器を構えた。


「(な、なんかこれって私が雲雀側の人間みたいな…)」


確かに構図だけ見ればそんな感じだ。
名前はツナ達の方へ戻ろうとしたが、獄寺と雲雀が既に戦闘を始めていたから戻るに戻れなかった。
まず獄寺はまっすぐに雲雀に突っ込んでいき、雲雀のトンファーをかわすと同時に、大量のボムを投げつけた。
新技、ボムスプレッズというらしい。更にリボーンによると、このスピードと柔軟性は強化プログラムで身につけたものらしい。
…かなりこじつけくさいが。


「で…?」


勝負は決まったも同然と誰もが思っている最中。爆風の中から螺旋状に風が巻き起こり、やがて傷1つ負っていない雲雀の姿が見えた。どうやらトンファーで爆風を防いでいたようだ。
予想しなかった展開に驚く獄寺に、雲雀は容赦なくトンファーを振り回した。
それを避ける際に、獄寺は膝をついてしまったのだが……雲雀はやめようとしない。


「(自分から膝をついたら負けって言ったのに…!)」


キィン


「次、オレな。」
「山本!!」


獄寺と雲雀の間に割って入ったのは、山本だった。
リボーンからもらったバット(刀)で雲雀のトンファーを受け止めていた。
楽しんでいたところを邪魔された所為か、雲雀は一層眉間にしわを寄せる。
山本の刀をいったん弾き、それからどんどん攻めていく。山本もそれに互角に対応して、いい勝負と思ったが……


「僕の武器にはまだ秘密があってね。」
「? 秘密……!?」


ガキ


山本の刀を受け止めているトンファーの手元から、仕込み鉤が出てきて山本のバットを捕らえた。
動かそうにも動かせず、ひるんだ隙に雲雀のトンファーが振ってきて直撃は避けたものの、吹っ飛んでしまった。
次はツナの番だが……ツナは全力で拒否した。
しかし、リボーンが許すはずもなく、抗議の声も聞かずに死ぬ気弾を打ち込んだ。


「リ・ボーン!!!死ぬ気でヒバリを倒す!!」


死ぬ気弾によって死ぬ気になったツナは、はたきと化したレオンを手にとって雲雀に向かっていった。
何故はたきなのかはよくわからないが……あの雲雀と互角に交戦している。
目にも留まらぬ速さでトンファーとはたきが動く。


「い゛!?わっ、ちょっ、まって!」


しかし死ぬ気弾は効力が短いのが難点だ。
額から死ぬ気の炎が消えたツナは一気に威勢がなくなるが、雲雀は変わらずにツナにトンファーを振り回す。


「綱吉さ……!!」


どさっ


ツナがもう駄目だと目を瞑って、名前が助けようと右ホルスターの銃に手をかけたその時。
何かが倒れる音が聞こえた。
見ると、なんと雲雀が地面に膝をついているではないか。
ツナは何もしていないし、名前もまだ何もしていない。
    

「あ…!」


少し考えてから、名前には思い当たる節があって左右を見渡した。


「んーー…」
「ひぃいいやぁあああっ!!!」
「ごへーーーっ!!」


そんな名前に後ろから抱きつき、あまつ胸まで触ってきたのはさっきまで倒れていたシャマルだった。
いきなりのことに名前は驚いて、反射的にシャマルを背負い投げた。


「おい名前、お前2年前からあんま成長してねーんじゃねーか?揉んでくれる男つくっとけって言っただろ〜。なんならオレが揉んでやるって!」
「ほ、ほっといてってば!……あっ…綱吉さん…!」


相当恥ずかしいらしく、名前は顔を真っ赤にして(手遅れだが)胸を手でガードした。
ふいにツナと目が合うと、名前は更に恥ずかしそうに口をもごもごと動かした。


「あ、あのっ、ち、違います!その……、Dはありますから!!」
「え…(ええ〜〜〜!?)」


そんなことは聞いていないし、言われても反応に困るのだが。何故か名前は必死だった。


「そ、それより!雲雀に何の病気をかけたのシャマル!」
「桜に囲まれると立っていられない『桜クラ病』だ。」
「(またヘンテコな病気だーー!)」
「わりーけど超えてきた死線の数がちがうのよ。ちなみに名前の胸は100回トライして1回触れるかどうかだ。」
「(どんだけセクハラしてんだーー!)」
「ううう…私としたことが…!」


よく見たら名前の腕には鳥肌が立っていた。相当嫌だったらしい。


「…約束は約束だ。せいぜい桜を楽しむがいいさ。」


雲雀は立ち上がってそう言い残すと、フラフラとその場を去ってしまった。その足取りは、桜クラ病のせいかおぼつかない。


「これで花見できんな。」
「10代目の手柄っすよ!ぜってーシャマルじゃねえ!」
「……」


山本や獄寺はこれで花見ができると喜んでいるが、名前はハラハラした目で雲雀の後ろ姿を見つめていた。どうやら心配らしい。


「あの…、綱吉さん…」
「何ですか?」
「ごめんなさいっ!私、雲雀が心配で……失礼します!」


言うや否や、名前は雲雀の後を追って走って行ってしまった。







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