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22



ピピピピ


「……」


ピピピピ


「んー…」


ピピピピ


「……はあぁい…」
『…まだ寝てたの。鍵、開けてくれる。』
「はあぁい……え、何で!?」
















「えーーっと…何の御用で?」


今日の朝携帯の着信音に起こされて出てみたところ、今となってはもうお馴染みとなってしまった雲雀恭弥だった。
聞くと、なんと雲雀は今名前の家の玄関の前まで来ているらしい。
実際に玄関を開けてみると雲雀が私服で立っているではないか。


「忘れたとは言わせないよ。」
「………あ゛…」


ここでようやく名前の頭が正常に起動し、昨日の出来事を思い出した。
昨日どうしてもリボーンの誕生日会に行きたかった名前は止めてくる雲雀に麻酔銃を撃って眠らせたのだ。一気に名前の顔色が青くなった。


「ごごご、ごめん!だってああしない限り間に合いそうになかったし私もしょうがなく…」
「上がるよ。」
「ああどうぞスリッパこれね。」


名前が慌てて弁解するが雲雀は特に気にしている様子はなくて、ずかずかと家の中に入って行く。
中に入れるつもりはなかったのだがなんか流れ的に雲雀を入れてしまった名前。スリッパまで出している。


「ってちょっと待って何で!?」
「何が?」
「いやいや、何で雲雀がうちに上がってるの!?」
「忘れたとは言わせないよ。」


名前の質問に雲雀は前と同じ台詞を返した。


「いや、約束の事はちゃんと覚えてるよ?でも何で家の中に上がる必要があるの?」
「…外に行きたいの?」
「そういうわけでもないんだけど…」
「じゃあいいでしょ。」


雲雀はリビングに入り、イタリア製のふかふかのソファーに腰をおろした。応接室にいる時のように平然として。


「(何この子…!)」
「お茶。」
「んなッ…」


更に居座る気満々らしい。


「緑茶でいい?」
「…紅茶の方が好きだけどね。」
「わかりましたよ紅茶ね!」


折角気を利かして緑茶を用意したが、雲雀は紅茶の方が好みらしい。
名前はしょうがなくまだ開けてない紅茶のパックを開けた。イタリアを出発する時にディーノにもらったものだ。


「はいどうぞ。」
「……これ、高いんじゃないの。」
「さあ…もらったからわかんないや。」
「…あっそ。」
「……」


呆気無く終わってしまった雲雀との会話。
名前は無言の空間が居た堪れなくて、雲雀の隣に腰を下ろし、リモコンを使ってテレビの電源をつけた。
丁度その時のチャンネルでやってたのは戦隊もののアニメだった。


「わあ。ねえ、これ何て言うの?」
「知るわけないよ。」


雲雀に聞いてもわかるはずない。


「ま、じ、れんじゃー?」
「……」


名前がオープニングのロゴタイトルを読んでみたところ、まじレンジャーというアニメ番組らしい。


「ねえ、まじれんじゃーってどういう意味?」
「…知るわけないよ。」


だから雲雀に聞いてもわかるはずない。
雲雀は本当に知らないのだが、名前は前みたく知っていながら教えてくれないものだと思い込んでいるみたいで、「ケチ」と小さく呟いた。
その後、名前はテレビに釘付けとなってしまった。














「魔法を使ってたたかうなんてジャッポーネのアニメはおしゃれね!」


かれこれ30分。名前は雲雀ほったらかしでまじレンジャーを見届けた。
おしゃれかどうかは知らないが、名前は気に入ったようだ。


「あ…」


1人で感動していると2つのティーカップが目に入り、雲雀が来ていたことを思い出した。
慌てて隣を見てみたところ……雲雀の姿がない。リビングを見渡してもどこにもいなかった。


「帰ったのかな…」


…と思いつつも、嫌な予感がびしびしする。
念のために、と名前は他の部屋を探してみることにした。


「……」


トイレ、洗面所、物置、寝室など、どこを探しても雲雀はいない。
最後は仕事部屋。武器の調整をしたりスパイ潜入用の服を作ったりする部屋だ。
この部屋にだけはいてほしくない。そう思いながら名前はそーっとドアを開けた。


「いるーーーー!!」


名前の願いとは裏腹に、そこにはクローゼットの中を見ている雲雀の姿が。
クローゼットの中には今まで作ってきた服がズラリとかけられている。


「………コスプレ?」
「変装!!」


名前に「コスプレ」という意味はよくわからなかったが、とりあえず否定しておくことにした。


「もう…これ立派な不法侵入だと思うんだけど!?」
「だったら見られないようにしとけば。」
「…ああ、こういうの何て言うんだっけかな……あ、『りふじん』だ。」


どこまでも勝手な雲雀に名前は涙が出そうになった。
何で自分の周りにはこうも人の言い分を聞かない人が多いのだろうか、と。


「とにかく早く出…」


頭をおさえた後、チラリと雲雀を見てみると…その視線は机の上に並んだ写真立てをとらえていた。名前の表情が急変する。


「……」
「出てって。」


名前は雲雀と机の間に入り、真剣な表情で訴えた。
写真を隠しているつもりだろうが、雲雀と名前の身長差ではまだ肩越しに写真が見える。
そこで雲雀は1枚の写真に注目した。
他の写真に名前と思われる姿は無いのだが、ただ1枚。名前の面影ある少女が、その家族と思われる人達と幸せそうに笑って写っていた。
中学生くらいだろうか。母と思われる女性に肩を抱かれ、隣に立つ父と思われる男性は、兄と思われる少年の肩を抱いていた。


「……」
「っ…」


耐え切れなくなった名前は雲雀の腕を掴んで強引に部屋を出させた。
明らかにいつもの名前とは様子が違ったので、雲雀は特に抵抗をしない。名前に引っ張られるがままに部屋を出た。


「ねえ、雲雀は何がしたいの?」
「………」


名前は部屋を出たあと、雲雀の腕を掴んだまま雲雀の顔を下から睨みつけた。


「…外、出ようか。」
「え?」


雲雀の口から出たのは謝罪ではなくて今の状況とは少しズレた言葉。


「面白いところに連れてってあげるよ。」
「…はあ…。」


名前は呆気にとられて、掴んだ雲雀の腕を放してしまった。







■■
マジレンジャーって今となっては相当古いですね笑える。





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