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「おいしい…!!」


いきなり雲雀が押しかけてきたと思ったら態度はでかいし仕事部屋は見られるしで…散々だったけど…


「この『おみそしる』すごくおいしい!」
「そう。」


和食ですっかり機嫌をとられてしまう自分が情けない…!!
だ、だってここの料理すごくおいしいんだもん!目の前には伝統あるジャッポーネ料理がズラーって並んでいる。
雲雀が言うにはここのお店は高級なジャッポーネの国土料理専門店で、店長とは知り合いらしい。
ジャッポーネ料理はあんまり食べる機会が無くて食べられなかったんだ。っていうか、どこに行けばジャッポーネ料理が食べられるかわかんなくて……ね!
ああ、今すっごく幸せ!一緒にいるのが雲雀じゃなくて綱吉さんだったらもっと幸せ!綱吉さん大丈夫かなあ…。


「たまねぎ落としてるよ。」
「!」


いけない!考えてたら掴んでいたたまねぎを落としていたみたいだ!
私は急いでそのたまねぎを拾って口の中に入れた。あまーい。やっぱりお箸って難しいなあ。


「…食べるんだ。」
「え…だってジャッポーネには“3秒ルール”っていうのがあるんでしょ?食べ物を落としたら3秒以内に拾って食べなきゃいけないっていう…」
「自由だよ。」


えええだって『ルール』って言うから私はてっきりしなきゃいけないものだと…!
…まあいっか!ルールってわかってなくても私はきっと食べるし。


「それにしてもジャッポーネの料理は大胆よね!ご飯の上に何でもぶっかけちゃうんだもん。」


うな丼も、カツ丼も、納豆も、とろろも!おみそしるまでご飯にかけるっていう話も聞いたことあるし!


「……」


…もういい加減雲雀に“かわいそうな子”のように見られるのも慣れたなあ。ふん、そんなの気にしないもんね!さーて次は何を食べようかな!
テーブルの上を端から端まで見渡してみる。と、寿司コーナーがあるじゃん!何で今まで気づかなかったの!
あれ、でもトロとかウニはわかるけど、何かわかんないのが乗ってるやつもある。


「…?これは何が乗ってるの?」
「タコだよ。」
「!!?」


たたたたた、たこって………たこって…!?


「あああの海にいるたこ!?」
「…そうだよ。」
「な、何でたこをお寿司にしちゃうの!?だめだよそんなの!」
「ふうん…苦手なんだ。」
「!!」


ひぃぃぃなんかすっごい嬉しそうに口の端を上げてらっしゃるーー!!やばいよ苦手なものバレちゃったよ!


「別に苦手じゃ…」
「じゃあ食べなよ。」
「う……」


こんな恐ろしいものを食べるくらいなら、雲雀に苦手だって事バレた方がマシです、はい。


「食べてあげるよ。」
「…え!?」
「だから食べてあげる。」
「いいの!?やったーありがとう!」


雲雀ってこんなに優しかったのね!
私はお箸でたこの乗った寿司を掴んで、雲雀の口の前に差し出した。


「……」
「? 食べてくれるんでしょ?」
「……」


一瞬雲雀が驚いたように見えたけどどうしたんだろ。
まあ食べてくれたからいいや!ふー、これでまた優雅な食事ができるわ。
たこのお寿司はすっかり忘れて、他のお寿司にいきましょうか!


「………!?」
「…今度はどうしたの。」


ちょちょちょ、ちょっと待って!たこのお寿司があった場所の隣に、なんか白く光るものが見えるんですけど…!?
これはどう考えてもトロだとかハマチだとかの魚の肉じゃなくて……10本足の……


「……もしかしてイカも苦手なの?」
「に、苦手なわけ……………ありますよ…!!」


やっぱ無理です!こんな恐ろしいものを食べるくらいなら雲雀に苦手だって事バレた方がましです!


「食べてあげる。」
「ありがと!」


雲雀が初めて神様に見えた!黄金に輝いて見える!
って事でいかのお寿司も雲雀の口に投入。自分の苦手なものを食べてくれる人がいるとすごい助かるんだよね。残すのはお店の人に失礼だし。














ジャッポーネ料理でおなかも心も満腹天国!ってところで、雲雀に「次行くよ」って言われて立たされました!
もしかしてこの調子で食の旅!?「まいうー」って言うべきだった!?って思いながら雲雀についていくと、たどり着いたのは着物屋さんだった。
着物っていうのはね、ジャッポーネの女の人が着る伝統的な装束のことだよ!すっごく綺麗で憧れてて、いつか手に入れようと思ってたんだよね!


「わー…すごい!」
「好きなの選んでいいよ。」


綺麗に展示された着物にうっとりしてたら、隣の雲雀さんがなんかすごい事を言ったのですが……


「…はい?」
「意味わかるよね。買ってあげるってこと。」
「……いやいやいや!いいよ!だめだよ!」
「早く選びなよ。」
「だからいいって!中学生の出せる金額じゃないでしょ!?」
「僕は出せる。」


着物って今ではすごく高いものって奈々さんが言ってたよ!?とても中学生が買えるものじゃないって!!
いやでも確かに雲雀なら出せそうな気がするけど……中学生にこんな高いもの買ってもらうのは悪いよ!下手したら私犯罪にならない?!
あ、ちなみにさっきの料理のお金はお店の人の奢りだったみたい。
山本くんちのお父さんといい、ジャッポーネの人はとても優しいね!(※雲雀の権力)


「とにかくだめ!自分で買うから!」
「誕生日くらい人から貰えば。」
「!」


も、もしかして今までずっと私の誕生日を祝ってくれてた…のかな?
わあ…今度は雲雀がすごく可愛く思えてきた!これは素直に嬉しいな!


「…じゃあ、生地だけがいいな。私着物作ってみたかったの!」
「……いいよ。」


それでもやっぱり中学生に着物を買ってもらうのは悪いから、布だけもらうことにした。布だけだったらそこまでしないと思うし。


「うーん…じゃあー……」
「…これにしなよ。」
「あ、いいかも。値段は…」
「決まり。」
「へ!?ちょっと待って値段!」
「そんなの気にしなくていいよ。」


気にしますよ!!チラっと見たらなんか0が一杯あったような気がしたんだけど……雲雀がさっさとレジに持ってっちゃったからわかんないよー!
結局その布がいくらかは迷宮入りになった。
















その後、私は雲雀に家まで送ってもらった。


「えーっと……ありがとね!すっごく嬉しかった!」
「…そう。よかった。」


雲雀ってこんなに優しくて可愛かったんだなあ。今日すごく見直したよ、雲雀のこと!


「じゃあ、また明日。」
「!」


なーんて思ってたら、またキスされた…!!
すごく短かったから怒鳴る暇もなかったんだけど。ああ、せっかく見直したのに雲雀は雲雀だ。









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