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12


「あれがA組総大将だぞ。」
「あいつが指示したのか。」
「ムカツクよなー。」
「じゃましてやる。」


結局B組とC組総大将襲撃事件はツナの仕業という事になり、ツナは全校生徒のおよそ3分の2の憎悪の視線を一身に受けていた。











「綱吉さん、本当にカゼはいいんですか?!せめて熱冷まシートでも…」
「本当に大丈夫ですよ!(熱冷まシート貼って公衆の面前に出たくないよ!)」


午前の競技は終了し、昼の休憩時間となった。
ツナは応援に来てくれた母やハルやビアンキらと共にシートに座っておにぎりを食べていた。
隣にはランボを膝の上に座らせた名前がまだカゼの心配をしているが、ツナは色んなことが起こってそれどころではない。とりあえず今は生徒達からの視線が痛い。
母、奈々は「有名人みたいね」なんて呑気な事言っているしビアンキとリボーンは無視、名前とランボに至っては全然気づいていないようだ。
唯一不快に思ったハルが生徒達に向かって抗議するが、素直に聞き入れてもらえるわけがなかった。
するとさっきまで無視していたビアンキが立ち上がり、生徒達にチョコレートを配りだした。
もちろんそれが普通のチョコレートなわけがない。それを食べた生徒達は次々と苦しそうにもがいて倒れていき、見事ポイズンクッキングの餌食に。……本人曰く、死なない程度らしいが。


『A組の総大将が今度は毒をもったぞ!』
「おいコラーー!!!」


それを見計らったようにリボーンが、わざわざスピーカーで今の騒動をふれまわった。主犯者をツナにして。
そして素直に信じる生徒達。憎しみが一層増し、皆一斉にツナの方を睨んでくる。
ツナは「だからこいつらには学校に来てほしくなかったんだ」と嘆くが、もう手遅れだ。


『おまたせしました。棒倒しの審議の結果が出ました。各代表の話し合いにより今年の棒倒しは、A組対B・C合同チームとします!』


ここで本部からの放送が入った。昼食の後に行われる体育祭のメインイベントと言っても過言ではない、棒倒しについてだ。
B組とC組の総大将が辞退になってしまったため、各チームの代表者で話し合っていたのだ。
その結果、2対1という明らかにA組が不利な組み合わせになってしまった。
B組とC組の生徒達は素晴らしい程の順応性で団結し、『打倒A組総大将!』なんて唱えている。
ツナの顔が青くなる中、本部から代表で話し合いに行っていた笹川兄が帰ってきた。


「笹川さん!!2対1なんてマジスか?」
「どんな話し合いだったんですか!?」
「多数決で押し切られたんすね。」
「そっ、そんな卑怯な…!!」
「いいや…オレが提案して押し通してやったわ!!」
(((((なぜだー!!!!)))))


てっきり腹を立てたあちら側が無理矢理おしつけたのかと思ったが……その逆だったようだ。


「一回で全部の敵を倒した方がてっとり早いからに決まってんだろ。」
「さすが師匠!!オレも同じ意見です。向かってくる奴は全て倒す!」        
「パオーン。」
「(あんたたちだけでやってくれーー!!!!)」


全くだ。この人達の無謀とも言える判断で一体どれだけの生徒に迷惑がかかることか。


「綱吉さん!さっきより顔色が優れませんが大丈夫ですか!?」
「もう……本当大丈夫ですから…」


そこに再び名前が登場。もうツナは突っ込みのテンションさえ上げられなかった。


「でも安心してください!今保健室に行って熱を下げる薬とネギを貰ってきました!!」
「何でネギーーー?!」


が、ここにはテンションを上げざるを得なかった。
確かに名前の手にはネギが。しかも所々茶色いのは泥なのか腐っているのか。ツナは薬だけ貰う事にした。


『それでは棒倒しを開始します。位置についてください!』


そんなこんなで始まってしまった棒倒し。
男子生徒全員が位置に付くが、A組とB・C組の頭数の差は歴然だ。およそ2倍だから当たり前なのだが。
おまけに相手側の総大将は並中最強と謳われる風紀委員長、雲雀恭弥だ。


「ツナさんファイトー!!」
「がんばってーーーーっ!」
「ネギ、必要になったら言ってくださいねーー!!」


ツナにとって、もはや勝敗より自分が生きて帰れるかの事の方が重要だった。
京子が応援してくれたのは嬉しいが、ネギは本気でどうでもよかった。

開始の合図と共に両チームが衝突する。
人数の所為もあって、早くも敵チームの生徒が棒に登ってきてツナを落とそうとしてきた。
ツナは何度も落ちそうになるが、獄寺達に助けられてなんとか天辺にしがみつく。
が、追い払っても追い払っても何人もの生徒が次々とツナを振り落としにくる。
ついに棒が倒れてしまい、万事休すといったところでリボーンが銃を構えた。銃弾はもちろん死ぬ気弾。


「空中リ・ボーン!!死ぬ気で棒倒しに勝ぁーーつ!!」


ツナは空中で服を脱ぎ(一般人にはそう見えた)、敵味方関係なしに、人の頭の上を飛び移った。
確かに、総大将が地面につかなければ負けにはならない。
そういう事で、山本、獄寺、笹川兄の3人で騎馬を組み、その上にツナが飛び乗った。
そしてそのまま強行突破。どんどん敵チームの生徒を蹴散らしていく。もう誰にも止められない。


「おい芝生メット!てめー今足ひっかけたろ!」
「ふざけるなタコ!人の足を蹴っておきながら!」
「んだとコノヤロー!」
「ちょ、お前ら!!!」


ゴキィ


もしかしたら勝てるんじゃないか、そんな希望が見え始めたところだった。


ドザァ


盛大にこけた。


「「「………」」」


辺りは騒然とした空気に包まれる。さっきまであれだけ白熱していた男子生徒達も、応援席の人達も、皆だ。
敵チームの総大将の雲雀は物凄くつまらなそうな顔をしていた。


「(ま……負けちゃった〜〜〜〜〜!!)」
「おいおい、敗軍の大将がただで帰れると思うなよ。」
「ヘボヤロー。」


本来なら総大将が地面についた時点でこの競技は終了なのだが………どうもそうにはいかないらしい。
敵チームの生徒達はツナを取り囲んだ。リボーンもさり気なくこの場に溶け込んでツナに暴言を吐いた。


「オラやっちまえっ!」
「ギャアアアァァ!!」
「綱吉さん!!」


1人が動き出すと、それを合図に全員がツナに向かって動き出し、棒倒しはただの乱闘騒ぎに。
もちろんそんな事名前が黙って見ているはずもなく、一目散にツナのもとへ走った。


「待ちなよ。」
「!」


が、その途中。上から何か黒いものが降ってきて、名前の行く手を阻んだ。
その黒いものというのは、さっきまで棒の上にいた雲雀恭弥。名前はその姿を確認するとあからさまに嫌な顔をした。


「何?今は君にかまってる暇は「昼休みと放課後、来てって言ったよね。」


名前は雲雀の隣を通り抜けようとするが、雲雀のトンファーによってそれは止められてしまった。首元に金属の冷たい感触があたる。


「…そんな事言ったっけ?」
「言った。」
「いつ?」
「昨日の朝。」
「………」


言われて名前は昨日の朝を振り返ってみた。
そういえば、何故か教えてもいないのに(リボーンが教えた)雲雀から電話がかかってきて、そんな事を言ってたような気もする。
雲雀から電話がかかってきた事の方がインパクトが強くて、内容はすっかり忘れていたのだ。


「とにかく今から来てもらうよ。」
「はあ?!ちょ、今はそれどころじゃ…ッ綱吉さんが…!」
「……」


確かに思い出したが、今の状況でそんな事どうでもよかった。
とにかく名前は今集団リンチにあってるツナを助けに行きたかった。


「……じゃあこの騒動を止めれば来てくれるんだね。」
「へ?ま、まあ、綱吉さんが助かるならいいけど…」
「来て。」
「え?ちょっと…!」


そう言うと雲雀は、名前の手首を掴んで本部の方に引っ張った。そして放送委員からマイクを奪い取り、一言。


『今すぐやめないと咬み殺すよ。』


……この一言により、棒倒しは無事に終わりを告げた。








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