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13:4人目


今、私の目の前には混沌とした状況が広がっている。
お腹を押さえて倒れこんだ獄寺くん。
ビアンキさんにカクテルを投げつけられて倒れたスーツの男の人。
リボーンに抱きつくビアンキさん。

…少し状況を整理しよう。
まず、指名手配されていたスーツの男の人は殺し屋ではなくて医者。まさに私達が捜していたリボーンの知り合いの医者だった。
そして好きな人を捜しているというビアンキさんが殺し屋。その好きな人はなんとリボーンだった。
更にビアンキさんと獄寺くんは姉弟。
……まだ頭の中がごちゃごちゃしてるけど、なんとなくわかってきた。


「リボーン…私、あなたを追って海に出たの。また一緒に仕事しましょ。」
「…そうしてェのは山々だが、おれは名前の教育係だからな。名前のそばを離れられねェんだ。」
「名前……?」


ゆらり。ビアンキさんの鋭い眼光が私を捉えた。あれ、なんだか危険な予感…


「そう……そうだったのね名前…」
「え…あの、ビアンキさん…?」
「あなたもリボーンのことが好きなのね…!」
「はあああ!?」


何をどうすればそうなるんですか!?


「リボーンをかけて勝負よ、名前!」
「ええ!?ち、違います私は別に…!」
「10代目…逃げてください……!アネキは…、毒を使って攻撃してきます…!」
「ど、毒!?」
「ビアンキから逃げられたら大したもんだ。頑張れよ、名前。」
「何それ!っていうか、誤解を解いてよリボーン!!」
「めんど……ボンゴレ10代目船長ならこれくらい自分で何とかしやがれ。」
「今めんどくさいって漏れた!」
「覚悟!!」
「ひいいっ!」


弁解する余地もなくビアンキさんが他の客のテーブルにあったピザを投げつけてきた。
間一髪で避けたけど、飛んでったピザは店の壁を溶かして穴を開けていた。
な、何で!?ピザにそんな殺傷力ないはずなのに……


「ポイズン・クッキング……手に触れたものを全て毒にする、危険な技だ。」
「ええ!?」
「逃がさないわ…」
「この技で何人もの男を葬り、やがてついた異名は"毒サソリのビアンキ"…」
「こ、怖すぎる!!」


この状況の中で冷静にリボーンが教えてくれた。
ということは、今投げられたピザに触れていたら危なかったということだ。
…だとしたら、最初にカクテルを投げられたスーツの男の人も毒にやられちゃったってこと!?
そういえばさっきから倒れたまま動かない……嘘、あの人医者なんだよね!?


「とりあえず外に逃げるぞ、名前。」
「で、でも獄寺くんが…」
「自分は大丈夫っス…!しばらくしたら、遠くから援護します…!」
「わ、わかった…!」


獄寺くんが倒れてる理由はわからないけど、ビアンキさんが私を狙ってるんだったらひとまずここを離れた方がいいよね。ここには人が多すぎる。


「待ちなさい!」
「ひいいっ」


バーから出た私を追いかけてくるビアンキさんは鬼の形相だ。
さっきまでリボーンにうっとりしてたのに…恋する女ってすごい…!
って感心してる場合じゃなくて、どうすればいいんだろう!?
多分もう、話を聞いてくれる感じではない。かと言って逃げ切れる自信もないし…


「リボーンどうにかしてよ!!」
「おれは女は撃たねェ。」
「撃たなくていいから!リボーンが説得してよ!」
「めんどくせェ。」
「言い切った!」


頼りのリボーンはこんな感じだし…。
こうやって一緒に走ってることも、ビアンキさんにとっては嫉妬の対象になってるのに…!


「リボーンから離れなさい…!」


チラリと後ろを振り返ると、今度は銃を構えていた。
や、やばいよ!殺し屋に銃で狙われたらもう終わりだよ!


「ぎゃー!」
「洗濯物がハチの巣にー!」


…と思ったら、私の方には一発も銃弾は飛んでこなかった。
その代わりに走り抜けている街に被害が出ている。


「ビアンキの銃の腕は最悪だからな。どこに弾が飛んでくかわかんねーぞ。」
「えええ!?」


殺し屋なのに!?
そうだとすると街の中を走るのも危険だ。人気のないところに行かないと…!


「10代目、こっちです!」
「獄寺くん!」


呼ばれた方を見ると橋の向こうに獄寺くんが立っていた。
本当に言ってた通り、助けに来てくれたんだ…!まだ少し調子悪そうだけど大丈夫なのかな?


「吹っ飛べ!!」
「なっ…!?」


獄寺くんがいる向こう側を目指して橋を渡っていると、獄寺くんはこっちに向かってダイナマイトを投げてきた。


「走り抜けるぞ、名前。」
「う、うん!」


リボーンに言われて死に物狂いで走る。
獄寺くんがやろうとしてることはなんとなくわかったけど、私の体力のことも考えてほしい。


チュドーン!


なんとか私はダイナマイトの軌道の下を走り抜けて、ダイナマイトは私とビアンキさんの間に落ちて爆発した。


「わっ…!?」
「10代目…!!」


ギリギリの場所にいた私はその爆風に吹っ飛ばされた。
ある程度の衝撃を覚悟したけど痛くない。目を開けてみると獄寺くんが私を受け止めてくれていた。


「大丈夫ですか10代目!」
「う、うん。ありがと…う……」
「!」


助かった……けど、今までになく獄寺くんとの距離が近い。
今まで命を狙われて必死だったけど、私まだ病気にかかってるんだった…!
心臓がバクバクと煩い。離れなきゃいけないのに、もうちょっとこうしていたいなんて馬鹿なことを思っている自分がいる。


「まだだぞ。」
「「!?」」


お互いに見つめあっているとリボーンの声が聞こえてハッとする。
橋の方を振り向くと、煙の中に一つの人影がこちらに向かってゆっくりと歩いてくる。
ま、間に合わなかったんだ…!


「つっ…」
「10代目…!」


立ち上がろうとするけどさっきの衝撃で足を捻ってしまったらしく、力がうまく入らずにまた獄寺くんに倒れこんでしまう。


「うぐっ…!」
「獄寺くん!?」


煙が晴れてビアンキさんの姿が見えると、再び獄寺くんは苦しみだした。
ビアンキさんは攻撃してないはずなのに…いったい何で…
私も獄寺くんも動けない……絶体絶命のピンチだ。


「名前…」
「あ、あの!ビアンキさん落ち着いてください!私は…っ」
「あなた、隼人のガールフレンドだったのね!」
「……はい?」
「ごめんなさい、私ったら勘違いしてたのね…。」


最初の誤解解けたけど、また新たな誤解が生まれてしまった。


「ち、違います!私と獄寺くんは友達で…!」
「お、おれが10代目となんて…っ、おおお恐れ多い…!」
「ふふ、私の目は誤魔化せないわ。だってあなた達2人とも、恋する顔してるもの。」
「なっ…」
「!?」


だからそれは病気のせいなんですー!
…なんて説明したところで今のビアンキさんには聞こえなさそうだ。


「ビアンキさん、あの…」
「さん付けなんてよそよそしいわ。呼び捨てでいいわよ、名前。」
「あ、いや…」
「でも困ったわ…リボーンはあなたの教育係…でも弟の恋人…」
「だ、だからちげーって言ってんだろ!」
「本当ならしっかり私の目を見て言いなさい隼人。」
「ふがーーっ!!」
「獄寺くん!?」


ビアンキさんに顔を掴まれて獄寺くんは奇声をあげて気絶してしまった。
さっきからどういうことまなんだろうか…。


「獄寺はビアンキを見ると腹を下すらしいな。」
「お腹くだしてたの!?」


そういえば毎回お腹をおさえて苦しそうにしていた。
ビアンキさんの技が関係してるんだろうか…。


「リボーン…!私達の恋には壁が多すぎるわ…!」
「だったらお前も船に乗ればいいじゃねーか。」
「!!」
「ちょ、リボーン!?」


こんな危険な人船に乗せるの!?


「船に乗れって……これってもしかして…プロポーズ…!?」


なんかものすごい勘違いしてるーーー!!


「はい…一生ついてくわ、リボーン。」
「よかったな、名前。仲間ゲットだ。」
「ちょっといいの!?」


よくわからないうちにビアンキが仲間になった。








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