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15


「……」
「……」


ああ、本当私何してるんだろう。


「どこか行きたいところある?」
「……綱吉さんのところに「却下。」……。」


何で大嫌いなこの少年と並んで商店街を歩かなきゃいけないんだろう。誰か教えてほんとお願い。
周りの人からは怯えた目で見られるし……町の人達に何をしてるんだこの少年。
いやいやでもでも!綱吉さんの為なら我慢しますよ!3食ずーっとカツ丼だなんて私だって堪えられないし。カツ丼は確かに美味しいと思うけど、毎日それじゃあ流石に飽きるわ。

「大体ね、君は私を連れまわして何をしたいの?」
「雲雀恭弥。」
「はい?」
「名前だよ。」
「……ああ、うん雲雀ね。雲雀は私を連れまわして何をしたいの?」


なんだ、名前を呼んで欲しかったの?意外と可愛いじゃん!


「教えない。」


可愛くない!断じて可愛くなかった!
教えてくれない理由がわからないんですが!はッ…まさか私の情報を売る気じゃ…?!


「で、どこに行きたいの?」


…何でこの子こんなに偉そうなんだろう。
別に私どこにも行きたくないんだけどなあ。雲雀の口調だと私が雲雀を連れまわしてるみたいじゃん。皆勘違いしないで!連れまわされてるのは私の方だよ!
…でもせっかくだからどこか連れてってもらおうかな。あんまりジャッポーネのお店行ってないんだよな。


「…じゃああそこのなんか楽しそうなところ。」
「……………いいよ。」


あれ、でも今あからさまに嫌な顔したよね?……まあいいや!
なんかあそこ、すごく楽しそうなんだもん!いっぱい光ってて、いっぱい機械があって、いっぱい人がいる。カジノかな?


「わあ、すごい…」
「…煩い……」


中に入ると、雲雀の言う通りすごく煩い機械音が耳に押し寄せてきた。
そりゃあもう、すごいよ。耳を塞ぎたいくらい。でもすごく楽しそう!


「ねえ雲雀、あれどうやるの?!」


なんか機械の中にぬいぐるみがいっぱいあって、クレーンみたいなのが上についてる!
しかも中にあるぬいぐるみ、知ってる!ほらあれ、ぼけもんってやつ!


「…さあ。周りの人でも見てみれば。」
「……それもそーですね!」


ケチ。絶対知ってるくせに!まあいいけどね!そこにいる小学生の男の子を参考にしますよ!
可愛らしく鼻水を垂らしている少年によると、まずはお金を入れて、それからボタンをおしてクレーンを操作してぬいぐるみを取るようだ。
でもクレーンを動かせるチャンスは横と縦の2回だけ。結構厳しいなあ。
少年は見事にぼけもんの、ぴかちゅーのぬいぐるみをゲットした。おめでとう!


「簡単そう!」


あの男の子にとれたんだから、私にもとれるよね!
という事で、早速100円玉を投入口に入れた。(学校のこうばいのためにこの前銀行から現金をおろしてきた)
私が狙うのはとらんせる!ぼけもんの中で1番好きなんだ!よーし、確か少年はまずこっちのボタンを押してたよね!












「とれた!」


あれから10回くらいトライして、やっと念願のとらんせるをゲットできましたよ!
いやー、一見簡単そうに見えたけど、実はかなり難しいゲームだったんだね。ごめんよ少年。私は君を心から尊敬するよ!
そういえば雲雀はどうしたのかなーって思って周りを探したけど………あれ、いない。せっかくとらんせるを自慢しようと思ったのに。
まあ別にいいけどねー。雲雀がいなくても充分楽しめるしっていうかむしろいない方が楽しめるし!


「君、雲雀恭弥の女?」
「……私は女だけど雲雀のじゃあないよ。」


次は少年達が楽しそうに太鼓を叩いてるのが見えたので、それをやろうと思ったところ。
目の前に中学生か高校生くらいの男の子達が出てきて、私の行く先を阻んだ。
表情を見る限り、爽やか野球少年だとか、サッカー少年だとかではないね。いかにも「オレ達喧嘩つえーんだぜ」みたいな。


「雲雀なら並盛第一公園で待ってるって言ってたぜ。」
「………」
「案内してあげるよ。」
「……………ありがと。」


あの、嘘ってバレバレなんですが。いやあ本当あからさますぎて呆れちゃうね!
でも万が一雲雀の身に何かが起きてるんだったら、つきとめないと。彼のことはリボーンも気に入ってるみたいだし、ほっとけないし。
こんな子達にやられるとは到底思えないけど……一応ね。彼も中学生だもんな。
とりあえず私はこの人相の悪い男の子達についていくことにした。














「いないみたいだけど。」
「もうすぐ来るぜ。」
「生きてたら…だけどなあ!」


彼らの言う並盛第一公園っていうところは私がいたゲームセンターとはさほど離れていなくて、歩いて3分もしないうちについた。
もうすぐここは取り壊されるみたいで、普通はあるべき子供の姿は無い。なるほど。彼らにとってはここは丁度良い場所なのね。
あら、いつの間にか取り囲まれちゃった。他にも仲間いたんだ。この様子だと雲雀の方にもいるみたいね。
目的は多分、雲雀への復讐だとか、そこらへんだろう。商店街歩いてるとき、大半は怯えた目だったけど中には憎悪の視線も含まれていたから。
皆ナイフやら鉄パイプやら、どこかしらに武器を持っているようだ。うかつに動くのは、危険かな。
銃は両方持ってきてるけど…一般人にぬくのは気が引ける。さあ、どうしよう。


「へえ…かなりの上玉じゃねーか。」
「雲雀の奴もやるなァ…。」


そんな事を悠長に考えてたら、後ろから羽交い絞めにされて、前の男に顎をつかまれた。
そして舐めまわすような、嫌な視線であたしの頭から足までをじろじろ見る。周りの男も皆同様だ。
……この目、嫌、だ。やばい。


「雲雀が来るまで楽しもうぜェ!」
「ヒューー!」


だめ、触らないで。その目で、見ないで。
…―思い出す――――


「ッ!!」
「ぐあっ!!」


私は気が付いたら、後ろの男を腕を掴んでみぞおちに蹴りを入れて、前の男にはその足で回し蹴りを首に入れていた。
無意識だった。左腕が燃えるように熱い。やばい、な。本当にやばい。
このままだと私、人を傷つける。銃をぬいちゃだめ…!


「このアマァ!!」
「追え!!」


うずく左腕をおさえて、行き場のない左腕の狂気を右腕に受け止めて、走った。
早く、早く早く、この場所から……人のいないところに行かないと…、行かないと、いけない、のに。
視界がゆがむ。吐き気がする。気分がわるい。
膝がかくっとおれて、砂の上に膝をついた。背後に砂を踏む音がたくさん聞こえた。
どうしよう。本当にやばいな。この痛みを抑えるにはシャマルの作った鎮痛剤が必要なんだけど……持ってきてないや。
くるしい。


「…何してるの。」









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