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26


「ごめんなさいぃぃい綱吉さんーーー!!」
「いきなり何ですかーーー!?」


ヤクザ事件も無事に解決してツナの部屋で一服しているところ、名前が泣きながら部屋に入ってきた。


「綱吉さんがピンチの時に何もできなかっただなんて…!!」
「しょ、しょうがないですよ。名前さんは風紀の仕事やってたんだし……」
「この期にボンゴレやめちまえ。」
「獄寺君…」


ディーノのドッキリでツナが攫われていた時、名前は風紀の仕事でいつもより早めに学校に行っていた。
先程学校から帰ってきた時にこの事実をリボーンから知らされ、土下座して額を床にぶつけているわけだ。


「う……そうよね…私は綱吉さんを守れなかったんだもんね…」
「いや、現に生きてるし…」
「今こそせっぷくの時です!さあ綱吉さん!かいしゃくしてください!」
「落ち着いてくださいーー!!」


少し赤くなっている額を勢いよくあげて、名前はツナにせまった。
が、ツナにそんなことができるわけがなくて、ツナはせまってくる名前を必死に押し返す。


「名前、ボンゴレやめるんだったらキャバッローネにこいよ。」
「ダメだぞ。名前はボンゴレをやめたりしねーからな。」


そこでちゃっかりディーノが勧誘するがリボーンに一蹴されてしまった。


「でもリボーン!私は…」
「ヒバリとの関係を維持するのも立派な任務だぞ。ヒバリは将来絶対役にたつからな。」
「えええやっぱりリボーン、雲雀をボンゴレに入れるつもりなの!?いやだよ私!」
「決めるのはオレだ。」
「綱吉さんじゃないの!?」


普通はボスであるツナが決めることだと思うのだが…決定権は何故かリボーンにあるのだった。


「…じゃ!そろそろ行くか名前!」
「あ、うん!」


段々ずれてきた会話を仕切りなおすかのようにディーノは言って、椅子から立ち上がった。


「どこに行くんですか?」
「買い物です!」
「イタリアにいる部下に土産でも買ってこうと思ってな。」


今から名前と買い物に行くらしい。


「何か買ってきてほしいものはありますか?」
「いえ、特には…」
「じゃあ行ってきますね!ディーノ、着替えてくるから下で待ってて。」
「おう。」


名前に言われた通り、ディーノは階段を降りようとしたところ見事にこけた。













「ここのコーヒー豆はどう?リボーンがけっこう気に入ってるみたいなの。」
 「へー。じゃあちょっと買ってくか!」


そして2人がやってきたのは並盛商店街。
2人は楽しそうに色々な店を見ているが、この商店街に2人の存在は少し浮いていた。
美形のディーノに美人の名前。この2人が腕を組んで歩いているのだから、それはもうお似合いのカップルにしか見えなかった。
夕飯の食材を買いに来たおばちゃんも、会社帰りのサラリーマンも、学校帰りの学生も、誰もが振り返っていた。


♪〜〜〜♪


「ちょっとごめんね。」
「ああ。」


コーヒー豆を買ったところで、名前の携帯に誰かから電話がかかってきた。
ちなみに着信音は水戸黄門のテーマ曲だった。レジのおばちゃんが驚いていた。


『今どこにいるわけ。』
「…何で?」


かけてきたのは雲雀だった。あまり機嫌が良いとは言えない声色だ。


『放課後来いって言ってるよね。』
「だから今日は用事があるって言ったじゃん。だから朝早く来たのよ。」


名前が今日、朝に風紀の仕事をやったのは放課後にディーノと買い物をするためだったのだ。
もちろんそうやって雲雀に言ったのだが…どうやらうまく伝わっていなかったらしい。


『知らないよそんなの。』
「いやいや、私だってそんなの知らないから!」


知らないと言われてもどうしようもない。


『…で、今何してるの?』
「買い物。」
『誰と?』
「んー…友達?」


一応友達と答えたが、あまりしっくりこない言い方だった。
名前にとってディーノは兄的存在だが、本人のいる目の前で兄や家族と言うのは恥ずかしいので、とりあえずは「友達」としておいた。


『…それって男?』
「うん。」
『……』
「もう、用事ないなら切るよ?」
『…紅茶。』
「え?」
『ダージリン買ってきて。』
「…はいはい。じゃあね。」


約1分ぐらいで、雲雀との通話が終了した。


「ごめんねディーノ。」
「いや。誰からだったんだ?」
「ほら、昨日言った雲雀。すっごく人使いが荒いんだよもう!あ、ダージリン買ってくね。」


文句を言いつつも、一応雲雀からのお使いは守る名前だった。













「他に買いたいものある?」
「そーだなー…」


時間は6時過ぎ。沢田家の夕食はいつも大体7時くらいなので、そろそろ家に向かいたい頃だ。


「そーいやまだ名前の誕生日プレゼント買ってねーな。」
「! やったー!」
「何か欲しいのあるか?」
「イカとタコとブドウ以外なら!」
「はは。じゃー…着物なんてどーだ?」


ディーノは丁度通りかかった着物店のショウウィンドウを見て言った。


「あ、着物はこの前生地を…もらったの。」
「…んー…下駄は?」
「そういえばない。」
「じゃ、それな。あとかんざし。」
「ありがとうディーノ!」


本日最後の買い物を終了して、2人は沢田家に戻った。








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