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「悪いわね。今日は空いてないの。」
「そっか…」
「明日なら大丈夫よ。」
「じゃあ頼むよ。」
「ええ、久しぶりに名前に会いたいし。」
今日の名前の付き添い、ビアンキにお願いしようと思ったんだけど用事があるみたい。
どうしようかなー今日は他に誰も空いてないんだよなあ…雲雀さんは今日本だしいたとしても引き受けてくれないだろうし…。
「俺が行ってやる。」
「……」
いつの間にか入ってきたリボーン。
そりゃやってくれるなら助かるけど…こいつが自分から言ってくるなんて…何か企んでんじゃないか…?
ここはフゥ太に連絡をとってからの方が…
「そうだツナ、お前に土産だ。」
「土産?」
そう言ってリボーンが机の上に置いたのは一枚の…写真?
「…なっ…ええ!?」
一体何かとめくったら、名前の写真。
しかも、あまり着なさそうな服を着て頬を赤らめてる。
「おいリボー…ン…」
リボーンにどういうことか聞こうと思ったらもうリボーンはいなかった。ついでにビアンキもいない。
行き場をなくした俺の視線はまた手の中の写真に戻る。
「…やられた…。」
何だよ、これ…!
黒いレースのワンピース。シンプルだけど、すごく…なんていうか……あああもう!
…大方の予想はできる。2日目にクロームに着替えを頼んだから、多分…クロームの趣味だ。
……とりあえず、この写真は俺がもらっていいってことだよな…?
「よォ、名前。」
「あれ、今日はリボーンくん?」
5日目。
あまりにも暇だったから獄寺くんにもらったツチノコの本を読んでいたらリボーンくんが来た。
両手に2つのカップ。中身はきっとこの前と同じエスプレッソなんだろうな。
「リボーンくん、この前の…」
「何のことかわかんねェな。」
「写真!」
この前で思い出したけど、あの時私、あられもない姿をリボーンくんに撮られたんだよ!
リボーンくんはしらばっくれて机にカップを置いたけど、流させないからね!私にとっては死活問題なんだから!
「ツナに渡しといた。」
「はああ!?」
カップに口をつけながらしれっと言うリボーンくん。
な、なんてことだ…!あんな可愛らしいワンピースを着た姿見られたら……もうダメ、綱吉に会えない…。
「クク…そーいやァ名前。」
「…何?」
「ツナの愛人になる覚悟はできたか?」
なんか10年前ぶりに聞いたなあ…。
私が10年前、初めてリボーンくんと会った時に言われた言葉。
「10年前も言ったけど、ありえない。」
「…ほォー。」
意外そうな反応を見せるリボーンくん……あれだけ何回も断っておいて白々しいったら…。
「…じゃあ正妻っつーのはどうだ?」
「はあ!?」
10年経って言う事の突拍子の無さも磨きがかかっていますね、リボーンくん。
「正直困ってんだ。ドン・ボンゴレがいい歳して独り身なんてな。」
「…だったら尚更私じゃあダメだよ。」
「…何でそう思う?」
「私は…綱吉にとって邪魔な存在だから…」
「……」
「私がいると綱吉は心配するから…」
「…名前、お前の気持ちはどうなんだ?」
「!」
リボーンくんに言われてハッとする。
瞬間に溢れてくる想いは正直で…。ああ、やっぱりリボーンくんには敵わない。
「……一緒に…、いたい…。」
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