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「名前、エスプレッソ買ってこい。」
「なっ、リボーン何言ってんだよ!」


名前が奈々の手伝いを終えて自分も食事を始めようと椅子を引いた時だった。
リボーンが急なおつかいを名前に頼んだ。
ツナは「なにも今行かなくてもいいし、第一名前さんをパシるなよ」とリボーンに言ったが、結局名前は「いいんですよ」と言ってリボーンの言う通り、エスプレッソを買いに出かけてしまった。


そしてディーノとの食事が始まったわけだが………ディーノは目の前の食事をこぼしにこぼしまくったり、自分で自分の足を踏んで転んだり…と、見事なまでのへなちょこっぷりを披露していた。
更には懐に入れていたはずのスポンジカメのエンツィオが風呂場に逃げて巨大化しているではないか。
勇ましく鞭を手にとったものの、その鞭捌きはランボの手榴弾を飛ばした時とはかけ離れていた。
すっぽ抜けたなどと言って、ツナの顔面に当たったり、ランボの頭に当たったり。


キャバッローネファミリー10代目ボス、ディーノは部下の前では頼れるボスだが、部下がいなくなると極端に運動神経が落ちるという究極のボス体質なのだ。
ただし例外として、部下ではないが名前の前でもへなちょこになることはない。


「なんとかしてよリボーン!!」
「手を出すなって言われてるしな。」


しかも自覚が無いのでタチが悪い。
リボーンは手を出さないつもりらしいが、このままでは家まで食べられてしまう。


「大丈夫だぞ。もうすぐあいつが帰ってくる。」
「あいつって…?」
「綱吉さん何事ですかコレは!?」


リボーンの言った「あいつ」というのは……名前の事だ。
名前は頼まれたエスプレッソを片手に持って、今丁度風呂場に駆けつけてきた。


「! 名前危ねぇ!オレに任せて下がってろ!!」
「え?」


その名前の姿を見たディーノは、名前を守るように立って、もう1度鞭を振るった。
ツナはまた来るだろう衝撃に構えて目を瞑ったが、いつまで経ってもその衝撃は訪れない。
そっと目を開けてみると、ディーノの鞭が見事にエンツィオの首をとらえているではないか。そのままエンツィオは気を失い、事態は解決した。


「もう、またディーノのやんちゃ?」
「だから違うって!」












今のカメ事件でディーノさんが部下がいなくなると極端に運動神経がおちてへなちょこになることと、部下じゃないけど名前さんの前でも能力が発揮されること(でも名前さんが見てないと駄目らしい)を証明させられたけど……もうそんな事はどうでもよくて、オレの頭の中は風呂が壊されたことで一杯だ。
エンツィオは元に戻っても、うちの風呂は破壊されたまま。とても使える状態じゃなかった。うちの風呂が使えないということは………


「1度でいいから『せんとう』に行ってみたかったんです!」
「オレも初めて入るぜ。」
「お・ふ・ろ!お・ふ・ろ!」


……という事で、オレ達は銭湯に行くことになってしまったわけだ。母さんは夕飯の片付けとか色々忙しいから、お隣さんに貸してもらうらしい。
…つまり、オレ以外は皆銭湯初めてなんだな。………ものすごく心配だ。名前さんとディーノさんとリボーンはまだしも、ランボとイーピン……いや、イーピンもランボがいなけりゃ大丈夫だからとにかくランボが心配だ。


「あ!ここですか?」


あああ着いちゃった…。やっぱ1日ぐらいやめればよかったなぁ…。でも来ちゃったんだから…うん、覚悟を決めよう。


「女湯はそっちだから…ってランボはこっち!」
「ランボさんは名前と一緒に入るんだもんねー!」
「お前男だろ!」
「やだやだやだー!名前ー!」


早速これだよ…!ちょっと予想はしてたけど……恥ずかしいだろ!受付のおばあさんに笑われてるぞ!


「いいじゃないですか綱吉さん。ランボくんの面倒なら私が見ますよ。」
「ええ!?で、でも…」


い、いいのか…!?5歳…だもんな。いいのか……。でもランボとイーピンを一緒にして大丈夫かな…。
……名前さんがついてるなら大丈夫だよな!


「じゃあ、お願いします。」
「はい!3人でえーっと……裸のつきあい?を楽しんでくださいね!」


…またそんな微妙な言葉を…どこで覚えるんだろう。












「はあ……」
「どうしたんだツナ?さっきから浮かない顔して。」
「えっ…いや、何でもないです…」


心配なんだ……心配なんだよ……ランボとイーピンが何かしでかさないか…!
まずランボは銭湯で泳ぐだろうし、イーピンにちょっかい出せばイーピンの餃子拳で大パニックだろ。
……最悪銭湯破壊されるかもな…。


「ガハハハ!でっかいプールだーー!!」
「ジャッポーネには熱いプールがあるのね!でもどうしよう、あたし背泳ぎしかできない!」
「ランボさんは犬かきできるもんねー!」


名前さーーーん!!!
プールじゃないですよ!泳いじゃダメですよ!誰か正しい銭湯を教えてあげてー!
女風呂の声が聞こえるなんて、どんだけここの壁薄いんだよ…。さすが営業100年…。


「…ここってプールなのか?」
「違いますよ…。」


ディーノさんまで…。


「イーピンちゃんおいでー。頭洗ってあげる。」
「〜〜〜」
「ランボさんもーー!ランボさんも洗ってーー!」
「〜〜!〜〜!」
「ぐぴゃ!!」


……も、もしかしてこれは……思った通りのパターンですか…!?
声から推測する限り、ランボとイーピンが名前さんを取り合って、ランボがイーピンの餃子拳をくらって……いつもだとここで……


ドガーーン


「やっぱりーーーー!!」
「何だ!?」


何で銭湯にまで手榴弾持ってきてんだよ!!
ランボの手榴弾のお陰で女湯と男湯とを仕切っていた壁が粉々になってしまった。
え、ちょ、ままま…!ってことは、女湯が丸見え……!?わーーそれはダメだって!!


「こっちだもんね〜!ばーかばーか!」
「〜〜〜!」
「こ、こらランボ!」


チビ達が男湯に移ってきて、ランボは台に置いてある石鹸を片っ端から投げ飛ばして、イーピンはそれを餃子拳で防いでいる。
この場に他の客がいなくてよかった…!いやそれでもまだよくないけど!


「綱吉さんすいません!!」


ちょーーー!!名前さんは来ちゃダメだって!タオル巻いてるけど…!巻いてるけど…!


「これでもくらえーーー!」
「ランボ!いい加減に…」


ポチャン

ドゴォオ


「ひぃーーーー!!」
「エンツィオ!?」
「ドアの隙間から入ってたみてーだな。」


エンツィオを温泉の中に落とすなんて……ランボの奴なんて事してくれたんだ…!!
さっきは風呂の水だったからあれくらいで済んだけど、温泉じゃあこれ…とんでもないよ!!


「ディーノ、鞭…わわっ!!」
「「!!」」


名前さんの迅速な行動にさすがだと思ってたら……こけました。名前さん。
ランボとイーピンの攻防戦で散らばった石鹸を踏んじゃったみたいだ。


ドカッ


「!」


やばいやばい!そんなところにエンツィオが暴れて壊れた、天井の瓦礫が…!!


「名前目ェ瞑れ!!」
「!」


オレが言葉を出すよりも速く、ディーノさんは名前さんのもとに走っていた。
名前さんを抱えて瓦礫の雨を避けたと同時に、鞭を手にとってエンツィオの首を締め上げた。
そして一件落着……?銭湯ボロボロだけど………ま、まあ、ディーノさんかっこよかったなー!!






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