RE! | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -



11



「きっ、奇跡だ!カゼひてる!!」


体育祭当日。こういう日に限ってちゃんと目を覚ましたオレは最後の望みをこの体温計に託した。
その結果、熱は37.5度。こ、これってけっこうな熱だよな…。これじゃあ普通、激しい運動とかできないよな…!


「母さん?」
「おはよ、総大将さん!」
「おはよーございます。」
「んなーー!!」


カゼ引いたから学校休みたいって母さんに伝えようと下に降りたら、台所にはやけにすごいごちそうを作っている母さんに、ハルに(なんでいるんだよ!)、ビアンキに(頼むからやめてくれ!)、つまみ食いをしてるランボ(ウゼー!)が勢ぞろいしていた。


「ほら早く着替えなさい!」
「え!?」
「総大将が遅刻じゃかっこ悪いわよ!」
「そーですよ。みんな待ってますよ!」
「じゃーー後でね〜!」


…………結局カゼだって言えなかったーーー!!













その後、学校に行かざるを得なくなってしまったツナは学校で寝かせてもらおうと保健室に行くが、あっさりと断られてしまった。
先生曰く「男に貸すベッドは無い」とのこと。…かなり理不尽だ。
この先生というのが、先日夜遊びのしすぎでオケラになったDr.シャマル。どうやら名前の偽造の手続きが上手くいったらしい。

更にその後。
ツナが保健室から出ると京子と出くわし、その手にある「綱吉」と刺繍された総大将のハチマキを笑顔で渡された。
それによってますます逃げられない状況に追い込まれるのであった。












「ゴール!!」


並中の大イベント、体育祭はツナがカゼをひいているのとは何の関係もなく熱く進められていった。
たった今、山本が50M走で陸上部のホープを抜いて堂々の1位でゴールした。
その頃カゼを引いているツナは、片隅で安静にしている……わけなく、50M走の反対側のトラックでピョンピョンしていた。結果はビリ。まあ、本人にしてみればいつも通りの結果だ。


「なるほど。そーゆーわけスか。さすが10代目。」
「へ?」
「棒倒しに体力温存スよね!」
「え゛っ(そんなことしてねーー!!!)」


そこに獄寺が来て盛大に勘違い。


「バカモノ!!」
「!」
「全力でやらんか沢田!A組の勝利がかかっているんだぞ!!!」
「いや、あの…」


更にそこに笹川兄が来て盛大にお説教。


「またてめーか!うっせーぞ芝生メット!」
「なに?」
「ちょっ獄寺く「大丈夫ですかあああ綱吉さん!!!」


獄寺と笹川兄が喧嘩を始めたところで更に更に、名前が来て盛大に心配。ツナの言葉を遮ってテンパる名前。


「熱は?!吐き気は?!眩暈は?!大丈夫ですか?!」
「だ、だいじょ「頭痛は痛くないですか?!腹痛は痛くないですか?!」


こうなった名前はなかなか止められない。
相当テンパっているらしくて、日本語が可笑しいが……まあしょうがないだろう。
さっきまでできることならベッドで休んでいたいと思っていたツナも、ここまで本気で心配されてはその気が引ける。気づいたら口が「大丈夫」と言おうとしていた。


「「すっこんでろ!!」」
「ブッ」
「ええ?!」


名前とそんなやりとりをしている間に、さっきまで喧嘩をしていたであろう獄寺と笹川兄が1人の男に蹴りとパンチをくらわしていた。
何故こんな事になったのはわからないが、とりあえず今2人に殴られて気を失った男というのが、C組の総大将だという事をツナは理解した。


「やっ、やばいよ〜っ!この人C組総大将の高田センパイだよ!」
「誰だろーがなぐる!」
「よえー奴。」
「綱吉さん!保健室に行きますか?!それとも膝をお貸ししますか?!」


慌てるツナに対して殴った張本人達は至って冷静。というか、悪いことをしたという自覚が無い。
名前に至っては全く話がかみ合っていない。おそらく今、彼女の目にはツナしか映っていないのだろう。
倒れている高田を見て、C組の生徒達が騒ぎ出した。


「オレ達の総大将に何てことしやがる!」
「コラー!」
「ん?文句があるやつぁかかってこんかぁー!A組笹川が相手だ!」
「ケンカならいくらでも買ってやるぜ。」
「(あおらないでーーー!!!)」
「ああ!ジャッポーネではネギを首にまくんでしたっけ?!」
「名前さんは落ち着いてー!!」


怒るC組を更に煽る笹川兄と獄寺。ツナは泣きたくなった。そしてやっぱり名前は1人でテンパっている。
ネギを買いに行こうと走ろうとした名前を、ツナは必死に止めた。


「大変だー!!B組総大将の押切センパイが、トイレで何者かに襲われた!!!」
「「「「「なんだって!!?」」」」」
「目撃者によるとA組のやつにやられたらしい。」
「またA組かよ!」


更なる情報に、A組の評判はますます悪くなっていく。一体誰がB組総大将を襲ったりしたのだろうか…。


「この人が目撃者だ。そーなんですよね?」
「ああ。」
「リボーン!?」


目撃者として登場したのは水戸黄門を思い出させるようなコスプレをしたリボーンだった。


「B組総大将を襲った奴はA組総大将の沢田ツナの命令で襲ったって言ってたぞ。」
「な!何言ってんのー!!?」


もちろんツナがそんな事をするわけがない。全部リボーンの作り話だ。この調子だと、B組総大将を襲ったのもリボーンだろう。
周りの生徒達はリボーン(老人)の言う事を素直に受け止めてA組、ツナに対しての反感を強めた。誰か1人くらい変だと思う者はいないのか。


「思ったより勝利に貪欲だな。見直したぞ沢田!!」
「ナイス策略!」
「ちがうって!!」
「綱吉さん!私にカゼをうつしてください!全部受け止めます!!」
「だからカゼはもういいよーー!!」


味方までもがリボーンの証言を信じる始末。
もうどうしようもなくて、ツナは老人に扮したリボーンを睨むがいつもの意味深な笑顔で返されるだけだった。
そこで名前が自分に向かって両手を広げるものだから、ツナは本当に帰りたくなった。







next≫≫
≪≪prev