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07



「あああどうしよう…」
「取り返すか諦めるかどっちかだな。」
「昨日の夜忍び込んだのになかったのよ?!」
「じゃあヒバリが持って帰ったんだろ。」


あーーもう!敵に自分の武器を晒すなんてスパイにあるまじき失態…!!
どうか、あの少年が武器とかそういうのに詳しくありませんよーに!間違っても分解とかして、銃の仕組みが理解されてませんよーに!


「明日の昼取り返しに行ってこい。」
「え、別にわざわざ昼行かなくても夜家に忍び込めば「うるせぇ。とにかく行け。そんでヒバリと接触しろ。」


えええ何でーーー!?


「私あいつ嫌いって言ったじゃん!できればもう2度と顔を見たくないのですが!」
「………」
「ちょっとリボーン?!」
「スピー」
「寝たーー!!」













「はぁー…」


結局、リボーンに有無を言わされずに学校に来た名字名前です。
うう、だって立場上でも雰囲気上でもリボーンには逆らえないんだもん…!おかしいなあ、赤ちゃんなのに。
奴には前に並盛の制服を着て生徒に変装した姿と素顔を見られてるから今日は新人教師に変装してみました!
最近好きなジャッポーネドラマ、極道先生みたいに2つ結びで眼鏡でジャージ!うん、完璧!
奴も一応学生なんだから、先生の言う事なら聞くよね!……ちょっと想像できないけど…多分聞くよ!うん!

今度は迷う事なく、目的地へたどり着いた。
言っとくけど、私は断じて方向音痴ではない。地図を逆さまに見てたのは…ちょっとおちゃめしちゃっただけだから!普段はバリバリだから!じゃないとマフィア界でスパイ活動なんてできないからね!


「……よし。」


コンコン


ドアの前で1回深呼吸をしてから、平常心を保ってノックをして、返事を聞かずにドアを開けた。
奴が部屋にいる事は姿を見なくてもすぐにわかった。だって、ドアを開けた瞬間に鋭い殺気が向けられたから。相変わらず何なんだ、この中学生は。


「やあ。待ってたよ、名字名前。」
「! な、何で…?!」


殺気が止められたかと思ったら彼は口の端を上げて笑った。そして口にしたのは私のフルネーム。
何で?!今までとは全くの別人に仕立て上げたのに…!!


「朝、赤ん坊から君が来る事を聞いたんだ。」


なんて事しちゃってんのリボーン!?
私の計画が台無しじゃないの!教師という立場を利用して持ち物検査だー、とかやろうと思ってたのに…!


「用件はコレでしょ?」
「!!」


奴の手に握られてるのはまさしく私のスウィートハニー!!
今すぐに返してほしい。けど、奴が素直に返すとは到底思えないんですよね。


「コレ、貴方が改造したの?銃から針なんて面白いね。」
「んなッ…見たの?!」
「先端に塗られてたのは麻酔薬?」


ぎゃあああ思いっきり見られてるーーー!!
しかも先端部分の薬品にまで気付かれるなんて…!私の戦闘スタイル半分くらいは知られたよ!絶対!


「……条件は何。」
「…話がわかるね。」


ここまで遠まわしに脅されればな!
あーー、この、ちょっと口の端を上げた笑みがしゃくに障る!


「まず1つ。」
「複数?!」


複数ってお前…!


「並盛の生徒になってもらう。」
「はあ?!」


ちょいちょい!いきなりとんでもないものきたんですが!


「あのね、少年。私これでもいい年した大人なのね。」
「大丈夫。手続きくらい簡単に誤魔化せるよ。」
「……何者?」


学校の編入の手続きとか、中学生でどうにかできるものではないと思うんですが。
まあ、私にとっては楽勝だけどね!ジャッポーネで言うと、「あさめしまえ」?


「2つめ。僕の前で変装しないで。」
「…いや、制服着る事自体がもう変装だと思うんだけど…」
「…カツラは被らないで。」
「……。」


まあそのくらいなら別に大した事ないね。髪形変えるだけで結構違うし。


「3つめ。風紀委員長補佐になる事。」
「? 何それ?」
「…つまり、僕の下で働けって事。」
「はあ?!できるわけないじゃない!私がついてくのは10代目だけなの!」
「……この銃、いくらで売れるかな。」
「ぎゃーーわかった!わかったから売らないでー!!」


もしコレがどこぞのマフィアの手にわたったらきっと私の指紋がバレて、名前もバレて、顔もバレて、ボンゴレに多大な迷惑が…!そんな恩を仇で返すようなこと、絶対にしちゃ駄目だ!


「交渉成立だね。」
「(脅しの間違いだ!)」


で、でもこれで私の個人情報は守られた……のか?まあ銃は返してもらえるんだからいいや!


「……早く返してよ。」
「取りにきなよ。」
「………」


すごい嫌な予感がするんだけど…。少年よ、何だ、その微笑みは。普通に投げてくれていいのに。ちゃんとキャッチするから。
でも少年の目は、私に有無を言わせない色を含んでいた。
この子ちょっとリボーンに似てるところがあるな。リボーンもあと10年くらいしたらこんなんなっちゃうのかな。……それってすっごい嫌。
とりあえず私は警戒心剥き出しで一歩一歩、ゆっくりと奴に近づいた。
奴は相変わらず口の端を上げている。だからその微笑!しゃくに障るんだってば!
ようやく奴の前まで来て、奴の手中にあるマイスウィートハニーに手を伸ばした。


「…ちょ、離し…ッ!」


取りにきなよとか言ったくせにこいつ離してくれないんですけど!
睨んでやろうと見上げたらまた口に変な感触があるんですけどーー!!
押し返そうにも動かない。かと言ってこのままこの状態は嫌だ。
ということで、私は奴の手中にある自分の銃を奪いとって奴の頭にあててやった。


「…ワオ。」
「発情するならもっと若い子相手にしてくれる?」


そうすれば奴はまた音を立てて唇を離した。まったくこのマセガキが!
何はともあれ、銃は無事私のホルスターに帰ってきたんだから、もうこんなところにいる理由なんてないよね!


「ああ、それと…」
「な…、まだ何かあんの?」


部屋を出ようとした時、背中から呟くような声が聞こえた。


「ここらへんで僕に逆らえる奴なんていないから。教師も、病院も、警察もね。覚えておいた方が良いよ。」
「……本当君、何者?」


こんな中学生に会うのは初めてだ。







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