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34


「この雪合戦、勝つのは私達毒牛中華飯よ!!」


めちゃくちゃになってきた雪合戦にビアンキまで割り込んできて、さらによくわからなくなってきた。
最終的にチームはボンゴレチーム、キャバッローネチーム、そして毒牛中華飯の3チームに分かれてしまったのだった。


「あれ?獄寺君大丈夫なの?ビアンキが目の前にいるのに?」
「それがオレにも…」


そういえば、ビアンキの顔を見ると腹痛で倒れてしまうはずの獄寺に、何の異変も見られない。


「こんなことが前に1度だけありました。アネキが秋分の日にリスの着ぐるみを着ていた時です。」
「あ、それ私作ったの!ビアンキ着てくれたんだ〜。」


リスの着ぐるみを作る名前にも、それを着るビアンキにも、ツッコミようがなかった。


「あっ!ビアンキの顔が仮面でかくれてるからかも。」
「はっ!そうかもしれない!…ということは…ついにやったぜ!!とうとうアネキを克服したんだ!!」
「?」


克服はしていないと思うが……本人がとても嬉しそうなのでいいとしよう。


「3チームになったことだし雪合戦のルールを変えねーとな。」
「なんか服装古くなってない!?」
「名前は日本史マニアだからな。」
「まさかこれも名前さんの手作りー!?」
「えへへ。」


古墳時代くらいだろうか。さっきよりまた時代を遡った格好でリボーンが仕切りなおした。どうやらこの服も名前の手作りらしい。
服はまだいいとして、王冠や刀まで……ツナは心中で「マフィアより向いてるものがあると思うんだけど…」と呟いた。
さて、ここでリボーンが仕切りなおしたゲームの内容はこうだ。
レオンを奪い合うのは今まで通り。だが、今回のレオンはターボとなって逃げ回る。それを最初に捕まえた者のチームの勝利となる。
ツナ以外の皆はそのルールに依存なしで、うろたえるツナをよそにとっととゲームは始まってしまった。


「ふぎゃっ!!」
「イワン!」


開始早々、キャバッローネ側にリタイアがでた。
原因はビアンキたちが投げる毒入り雪玉だ。運悪く口に入ってしまったらしい。


「なるほど…そっちがその気なら。」
「だよなボス。」


そんなビアンキたちに対抗してディーノたちが出したのは、銃。
しかしそこから出てくるのはただの弾ではなく、雪玉に包まれた弾だった。


「もー遊びの粋こえてるよー!!やりすぎだって!!」
「綱吉さん、今のうちですよ!」


毒牛中華飯とキャバッローネが争っているうちにボンゴレはレオンを追いかけようとする、が…


「そーは、」
「させないぜ、ツナ!」


それに気づいた毒牛中華飯、キャバッローネ両方から標的にされてしまった。
毒入り雪玉と、実弾入り雪玉が一斉にこちらに向かってくる。


「やっぱり我慢できないよ。」
「!」


目を瞑って衝撃を覚悟するが、いつまでたっても衝撃は訪れない。
恐る恐る目を開けると、目の前にはたくさんの雪が広がっていて、それが雪玉を防いでいたのだ。
その中心にいるのはまさしく宇宙と交信中のフゥ太だった。
なんでも、みんなが揃っているこの状態でランキングせずにはいられないんだとか。
そのフゥ太のランキングを参考にして、獄寺が敵を足止めして山本がレオンを追いかけることになった。


「なるほど。オフェンスとディフェンスにわかれんだな。」
「フゥ太、私は何をすればいい!?」
「名前は……争いごとが嫌いなマフィアランキング8万223人中ダントツ1位だから何もしない方がいいよ。」
「争いごとって…これは雪合戦っていう遊び「2倍ボム!」
「どっかに雪使おーよ!!」
「……綱吉さん、私がお守りしますから!!」


名前は何か自分もやりたいと思ったが、獄寺の暴走ぶりを見て守りに身を転じた。
獄寺のダイナマイトのおかげで毒牛中華飯のランボと、キャバッローネのボノが気絶によりリアイアとなった。


「ラジコンはあそこだな。」
「ラジコン………?」


山本がラジコンと呼んだレオンは、階段の手すりの上を走っていた。


「おさき。」


しかし、横から出てきたディーノに先を越されてしまった。
遅れをとりながら山本も追いかけて、差はどんどん縮まっていくが……


「おわっ!」
「なっ!?」
「ええ゛ーー!!」
「ミスった!!」
「何をミスたらこーなるんですかーー!!!」


階段で足を滑らせて転んだらしく、雪だるまになって帰ってきた。
そういえばディーノは部下が近くにいないと運動音痴になってしまうのだった。
ディーノの雪だるまは山本まで飲み込んでから静止した。


「わりーな。」
「ったく〜〜。」
「もう、ディーノってば。こういうときだけおっちょこちょいなんだから!」
「ははは。」


「いや、ディーノさんはこういうときだけじゃなくて結構おっちょこちょいです…」ツナはそう思ったが口には出さなかった。
これでディーノと山本は身動きがとれずリタイアということで処理された。
主力が減ったところをビアンキが攻めてくるが、足元にバシャバシャという音が。
見ると、エンツィオがダイナマイトで溶けた雪の上で手足を動かしているではないか。
エンツィオは普通の亀ではなくて、スポンジ亀。案の定エンツィオは十分に水を吸い取って、ゆうに10M以上の大きさにまで成長した。


「カメ…?」
「なぜ山の神がーー!!」
「山の神?」
「いいからテメーも祈れ!」


獄寺はエンツィオのことを「山の神」だとか言って、よくわからない呪文のようなものを呟きだした。


「何をしているの!?逃げなさい隼人!隼人!!」
「ごぱっ!!」
「わ、だ、大丈夫隼人!?」


巨大化したエンツィオが近くに立っているというのに逃げようとしない獄寺を心配してビアンキが駆け出した。
ゴーグルをとって必死に獄寺に言い寄るが……それが逆に寿命を短くしたとでも言おうか。
ビアンキの顔を直視してしまった獄寺は、腹痛により雪の上に倒れてしまった。
一方、エンツィオの方はだらーんとして動く気配がない。


「エンツィオの奴おとなしいぞ……………」
「冬眠の時期だからな。」


気づくとエンツィオは鼻ちょうちんを膨らませていて、こちらにゆっくりと倒れてきた。
リボーンの言ったとおり、冬眠しているようだ。


「名前さん危ない!」
「!」


バダーン


見事エンツィオの下敷きとなって、ビアンキ、イーピン、フゥ太、ロマーリオの4人がリタイアとなった。名前はツナに助けられて無事だ。
他の皆も雪がクッションになっているので死ぬことはないだろう。


「あ、ありがとうございます綱吉さん…!!」
「い、いえ、そんな大したことは…」
「よくファミリーを守ったな。偉いぞ。」
「いや、だからファミリーとか関係ないし!」


助けてもらったことに、名前は心から感動したようで涙目になりながらツナにお礼を言った。


「え、もしかして残ったのオレらだけーー!!?」
「強運もボスの資質だぞ。」
「あのラジコン捕まえてケリつけてこい!」
「え!?」
「そーしてやれ。でないと皆の魂もうかばれないぞ。」
「勝手に殺すなー!!」


これで残るプレイヤーはツナと名前の2人だけになってしまった。誰も死んではいないが。
「なんだかなー」と思いながら、ツナは雪の上を走るレオンターボを追いかける。


「頑張ってください、綱吉さん!」
「うわっ!」


しかしあと一歩……というところで盛大にコケてしまった。
あまつレオンターボは他の誰かに捕まえられてしまったではないか。
他の誰か……名前はツナの後ろにいるし、リボーンもそこにいる。と、なると………


「何これ?あとそのデカいカメ。」
「ヒバリさん!!」


日曜日に学校にいるのは風紀委員くらいだ。
雪にも関わらずいつもと変わらない学ラン姿で、凛として立っている。


「せっかくの雪だ。雪合戦でもしようかとね。」
「(ヒバリさんも〜〜〜!!?)」
「(なんだ、雲雀も仲間に入れてほしかったのか!)」
「といっても群れる標的に一方的にぶつけるんだけど。」
「(なんでこの人捕まんないのー!!?)」
「雪の中に石入れちゃだめだよ雲雀!!」


やはり名前はどこかがズレている。


「…ここで会ったのも何かの縁だ。今日は君を標的にしようかな。」
「え!そ…そんなっ」
「だめっ、雲雀!!」


雪玉に変化したレオンを振りかぶった雲雀と、ツナの間に名前が割って入った。


「…と思ったけど、風紀委員の仕事がたまってる。またね。」
「え、ちょ、雲雀?」
「名前も風紀委員だよね。」
「私は認めてませんけど!」


すると雲雀は手からレオンを投げ捨てて、名前の手を引いて身を翻した。
名前のおかげ(?)でなんとか危機は逃れたツナだったが、無意識にタテにしてしまったイーピンの爆発によって行方不明に。
結局、優勝はちゃっかり爆発を逃れたリボーン。








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