RE! | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -



10



「“極限必勝!!!”これが明日の体育祭での我々A組のスローガンだ!!勝たなければ意味はない!!」
「「「「「オオオオォ!!!」」」」」


山本くんの言った通り、午後は明日の体育祭の打ち合わせだった。
でもさっきから前の男の子が「極限」って叫んでばっかで内容的には何も進んでないような…。
まあ、皆楽しそうだからいいか!













「100m走どころの心配じゃなくなったよ!先パイ達からは白い目で見られるし――…!総大将なんて絶対ムリだよーー!!」


午後の話し合い(かなり一方的)の結果、並中のメイン種目、“棒倒し”の総大将に指名されてしまったツナ。
帰宅途中、今までにない程この状況を嘆いていた。


「大丈夫ですよ、綱吉さんなら!」
「何でそんな自信満々なんですか?!」


嘆くツナの隣で名前はニコニコしながらリボーンを腕に抱えていた。


「やってみなきゃわかんねーだろ。」
「おまえは棒倒しの怖さを知らないからだよ!!」


ツナが言うには、棒倒しという競技は棒の天辺にいる総大将を落とすため、服を引っ張るどころか殴る蹴るは当たり前。結果、勝とうが負けようが関係なく、総大将はキズだらけになる。
だから総大将にはそのチーム最強の男がなるのだ。
したがって、自分にはできない。ツナはそう伝えたかったのだが……


「ワクワクするな。」
「楽しそうですね!」
「ガクガクするよ!!」


リボーンと名前には上手く伝わらなかったみたいだ。
ちなみにB組の総大将は空手部の主将で、C組は相撲部の主将らしい。


「ツーナさん!」


ツナが青ざめていると、上の方から明るい声が投げかけられた。
変に思いながらも、声のした上の方を見てみると、電柱にしがみ付いているハルがこちらに手を振っているではないか。


「なっ、何してんだよ!?」
「リボーンちゃんに聞きましたよ!ツナさんの総大将決定を祝って、棒倒しのマネです!!」
「は!?」
「はひ!そちらの方は……まさかツナさんの彼女…!?」
「ち、違うよ!すいません名前さん!!」
「へ?謝らないでください!それより、あの方は不倫相手ですか?綱吉さんの夫人は京子ちゃんだと聞きましたが…」
「だからそれも違ーう!!」


名前の勘違いに顔を真っ赤にして否定するツナ。
そんなツナに名前は「綱吉さんは恥ずかしがり屋さんなんですね」と言って笑う。
いったい誰が名前にこんな事を吹き込んだのか。…十中八九、リボーンだろう。名前の腕の中でリボーンが意味深に笑っていた。


「初めまして。名字名前です。」
「は、初めまして!三浦ハルっていいます!」
「自己紹介はいいから、とりあえず降りろよ!」
「…………………はい。ハルも途中で失敗だと気づきました…。おりれなくなっちゃったんです。」
「(こいつは〜!!)」


ハルのアホっぷりに、ツナは今までにないくらい呆れた。
頭は良いはずなのに何故こんなにもアホなのだろうか……考えたところでわかるわけがなかった。
とりあえず電柱から降りられなくなったハルを降ろすことに。


「明日うちの学校休日なんです!ツナさんの晴れ姿を見にいきますね!!」
「い!!いいよこなくて!!」


明日の体育祭に行くと意気込むハルに、ツナは思いっきりそれを否定した。
間違いなく恥をかいて格好悪い姿を見せる事になると思ったからだ。


「と…とにかく、見にきちゃダメだぞ!」
「あっ、ツナさん!」


そしてよくよく考えてやはり総大将なんて断ろうという結論に達し、ツナはハルと名前とリボーンを残して笹川家に向かった。


「…そうだ!名前さん、甘いものはお好きですか?!」
「大好きですよ!」


少しの間呆然とツナの後ろ姿を見つめていたハルだが、突然思い出したように言った。


「じゃあ今から暇でしたら、ハルが美味しいケーキ屋さんをご紹介します!」
「本当?!私ジャッポーネのケーキ大好きなの!」


名前もハルに負けず劣らずの甘党なのだ。この機会を見逃すはずもなく、犬のように喜んで連れてってもらう事になった。
一応リボーンに用事などが無いか聞いてみたところ、「5時には帰ってこいよ」というお言葉。
名前は元気よく「はーい!」と返事をして、ハルの手を引いて行った。
色々と立場が逆だと思うが、まあ楽しそうなのでいいとしよう。














「んはー、美味しかったなあ。また行こう!」


それから数時間後。ハルに紹介されたケーキ屋でたんまりとケーキを食した後、名前はハルと別れてツナの家に向かっていた。
時間は4時30分。リボーンに言われた門限には余裕で間に合いそうだ。


ドガーン!!


「……隼人のダイナマイト…?」


川原の道を歩いていると、物凄い爆音が聞こえてきた。名前はこれを音だけで獄寺のダイナマイトだと判断する。
まあ、ここら辺でダイナマイトをぶっ放す輩と言えば獄寺しかいないのだが。
一応気になるので、名前は音のする方へ行ってみる事にした。ツナのピンチという可能性もある。


「うわーーーっ!!」
「!」


ここでツナの悲鳴が聞こえて、名前は走り出した。
橋の上に行くと、川原からもくもくと上がる黒い煙が見えて、『どっぽーん』という、何かが思いっきり水面に叩きつけられるような音がした。


「何してるの!」


そこに誰かと喧嘩をしている獄寺の姿を見て、名前は橋から川原に向かって飛び降りた。着地はもちろん10点満点だ。
よく見ると、川に向かって長い棒が倒れていて、その先にはパンツ一丁のツナの姿があった。
その姿を確認するや否や、名前は慌てて駆け出した。


「綱吉さん大丈夫ですか?!」
「名前さん…(え……ほっぺたに何か…)」


服が濡れるのもお構いなしに川の水を分け入っていく名前。
名前の口元には生クリームと思われる物体がついている。今まで何をしていたのかバレバレだ。
ツナは一足先に駆けつけた山本の手を借りながら突っ込むべきか迷った。…結果、突っ込めなかった!


「あああ大変!そのままでは風邪を引いてしまいます!何か着るものを……」
「ちょっ、い、いいですって!」


寒そうに震えるツナを見て、名前は着るものを差し出そうと思ったのか自分のワイシャツのリボンを解いてボタンを外しだした。
まさか自分の服を渡そうとしてくるとは思っていなかったので、ツナは顔を真っ赤にして名前の行動を止めた。


「しかし風邪を引いてしまったら…!」
「だ、大丈夫だって!」
「服はオレの貸すから!ホラ、さすがに女物着れないだろ?」
「……あ…すいません、私慌てちゃって…!」


山本が言うと、ようやく名前は落ち着いたようで、ボタンを外す手を止めた。ホッと胸を撫で下ろすツナ。
とりあえず山本のワイシャツを羽織って、川から出ることにした。


「ックシュン!」
「大丈夫ですか?!」
「は、はい…」


水に濡れた体が外気に触れるとますます寒気が襲ってくる。この調子じゃあ、冗談抜きで風邪を引いてしまうかもしれない。
ダメダメなのに総大将になって恥をかくという未来が待っている自分にとって、今の状況はなかなか嬉しいものなのだが、
本気で心配してくれる名前を見てるとなんだか悪い気がしてくる。


「大丈夫っスか10代目!」
「このくらい気合いで治る!な!沢田!!」
「治るか!とりあえず家に戻りましょう!」
「ちょっと隼人!どういう事なのコレ!ちゃんと綱吉さんを守りなさいって言ったでしょ!?」
「お前に言われたかねーわ!」
「む。タコヘッドの姉はタコヘッドではないのだな!」
「姉ちげェーーー!!」
「わ、私だってこんな万年反抗期な弟は嫌ですよ!」
「こっちこそ願い下げだ!大体なんだよその顔につけてる生クリーム!」
「え!?あっこここ、これは…!綱吉さんっ、これは、その……………すっごく美味しかったです!」
「感想なんて聞いてねーんだよ!」
「(いい加減帰りたいんですけど…!)」


その後、名前と獄寺(と微妙にかみ合っていない笹川兄)との口論が続いて、ツナが家についたのは5時頃だったとか。








next≫≫
≪≪prev