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05



「ありがとうございました名前さん。近々ボンゴレ10代目に挨拶に行きますので。」
「うん、わかった。ジャッポーネ楽しんでね!arrivederci!」











「あ!極道先生の再放送始まっちゃう!」


ホテルのロビーを出たところで名前は思い出したように呟いた。
“極道先生”とは、極道の一人娘が教師になって、チンピラ生徒達と美しい師弟愛を築いていくという青春ドラマだ。
名前は最近、昼間はずっとテレビの前に座ってジャッポーネの色々な番組を見ているらしい。
何故今ホテルのロビーにいるのかというと、数分前。

「殺され屋のモレッティが空港についたらしい。迎えに行ってくれ。」

と、リボーンが、テレビに熱中してる名前に言ったのだ。
断れば鉛弾が飛んでくるので名前はドラマを諦めて、リボーンに言われた通りモレッティを空港からホテルまで送っていった。


「早く帰らないと!」


ピピピピ


愛車に乗ってエンジンをかけようといったところで、名前の携帯電話が鳴り出した。
ディスプレイには「R」の文字。相手を認識して、名前は電話に出た。


「どうしたのリボーン。モレッティならもうホテルに「10分以内に並中の応接室に来い。ファミリーのアジトを作るぞ。」


リボーンはそれだけ伝えると、名前の返答は聞かずに通話を切ってしまった。数秒、口を開けて唖然とする名前。


「…はいはい。」


携帯を閉じながら名前は苦笑いした。遅れたらまた怒られるな、と。











「…ふぅ。我ながら頑張った!」


その後、名前は車を飛ばすに飛ばして約5分という時間で空港から並中まで来てみせた。
そりゃあもう、速度制限なんてクソ食らえ。他の車体にぶつかっても軽い挨拶だという感じにここまで走ってきたのだ。
そして名前が愛車を止めた場所はグラウンド。下校する生徒お構いなしに入って来た。もちろん誰一人轢いてはいないが。
車から出てきた名前の顔は何かを成し遂げた、清々しい顔をしていた。


「あ、場所がわからない。」


学校の中に入ってやっと重要な事に気がついた。
リボーンは当たり前のように「応接室」と言っていたが、その応接室がどこにあるか、名前にはわからない。


「ねえ君、応接室ってどこにあるかわかる?」
「…委員長に何か用か?」


道を聞こうと思って名前が適当につかまえたのは立派なリーゼントを持った男子生徒。
彼の着ている学ランは風紀委員の証。その彼が委員長と呼ぶのは風紀委員長だ。


「(いいんちょー?)呼ばれたの。」
「……(委員長の知り合いか?)この階段を3階まで上がれば右にすぐ見える。」
「3階ね。ありがとう少年!」
「………」


とても「少年」と言えるような人相ではなかったのだが。
彼も自覚しているのだろうか、「少年」と呼ばれて少しの間、唖然としていた。












「あったあった。」


リーゼントの「少年」に言われた通り階段を3階まで上がって、右を見ると『応接室』と書かれたプレートが見えた。
名前は軽くノックをしてから、他の部屋とは違って引き戸ではない、その扉のノブを回した。


「……誰。」
「え……あれ?」


部屋の中にいたのはリボーンではなく、この間軟派されてるところを助けてくれたかと思いきやトンファーで殴ろうとしてきた少年。
名前は目を丸くして、何故こんな展開になっているのかを考えた。


「やっぱり君、ファミリーだったの?」
「誰、って聞いてるんだけど。」


考えた結果、名前が結論として出したのはコレ。
リボーンが場所を間違えるなんてミスはしないし、自分も場所は間違えていないはずだ。
となれば、この少年と対面する事もリボーンの計算の内なのだろう。つまり、この少年はマフィアの関係者である。と。

そんな名前に対して、雲雀は警戒心を剥き出してトンファーを構えた。
以前会った時名前は変装をしていて、今の容姿とは全然違う格好をしていたので以前に1度会った事があるなんてわからないからだ。
まあ、わかったとしても少年の性格からしてトンファーを向けてくるだろうが。


「あ。(そういえば私あの時変装してたんだ。)」
「………」
「ほら、この前ナンパされてるところを助けてもらったと思ったら弁当潰された…」
「………ああ、あの時の。」


名前が説明すると、少年は思い出したように呟いた。説明の中に含まれた皮肉は無視して。


「いやあ、あの時はファミリーだとは知らずごめんね。」
「………」
「あ、私は名字名前。ボンゴレファミリーの専属スパイで今10代目の下についてるの。」
「………」
「………」
「………」
「…ちょ、ちょっとは喋ったらどうよ…!」


いい加減どうしたらいいのかわからなくなって名前はどもる。
なんせ雲雀は喋る事もなく、表情を変える事もなく、ただ名前を見つめているからだ。
この遠くもない距離で、こうも見つめられては居心地が悪い。


「さっきから何わけの分からない事言ってるの。」
「へ?」


ようやく雲雀が口にしたのは、こんな台詞。
予想もしなかった言葉に名前は口をポカン、と開けた。アホ面と罵られても文句は言えない表情だ。


「え、君、ボンゴレファミリーの人じゃ…」
「何の話?全然検討がつかないんだけど。」


そりゃそうだ。雲雀はボンゴレファミリーとは一切関係無いのだから。


「……だ、騙したわね…!!」
「変な言いがかりはやめてくれる。」


確かに。雲雀は自分がボンゴレファミリーなんて一言も言ってない。
明らかに雲雀をボンゴレファミリーだと勝手に思い込んで、ベラベラ喋った名前に非がある。


「まあ、名前わかったからいいや。」
「…は!や、今のナシ!全部聞かなかった事にして!」
「今更無理だよ。貴方バカ?」
「うっ…(中学生に馬鹿って言われた!)」


もう馬鹿と言われても仕方が無いと思うが。
口を尖らせながら、名前はこの場をどう回避すればよいか考えた。


「(残念今のは偽名でしたーー…って今更無理だよ!買収……できそうにないよ!もう麻酔撃って夢だと思わせるしか…)」


名前が思考を巡らせていると、その尖った唇に雲雀の唇が吸い付くように触れた。


「……は?」




■■
いきなりちゅーとかやりすぎですがあえて書き直しません。





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