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29



「あけましておめでとうございます綱吉さん!」
「あ、あけましておめでとうございます、名前さん。」


年が明けてもう3日目。親戚とかの新年の挨拶ももう済ませたし、いい加減することなくて暇な頃だ。(宿題はまだいいや。)
とりあえずこたつに入って暖まろうと下に降りたところ、そこにはもう既にそこで和みまくっているリボーンとイーピンとビアンキが。
それと、こたつとは外れて名前さんが床に座ってみかんをむいていた。
わー、名前さん着物着てる。似合ってるなー。
…っていうか……


「ビアンキ二人分だぞ!!」


名前さん入れてあげろよ可哀相だろ!!


「綱吉さん!私ジャッポーネのお正月についてちゃんと勉強してきましたよ!」


でも名前さんはそんなこと全然気にしてないみたいで、またいつもの“ジャッポーネ語り”を始めた。
嬉しそうに話す名前さんには悪いけど、オレにとっては全部当たり前のことなんだよなあ…。


「ジャッポーネにはえーと、“おどしだま”っていうものがあるんですよね!」
「脅し弾ーーー!?」


いや、多分『お年玉』って言いたいんだろうけどさ!


「一応用意したんですが銀行しまってて……手持ちほどしかありませんが受け取ってください。」
「あ、ありがとうございま……って厚ーーーー!!?」


折角の厚意だしもらっておこうと(正直なところお年玉欲しいし)、手を伸ばしたら……お年玉袋がありえない厚みを帯びていたから急いで手を引っ込めた。
ななな、何事ですかーーー!?


「や、やっぱり少なかったですか…」
「いや!違いますむしろ逆です!っていうかそれいったいいくら入って…」
「100万ですけど…」
「ヒィーーーー!!」


お年玉に100万出す人とかありえませんから!
手持ちから出して100万って…!改めて名前さんはすごいんだと思った瞬間。


「うう、受け取れませんよそんな大金!!」
「え……大丈夫です全部ジャッポーネの通貨ですよ!」


そういう問題じゃなくてーーーー!!


「まだまだね名前。お年玉は1日にあげないとダメなのよ。」
「へ?」
「そうなの!?」


もちろんそんなのビアンキのウソだけど……ここはあわせておいた方が良いよな…。


「え…は、はい…。」
「そうですか……」


オレが肯定すると、名前さんはしゅんと首を下げて、100万円をしまった。助かったーーー…!
……でも、100万円かー…。ゲームとか買いたい放題なんだろーなー…。ちょっと勿体無いことしたかも…


「来年こそはちゃんとお渡ししますね!この10倍で!」
「ヒィーーーーー!!」


名前さんを甘く見ていたーーー!!
100万の10倍って、いいい1000万!?そんな大金バラエティ番組の賞金にも出てこないよ!


「ガハハハハッ!誰かランボさんにお年玉ちょーだい!」
「おもむくまま〜〜〜!!!」


唖然としていたらランボの笑い声に意識を戻されて、玄関を見てみると道行く知らない人にお年玉をねだるランボが…何してんだよーーー!!
オレは急いでランボを家の中に戻した。


「ツナ君、ランボ君。」
「!」
「あけましておめでとう!」
「京子ちゃん!!」


そしたら玄関先に京子ちゃんが…!?うわー、着物かわいいなー…。
で、でも何で京子ちゃんが?まさかオレに会いに…?


「お兄ちゃんがツナ君ち来るの初めてなんだよね。」
「へ?お兄さん?」
「沢田!!今年もよろしくな!!オレの今年の抱負は“極限”だ!!!」


今年もだーーっ!!!
も、もしかしてオレに会いにきたのはお兄さんの方…!?いや、それでも何で…


「あ、京子ちゃんに了平くん!あけましておめでとうございます。」
「名前ちゃん!あけましておめでとう!」
「む。今年も子育て大変だな名字!」
「?」


京子ちゃん…やっぱり本気で名前さんと同い年だと思ってる…。
っていうかお兄さん、子育てって…?


「しかしあまり似てないのだな!名字からこんな剛毛な子供が産まれるとは!!」


ランボのお母さんだと思ってるーーーー!?


「いや…あの、お兄さん…?」
「もー、お兄ちゃんったら。違うって言ってるのに。ねえ名前ちゃん。」
「ふふ、私まだ結婚もしてませんよー。」
「できちゃった結婚だと!?それはイカンぞ名字ーー!!」


通じてねーーーーっ!!


「10代目おめでとうございます!!」
「ツナさんあけましておめでとうございます!!」


こんなときに誰だ…って思ったらこの声は獄寺君にハル。あ、山本もいる。
和やかに挨拶を交わす名前さんと京子ちゃんとハルと山本。獄寺君とお兄さんは新年早々火花を散らしている。
あああなんかわけわかんなくなってきた!っていうか今日何かあったっけ?何でみんな勢ぞろいしてんの?


「今日はボンゴレ式ファミリー対抗正月合戦だぞ。そのためにオレが呼んだんだ。」
「リボーン!!お前やっと起きたと思ったら何て格好してんだよ!」
「お、対戦相手もきたな。」
「!?」


対戦相手って何わけのわからないことを……


「ディーノさん!!……とその部下のみなさん!!!」


何でディーノさんと部下のみなさんがここにーーー!?


「きたぜ。ボンゴレ式ファミリー対抗正月合戦をしに。初めて見る顔もあるな。よろしくな。」
「ディーノ久しぶり!」
「おう。似合ってるな、ソレ。」
「ありがとう!」


なんか当たり前のように挨拶してるし……。名前さん真っ先にディーノさんに抱きついてるし……。


「え…ちょ…なんなの?ボンゴレ式なんとかって…」
「ん。ボンゴレ式ファミリー対抗正月合戦は、同盟ファミリー同士が戦いその年のファミリーの意気込みを表明するボンゴレの年始行事だ。」
「またボンゴリアンバースデーパーティーみたいのか?」
「ちがうぞ。正月合戦は各ファミリーの代表が正月にちなんだ種目を競い合いその総得点で勝敗を決めるんだ。そして勝ったファミリーには豪華賞品が出るんだ。」
「今回はただのゲーム…?」


そうだよな…。競うのはファミリー対抗だから誰かが殺されるってことはないよな…。


「そして負けたファミリーは罰金1億円だ。」
「やっぱムチャクチャー!!!」
「しかたないよ。掟だもん。」
「その口調ムカツクぞ!!!」


1億円なんて金額払えるわけないだろーーー!!
あああ山本たちは子供の遊びだと思ってるし…!遊びじゃないんだって〜〜!!


「がんばりましょうね綱吉さ…」


♪〜〜〜♪


水戸黄門のテーマ〜〜〜〜!?
も、もしかしなくても名前さんの携帯の着信音だ…。水戸黄門……そういえば毎回欠かさず見てるって言ってたな…。
名前さんは「すみません」と言って携帯を取り出して、画面を見た途端固まった。


「ま、まことに失礼きわまりないのですが、出てもいいでしょうか…?」
「は、はい…。」


そう言うと、名前さんは「ありがとうございます」って言って、オレ達から少し離れて電話に出た。
そんなこといちいちオレに断んなくていいのに…。っていうかすごい冷や汗だけど大丈夫なのかな?


「じゃー河川敷に行くぞ。ツナの部屋じゃせめーからな。」
「え、でも名前さんがまだ…」
「名前ならこれからヒバリんとこだ。」
「え?」
「綱吉さあぁぁあん!!!」
「何ですかーーーー!?」


…ああ、なるほど、ね。








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