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11:ドキドキ


「リボーンさん!医者はまだ見つかんねーんすか!?」


名前とランボが船に戻って間もなく、リボーンも帰ってきたが医者の姿はない。


「ああ。そう焦るな。すぐ死ぬわけでもねーし、この島にいることは確実なんだ。」
「でも…」
「こう避けられると……な。」


確かに名前の病気はすぐに死ぬようなものではない。それでも一刻も早く病気を治して欲しいと獄寺と山本は思っていた。
ここ数日、名前には近づけないし目も合わせてくれない。それは思っていたよりもずっと堪えたのだ。


「そういえば名前、今日命狙われなかったか?」
「はあ!?」


「今日晩飯食べたか?」…そんな軽いノリで聞かれた。


「ね、狙われるわけないじゃん!」
「そーか。明日は気をつけろよ。ちょっと厄介な殺し屋がこの島にいるらしいからな。」
「えええ!?」
















翌日。
リボーンによるとこの街には医者だけでなく殺し屋までいるということなので、名前は今日一日船内で安静にしていることを選んだ。
リボーンは朝早くに街へ出てしまった。
名前は朝ごはんを食べてから部屋に籠りっぱなしだった。こんな生活があと何日も続くと思うと気が滅入った。
病気と言っても熱や咳などの症状は特にないため、ベッドに横になっても寝られるわけではない。
名前は水でも飲もうと、部屋から出ることにした。


「え…獄寺くん!?」
「ふがっ」


名前が部屋の扉を開けると、なんとそのすぐ横で獄寺が座り込んで寝ていた。


「10代目!お体の調子はどうですか!?」
「そ、そんなことより、こんなところで寝てたら風邪ひいちゃうよ!」
「いえ!いつ敵襲があるかわかりませんから!」
「そんな…」


どうやら名前の部屋の前で護衛をしていたらしい。
殺し屋の話を聞いたからか、名前が病気にかかっているからか、いつにも増して過保護だ。


「10代目は俺がお護りします!」
「!」


名前は本気でやめてほしかったが、獄寺に真剣な表情で「護る」なんて言われたら何も言えなくなってしまう。
…というか、今の状態でそんなこと言われたら変に意識してしまう。


「えっと…」
「あ…その…」


名前の顔がボンっと赤くなり、それにつられて獄寺の顔も真っ赤になる。


「じゃ、じゃあちょっくら殺し屋シメてきますね!」
「ええ!?」


獄寺は照れ隠しに物騒なことを言って船を出ていってしまった。














獄寺に調子を狂わされた後、名前は喉を潤すためキッチンへ向かった。


「おっ、名前か。」
「!!」
「あー、気にすんな。あんま近付かねーから。」
「ご、ごめんね…。」


しかし今度は山本の姿。反射的に身構える名前を安心させるように山本は距離をとった。


「そーいや獄寺がなんか変な声あげて出ていっちまったけど…何だろーな。」
「………」
「…まー心配すんなって!獄寺は大丈夫だろうし、敵襲があっても俺が護ってやるから。」
「!」


しかし山本にまで獄寺と同じようなことを言われて、名前の心臓がまたバクバクと高鳴りだした。
真っ赤になっているであろう顔を見られたくなくてあちこちに視線を泳がす名前。


「……なあ、名前…今どんな気持ち?」
「え…」


そんな名前に山本が一歩近づいた。


「す、すごく、ドキドキして…苦しい……」
「…俺も同じなんだ。」
「えっ!?武も病気!?う、移っちゃった!?」


名前と同じ、ということは山本も胸がドキドキして苦しいということだ。
もしかして自分の病気が移ってしまったんじゃないかと、名前は心配そうに山本を見上げた。


「…ははは!」
「え…?」
「何でもねえ!今言うのはフェアじゃねーよな!」


本気で心配してくれる名前をよそに、山本は一人勝手に納得している。
未だによくわかってない名前の頭を軽く撫でて行ってしまった。
取り残された名前は、心臓がバクバクしてしばらくその場を動けなかった。






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