14
「荷物はこれで全部か?」
「うん。」
1週間とはあっという間で、挫いた足もすっかり良くなって(てか元々そんな大した怪我じゃない)今日日本に帰ります。
リボーンくんと綱吉が空港まで送ってくれて、チケットまで買ってくれて…(いいって言ったのに…。)
受付の最後尾に並ぶ前にリボーンくんが持ってくれていた私の荷物を受け取った。
受付を済ませたらあとは飛行機に乗るだけ。リボーンくんと綱吉とはここでお別れ。
「じゃあ…元気でね。」
「ああ。名前もな。」
「……」
さっきから綱吉が私と視線を合わせてくれないんだけど…何でだろうね。
私がここに並べば、きっともう2人に会うことはないんだろうな。
だからこそちゃんとお別れしたいのに、綱吉はまた目を見ないつもりなのかな。
まあ、私の言いたいことはもう言っちゃったからいいんだけど。
「…っ名前…!!」
「!」
2人に背を向けて歩き出そうとしたところで、綱吉の必死な声に呼び止められた。
振り返ると真っすぐと私を見ている綱吉がいて、でも続きの言葉はなかなか出てこない。
口をもごもご動かしたかと思うと、視線をフラフラと泳がせる。
…もう、本当に変わらないよね、綱吉って。
「言いたいことがあるならはっきり言って。」
「その通りだぞダメツナめ。」
「あだっ」
リボーンくんに蹴りを入れられてヨロヨロと私の前に近づいた綱吉はやっぱり10年前と変わらない。
「…あの、さ…」
あ、でも身長はけっこう伸びたかな。
10年前は私と同じくらいだったのに、今は私が少し見上げなくちゃいけないくらいになってる。
「すごく勝手だっていうことはわかってるんだけど…」
「……」
「俺は…、名前と一緒にいたいんだ…!」
私の目を真っすぐ見て言った綱吉はいっぱいいっぱいでとてもかっこいいとは言えなかった。
でも……私はこんな綱吉だから好きなんだろうな、って思った。
「私も、同じ気持ちだよ。」
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