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12:医者と殺し屋


「ちょっくら殺し屋シメてきます」といったっきり獄寺くんが帰ってこない。
あの時は恥ずかしくてそのまま行かせてしまったけど、殺し屋シメるとか……ダメだよ!絶対ダメ!
あれから半日は経った。流石に……遅すぎる。リボーンも医者を捜しに出ていったきり戻ってこないし……


「…やっぱり心配だよ。私捜しに行ってくる。」
「じゃ、じゃあおれも一緒に行きます!」
「…わかった。危なかったらすぐ連絡しろよ。」














…ということで、再び女装してくれたランボと一緒に街へ出た。
そろそろ日が暮れる頃だ。無事だといいけど…。


「すみません、この人物を見かけませんでしたか?」
「え?」


ランボと二人歩いていると、執事のような恰好をした人に呼び止められた。
見せられたのは「WANTED」と書かれた顔写真付きの紙だった。
この人……昨日ケーキ屋さんの前でぶつかって、ほっぺにちゅーしてきた人だ…!


「この人なら、昨日ケーキ屋さんの近くで見ましたけど…」
「本当ですか!?ご協力ありがとうございます!!」


も、もしかして……昨日のスーツの男の人が殺し屋…!?
少なくとも顔写真付きで捜されてるんだから、きっと何かしでかしたんだ…!


「でもそんな悪い人には見えなかったよね、ランボ………あれ?」


隣にいると思っていたランボがいつの間にかいなかった。
…もしかして私が呼び止められたのに気付かなくて行っちゃったのかな。
や、やばい…獄寺くんを捜しに来たのに私達まではぐれちゃうなんて…!


「あら、あなた…」
「!」


ランボを捜してキョロキョロしていると昨日会った美人と目が合った。













「あなたも愛する人を捜してるのね…」
「え、あの……」


何なんだ、この状況は。
あの後「ランボを見ませんでしたか」と美女に聞いてみたらあれよあれよと流されて、なんだか大人な雰囲気のバーに連れていかれた。
美女の名前はビアンキさん。カウンターに座り、真っ赤なカクテルを物憂げな表情で見つめる姿はものすごく絵になる。その隣に座る私は場違い極まりない。


「私が捜してるのは弟みたいな子で…!」
「そうなの?でもあなた、恋する女の顔してるわ。」


誤解を解こうとするけどうまくいかない。
恋する女の顔なんてしてるつもりないんだけど、もしそう見えるんだとしたらきっと病気のせいだ…!


「あ…確かビアンキさんも人を捜してるんでしたよね。」
「ええ、愛する人をね。」


そういえばビアンキさんも最初会った時人を探していた。そう、スーツの男の人を……


「スーツの似合う大人の男……危険な男に恋をしたわ…。」
「!!」


そ、そうだった…!ビアンキさんはスーツの男の人を捜していた。それってつまり、あの真ん中分けで無精ひげの男の人だ…!
でもあの人はきっと殺し屋で、でもビアンキさんはそんな危険な男の人を好きになちゃって……


「な、何でそんな危険な人を好きになっちゃったんですか…?」
「…一目惚れだったわ。人を好きになるのに理屈なんていらないのよ。」
「!」


まるでドラマのような展開にこっちまでドキドキしてしまう。
そしてはっきりと自分の気持ちを肯定するビアンキさんをかっこいいと思った。
ここまで純粋に人を好きになれるなんて、ビアンキさんは素敵な人なんだな。私にもいつか、そう思える人ができるのかな…。


「10代目〜〜!!」
「!?」


ビアンキさんの話にうっとりしてたら獄寺くんの声で急に現実に引き戻された。
何でこんなところに獄寺くんが!?


「医者を見つけました!」
「いてて、放せ隼人!」


獄寺くんがすごくいい笑顔で耳を引っ張ってつれてきたのは無精ひげのスーツの人……ビアンキさんの想い人で殺し屋……
うわあ、ど、どうなっちゃうんだろう!?ついに好きな人に会えたけどこの人は殺し屋で…!


「…隼人?」
「んなっ…何で…うぐっ…!!」
「獄寺くん!?」


しかしビアンキさんが先に反応した相手は獄寺くんだった。え、この2人知り合いなの?
獄寺くんは何故か急にお腹をおさえて倒れこんでしまった。え?何?どういうこと?


「おっ!ビアンキじゃねーか!久しぶりだなー!」
「……」


ビアンキさんの姿に気付いたスーツの人が近づいてくる。
私は倒れこんだ獄寺くんに駆け寄って、その様子を遠目に眺めた。
感動の再会だ。よくあるドラマだときっとこの後2人は抱きしめあって…


「すっかり美人になって…」
「近寄らないで。」
「んげーー!」
「えええ!?」


感動的なシーンが見られると思ったのに、展開は180度違うものになった。
ビアンキさんはスーツの男の人目掛けてカクテルを投げつけたのだ。
グラスは男の人の顔面に命中してそのまま仰向けに倒れてしまった。
え…えええ好きなんじゃないの!?これじゃあ恋愛ドラマじゃなくてアクションものだ。


「何で…ここにアネキが……」
「お姉さん!?」


私の膝元で倒れている獄寺くんが呟いた。
アネキって……ビアンキさんは獄寺くんのお姉さんなの!?


「奴の名前はビアンキ……フリーの殺し屋だ。」
「リボーン!いつの間に……って殺し屋!?」


いつの間にか横にリボーンが立っていて、またひとつとんでもない情報を落とした。
ビアンキさんが殺し屋…?ってことはスーツの男の人は……あ、そういえば獄寺くんが「医者を連れてきた」って……んん?


「リボーン!」
「…久しぶりだな、ビアンキ。」
「もう二度と見失わない…私の愛しい人…!」


……ええええ!?







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