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06


「…そんなに嫌な顔しなくてもいいのに。」
「……ごめんなさいね、正直で。」


一体何を考えているんだ、この子は。意味がわからない。
腹に一発蹴りを入れようとしたら唇は離されて(しかもわざとらしく音たてて!)、タイミングを逃してしまった。
だから余計にイライラして、これでもかっていうくらいに奴を睨みながら、手の甲で口を拭いた。
ああ、最悪だ。


ガチャ


「へ〜〜、こんないい部屋があるとはねーー。」
「!」


私も奴もお互いに睨みあって1歩も引かない。
どちらかが動けば戦闘が始まる…そういった状況は扉から入ってきた人によって壊されてしまった。


「君、誰?」


少し不本意だけど今日のところは引き分けだ。
奴から視線を外して扉を見ると、入って来たのは見知った顔だった。山本くんに、その後ろに隼人。そうだ。リボーンがここをボンゴレファミリーのアジトにするって言ってたんだっけ。
だからこの子もファミリーの一員だと思ったのにマフィアの存在も知らないし……何なんだ、もう!


「名前さん!」
「なッ、何で名前がここにいんだよ?!」
「私もボンゴレなんだから当たり前じゃない!」
「風紀委員長の前ではタバコ消してくれる?ま、どちらにせよただでは帰さないけど。」
「!! んだとてめーー!」
「ッ隼人!」
「消せ。」


マフィアじゃないのに何なのよこの強さは。明らかにただの中学生じゃないじゃん!何で棒状のトンファーでタバコを切断することができるのよ…。


「僕は弱くて群れる草食動物が嫌いだ。視界に入ると、咬み殺したくなる。」


いけない。これを「普通の中学生」と呼んではいけない。
何、「咬み殺す」って。何、この中学生にあるまじき殺気。本当にマフィアとは関係ないの?!


「へー、はじめて入るよ、応接室なんて。」
「! 10代目…ッ!」
「まてツナ!!」
「え?」
「1匹。」


ガッ


「10代目!」


私は急いで10代目のもとへ走って、山本くんも10代目を呼び止めたけど遅かった。
少年のトンファーが容赦なく10代目の頬に当たり、10代目はその反動で飛ばされてしまった。
少しでも衝撃を和らげようと思って、私は飛んでくる10代目を体全部を使って受け止める。


「大丈夫ですか?!」


受け止めた後、声をかけるけど10代目は反応を示さない。気絶、してるのかな。もちろん死んではいない。
本当何なのあのヒバリっていう奴!10代目にこんな無礼な事を…!


ドザッ


「! 山本くん?!」


「何てことしやがったんだ」と言って奴を睨もうとしたら、真横をすごいスピードで山本くんが通り過ぎた。否、吹っ飛ばされた。
山本くんはぶつかった壁にもたれかかったまま動かない。反対側には隼人までもが倒れているではないか。
2人とも命に別状はないと思うけど……全然動かない。
この子…、あの一瞬で山本くんと隼人を倒したってわけ?


「ごっ…獄寺君!!山本!!なっ、なんで!!?っていうか名前さん近ーッ!!」
「10代目!気付いたんですね!」


すると、腕に抱えていた10代目が目を覚ましたようだ。あの攻撃を受けて目を覚ますなんて、さすが10代目だ!


「ゆっくりしていきなよ。救急車は呼んであげるから。」
「ちょっ、それって…(え゛ーーーーっ、メチャクチャピンチーー!!?)」
「そんな狙われやすいところに10代目を送るわけにはいかないわ。」
「(病院は安全だと思うんですが!!)」
「10代目、下がっていてください。」


私は10代目を自分の後ろにかくまって、右のホルスターに入った銃を握った。
手加減はしないよ。味方じゃないってわかったんだし、10代目と山本くんと隼人をこんな目にあわせたんだから。絶対、許せない。


「へぇ…。それって本物?」
「さあ。確かめてみる?」
「是非。」


ギンッ


少年が向けてきたトンファーを、今取り出した銃で受け止めた。
まったく…一体、この細い腕のどこからこんな力が出てくるわけ!?
かなり力入れてるのに本人すごい涼しい顔してるし……っていうか笑ってるし。すごい楽しそうだよ、何この子!


「!」


ガッ


右からもう1本のトンファーが飛んできて、私はそれを避けるべく受け止めたトンファーを弾いて左に飛んだ。


「ぎゃ!」


しかしそこには運悪くテーブルが配置されていたらしくて、攻撃を避けるので精一杯なあたしはそんなもの確認してなくて…。
思いっきりスネをテーブルの角にぶつけてその上に転んでしまいました。
あああ何でこんな時にこんなミスを…!


「ッ!」


ギィンッ


このチャンスを少年が逃すはずなく、もちろんトンファーを向けてきた。
私は咄嗟に反応して銃を少年に向けようとしたけど、それよりも早く彼のトンファーが私の銃を弾いた。
ガシャン、と音をたてて部屋の角に飛んでいった銃。目の前にはトンファーを持って笑っている少年。
嗚呼、ジャッポーネでいう、「ぜったいぜつめい」ってやつですか?駄目駄目!私は10代目を護衛しに来たんだから、こんなわけのわかんない中学生になんてやられちゃ、絶対駄目!!
私が無意識に左ホルスターの銃に手をかけた、その時だった。


「うおぉおぉっ!死ぬ気で名前さんを守る!!!!」
「じゅ、10代目…!?」


窓側にいたはずの10代目が、何故かパンツ一丁で少年に殴りかかった。
パンチは軽くかわされてしまったが、私のピンチは免れた。10代目に守られるなんて…!職務怠慢じゃないか!


「何それ?ギャグ?」


ガッ


「アゴ割れちゃったかな。」
「10代目になんて事を…!!」


今のは流石にやばい!だって、もろ、アゴにトンファー入ってたし!


「さあ、続きをしようか。まだ武器は持ってるみたいだし。」
「……こ、これは…」


そういえば私の左手、左ホルスターにかかったままだ。でも、これは……


「まだまだぁ!!!」
「!」


私の方に向き直った少年の背後から、倒れた10代目が起き上がって少年の顔面を思いっきり殴った。
更に更に。それだけでは終わらずに、少年が怯んだ隙にスリッパに変形したレオンで頭をパカァンと…!
10代目…!!私、すごく感銘しました!もうこれ以上スッキリしたことってないです!


「ねえ…殺していい?」
「なッ!」
「そこまでだ。」


ここでやっと、リボーンの仲裁が入った。できるならもっと早く止めてほしかったな。
この表情を見るとやっぱりコレはリボーンの企んだ事だったんだ。


「やっぱつえーな、おまえ。」
「君が何者かは知らないけど、僕今イラついてるんだ。横になってまっててくれる。」


キィンッ


「ワオ。すばらしいね、君。」


君も充分素晴らしいよ。リボーンにまで武器を向けるなんてね。よほどの馬鹿か命知らずか……実力者か、だよ。
呆れて見ていたら、リボーンと目が合った。普通の人からは一見いつもと同じ表情に見えるけど、私には分かる。多分リボーンの言いたい事は、「ここから出るぞ」。
私は頷いて、床に倒れている山本くんと隼人を担いだ。(どうやって、とか聞かないで。とにかく頑張ったの。)


「おひらきだぞ。」


ドガァン


数秒後、応接室はリボーンの爆弾によって煙に包まれた。











その後、私達は屋上へと避難した。
あ、山本くんも隼人も、廊下で意識を取り戻したからね。私も男の子2人を担いで階段なんて上れないからね。


「なぁ!あいつにわざと会わせたぁ!!?」
「キケンな賭けだったけどな。打撲とスリ傷ですんだのはラッキーだったぞ。」


はあ。やっぱり、リボーンの企てだったんだね。
何もラッキーじゃない。私は奴に唇奪われたんだぞ。いや、別にファーストっていうわけではないけどさ、なんか、むかつくじゃん。


「お前達が平和ボケしないための実践トレーニングだぞ。鍛えるには実践が一番だからな。」
「なっ、何言ってんだよー!!」


うっ……何かリボーンさんが怖いオーラをまとった笑顔でこちらを見ていらっしゃる…!


「特に名前。何ださっきのミスは。」
「ううう言わないでー!」
「ツナを守るのがお前の仕事だろーが。」
「すいません10代目!もし今度奴に会うことが会ったら、私がお守りしますので!!」


ああ、情けないな。隼人が「10代目を守るのはオレだ!」なんて言ってるのはあえて無視しといて、本当情けない。


「あ!それから10代目…」
「な、何…?」
「ありがとうございます!!」
「へ?」
「10代目、格好良かったですよ。」
「へっ?!///」


助けてくれた事はもちろん、あの銃を使うのを止めてくれて…本当にありがとうございます。


「名前、針銃の方はどーした?」
「え…」


…………最悪だーーー!!








■■
応接室に銃忘れてきました。





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