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「こ、これがおもち…!」


えーー…本当は今頃綱吉さんたちと一緒に正月合戦をやっているはずの名字名前ですが……現在、真に不本意ながら雲雀の家にいます。
何故かと言われるとそりゃあもういきなり呼び出されたから。
もちろん断りましたよ。でも彼、二言目には「バラすよ」なんだよ。中学生に脅されるなんて…本当泣きたい。
……という感じにさっきまで落ち込んでたんだけど、今の私は目の前の未知の食べ物に興奮状態。
だっておもちだよ?!ジャッポーネの伝統料理、おもち!!食べたことないんだよ!さあ、今こそその食感を味わうとき…!!


「熱いから気をつけなよ。」
「熱っ!雲雀これすっごく熱い!」
「話聞いてた?」


おはしではさんで口に入れたところ、ものすごく熱かった!
慌てて噛み切ろうとしたけどびろーんって伸びてなかなか切れてくれないんだこれが!熱いーー!!
でもこの食感がたまらないね!おいしいね!熱いね!


「わー…おもしろいね、おもちって!」
「…つまっても知らないよ。」
「う゛…!ひ、雲雀お茶ある?!」
「話聞いてた?」
「ありがとう!」
「……」


雲雀が何言ったかは知らないけどつまっちゃったよおもちが!
おもちって美味しいけど危険な食べ物なんだな…!
このすてきな食感を味わうためにはこんな命に関わるリスクがあったのか…!おもちおそるべし!!













「ごちそうさまでした!」


数分後、私は見事に出されたおもちを完食した。おいしかったなー!
…そういえば雲雀何にも食べてないけど……よかったのかな…私食べちゃって…。


「ねえ、雲雀食べてないけどいいの?」
「うん。もう食べ飽きたしね。」
「!!」


おもち食べあきたとか…!食べあきたとか…!なんて贅沢者なんだ雲雀!私なら100個食べても全然飽きない自信あるよ!
…雲雀って絶対お金持ちだよなー…。だって家が。他の家よりはるかに大きいもん!
そしてこれこそが私が最初に思い浮かべていたジャッポーネの家!
家に招待するって言われたときは全身全霊で拒否したけど、いざ雲雀の家を目の前にしたら足が勝手に……ねえ。
だってすごいんだよ雲雀の家!まずでっかい門でしょ、それからでっかい庭に、長い廊下に、広い和室……まさに私の憧れそのものなんだよ!


「雲雀のご両親って何してるの?」
「…さあ。よく知らない。」
「あ…そうですか。」


両親の仕事を知らないなんて…まあ雲雀らしいと言えば雲雀らしいんだけど……なんか複雑な事情があるのかな。あまり深く関与しないようにしよう。


「じゃあそれ片付けるから。」
「あ、私がやるよ。」
「座ってなよ。」


おー、さすが雲雀の家!食器の片付けも雲雀がしてくれるんだ感動!って普通のことなんだけど。
………あ!いいこと思いついちゃった!


「雲雀、トイレ貸してもらっていい?!」
「…いいよ。この廊下を右に真っ直ぐ行って2つめの角を曲がったところ。」
「わかったありがとう!」


ふふふ…トイレになんて行きませんよ!
雲雀はこの前私の家にあがったとき散々やってくれましたからね!ささやかな仕返しにこの家の中を調べつくしてやる!
ボンゴレのスパイをなめちゃいかんよ!……っとその前に、やっぱりトイレ行こうかな。お茶飲み過ぎちゃった。













「……」


まったくどこに行ったんだろうか、名前は。
僕が食器を片付けて戻っても名前の姿は無くて、それから更に10分くらい待っても名前は帰ってこなかった。
トイレを探してみても姿は見当たらなかったから多分迷っているんだろう。
…でもトイレとあの部屋の直線を迷うものだろうか。……名前ならやりそうな気もする。年上だけどどこか足りてないところあるし。


「ううう……」
「!」


名前を探して歩き回っていたら、ある部屋から名前が4つ足の状態で出てきたのが見えた。何故かは知らないが泣いている。


「何してるの。」
「ぎゃーーーー!!!」


近づいて声をかけたところ、すごい声で叫ばれた。まるで妖怪のような扱いだ。


「僕だよ。」
「ひ、雲雀…!うわーーよかったー!私もう死ぬかと思ったー!」


僕だということを認識すると、名前は僕の足に抱きついてきた。
いきなり何をするんだこの人は。自分が何をしてるかわかってるの?そんなことされたら今すぐ抱きしめてキスしたくなる。そうしたらきっと名前は怒るだろうから、まだ我慢するけど。


「どうしたの?」
「そそそそれは聞いちゃいけないよ!ほら、早く部屋に戻ろう!!」


名前の様子を見る限り、あの部屋で何か嫌いなものを見ただとか、嫌な体験をしたとか、そこらへんだろう。
…あの部屋は何の部屋だったかな…。覚えてない。部屋を確かめようにも、名前が足にまとわりついて行けない。
じゃあ名前が帰ってから見ることにしよう。名前の嫌いなものが知れると思うと嬉しくなってくる。


「行くよ。」
「……」
「…何してるの。部屋に戻るんでしょ?」
「あ、あの……た、立てない…んだ…あははは…」


ああもう……なんでこの人はこんなに可愛いんだろう。反則だ。


「しょうがない人だね。」
「だからって何このお姫様的な扱い!?おんぶでいいよおんぶがいいよ!!」


僕がお姫様抱っこをすると、名前は少しだけ顔を赤くして暴れ出した。
「大人しくしないと落とすよ」って言ったらちょっとは大人しくなったけど、まだ納得してない様子だ。


ガタッ


「ひぃぃいっははは早く行こう雲雀!!」
「……」


もめていると、名前が出てきた部屋から物音が聞こえて、さっきまでもがいていた名前が僕の首に腕をまわしてしがみついてきた。
何かよくわからないけど、物音に感謝だ。まさか名前とこんなに接近できるなんて。
僕は自然と緩んでしまう顔の筋肉を無理矢理閉めた。














「ついたよ。」
「…あ、ありがとう…。」


僕は来た道を戻って、さっきの部屋にたどり着いた。
少しもったいないけど僕の首にしがみつく名前を畳の上にゆっくり降ろす。…本当もったいないな。ちょっと意地悪すればよかった。


「あんなところで何してたの。」
「! えーっと……あ、迷ってたの!うん!」
「…ふーん。」


なんか怪しい。いかにも今思いついたって感じだ。…まあいいけど。


「そ、それよりテレビ見ようよ!お正月ってたくさんお笑い番組やるんでしょ?!」


テレビなんて見させてたまるか。もしここでテレビをつけたら、名前は画面に釘付けになってしまう。僕はリモコンをとろうとする名前の手を握った。


「何…?」
「……」


…近い。抱きしめたい。そんな僕の気持ちを察知したのか、名前は警戒態勢に入った。


「着物、似合ってるよ。」
「!」


でも、逃がしてあげない。








■■
何を見たのかは特に考えてありません。





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