08
「…こんにちは。」
「こ、こんにちは。」
ボンゴレ邸に来て二日目。
とても可愛い声とともにとても可愛い子が治療室に入ってきました。あれ?この眼帯見たことある気が…
「…もしかしてクロームちゃん?」
「うん。久しぶり、名前。」
わーわー、クロームちゃん!元々可愛かったのがすんごく可愛くなってるー!
「ボスに言われて来たの。これ、着替え。」
「え?あ、ありがとう!ちょっと困ってたんだよね、あはは。」
「困ってると思ったから…。下着は買ってから使ってないやつだから。服は私のだけど…」
「全然いいよ!むしろごめん、ありがとう。」
「ううん…サイズが合うかちょっと着てみて。」
大きな紙袋の中からクロームちゃんが取り出して私に渡したのは黒いレースがフリフリなワンピース。
…うん、可愛い。ものすごく可愛いよ?でもさ、似合う人と似合わない人がいるよね、これ。
もちろんクロームちゃんが着てれば何も問題ないさ。
だがしかし、私のキャラではない。私なんかが着たらギャグになってしまう気がする。
「…こういうの、嫌い?」
「ううん、ありがとう!着てみるよ。」
そんな不安そうに聞かれたら着るとしか言えませんとも!
ええ着てやりますよ可愛いクロームちゃんのためならば!
「……」
「……邪魔…?」
「ううん全然!」
そんな不安そうに聞かれたら邪魔なんて言えるわけないじゃない!
まあ実際女同士なんだし気にすることもないか。
私はその場で着ていたTシャツを脱いでワンピースを上からかぶった。
クロームちゃんにガン見されてた気がするけど深くは考えないことにした。
「…名前、可愛い。」
「いやいや、ごめんね可愛い服なのに…」
お世辞でも可愛いと言ってくれるクロームちゃんはなんて優しいんだ。
そして着てみたら思ったよりもスカートの裾が短かった。
いやだからさ、公衆の面前で出せる足と出せない足があるよね。
クロームちゃんみたいに細くて美しい足なら何の問題もありませんとも。
でも…まあいいや。ここから出なきゃいいだけのことだもんね。
こういう服、昔から着なかったからなんか新鮮。絶対綱吉には見られたくないけど。
ガチャ
「……」
「……」
カシャッ
「チャオ。エスプレッソをいれてやったぞ。」
「ちょっと待ってリボーンくん今写真とったよね?」
入ってきたのは綱吉ではなくてリボーンくん。10年経ってから初めて会ったけどすぐにわかった。
だってスーツをこんなにビシッと着こなす人、リボーンくん以外私は知らない。
そして何事もなかったようにカップをテーブルに置いたけど、絶対今写真とったよね?
「リボーンくん写真…」
「久しぶりだな、名前。」
「うん久しぶり。あの、今撮った写真なんだけど…」
「よく似合ってるぞ。」
「うんお世辞はいいから…」
「ツナに見せたらどんな反応するだろうな。」
「なっ…!」
「じゃーな。味わって飲めよ。」
私が文句を言う前にリボーンくんは行ってしまった。
追い掛けたかったけど一応足怪我してるし、怪我してなかったとしてもどうせ捕まえられないだろうし…。
「…ふふ、私も楽しみ。」
「え?何が?」
「ボスの反応。」
「……」
クロームちゃんの笑顔はやけにキラキラしてて、リボーンくんのエスプレッソはやけに苦かった。
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