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04


夜、シャワーも浴びて自室でそろそろ寝ようかという時、俺の携帯が鳴った。
非通知だったけど俺はその番号を知っていた。この前名前の携帯に自分の番号を登録する時に確認したから。
もしかしてマフィアに狙われたのかも…!こんな時間まで外出歩くか普通!?


「もしも「綱吉久しぶり〜」


焦って出たら、やけに間延びした名前の声に遮られた。
その声には危機感とか緊張感は全く感じられない。むしろ緩みまくっている。


「…名前、どうしたの?」
「んー?声が聞きたくなっちゃった。」
「っ…」


な…んだよ、その殺し文句…!
誰もいない部屋で思わず顔を押さえてしまった。恥ずかしい…なんか…。


「名前…もしかして酔ってる?」
「え?まだ二本しか飲んでないよー?」


…つまり酔ってるんだな。うん、なんとなく納得した。
しかもイタリアの酒を二本って…結構じゃないか?


「大丈夫なの?今一人?」
「えーっとホテルで友達と飲んでてー、この前の優男は何なんだと問いつめられまして…」
「優男って…」
「で、なんか勝手に盛り上がっちゃって電話かけろって煩くてさー。」
「…じゃあ別に危険な目にあってるわけじゃないんだな?」
「うん。…電話しちゃダメだった?」
「…ダメじゃない。俺も声、聞きたかった。」
「……ふふ、綱吉は変わらないね。」
「!」


名前のその言葉にドキッとした。俺が……変わらない…?


「…何で、そう思うの…?」
「私のことを心配してくれる。」
「……」
「心配してもらえるのは嬉しいよ。でもさ、私は…何ていうかなあ…」
「……」


受話器越しで名前の声がだんだんとくぐもっていく。
もしかして、10年前の続きを言おうとしてるのかもしれない。
俺は気付かれない様に息を呑んでその続きを待つ。


「……」
「…名前?」
「なんかねむたくなってきちゃった。遅い時間にごめんね。じゃ。」
「あ、おいっ…」


…しかしいつまで経ってもその言葉は出てこなくて、なんか本当にあっけなく電話を切られてしまった。
続き、何て言うつもりだったんだろう…また聞けなかったな…。










「よおツナ、昨日は遅くに誰と電話してたんだ?」
「リボーン…」


朝、執務室に入ったらリボーンが優雅にエスプレッソを飲んでいた。
確か1ヶ月くらい前にふらっと出ていったきりだったのに。いったいいつ帰ってきたのやら…。
いや、今はそれよりも何でこいつが電話のこと知ってるんだよ。
話し声が漏れる程屋敷の壁は薄くないはずなんだけど…。


「俺を誰だと思ってやがる。」
「…読むな。」


ニヤリと笑うリボーン。長い付き合いだから、今更読心術に関しては驚かない。


「女だろ。」
「…お前には関係ないだろ。」
「関係大有りだぞ。」
「!まさか…」


リボーンがまた、ニヤリと笑った。
こいつ…まさか全部知ってるっていうのか…!?


「10年前は愛人として誘ったが…ツナ、お前は正妻にしたいんだろう?」
「なっ…!?」


間違いない…こいつ、俺が名前と接触して連絡をとったってこと、知ってる…!


「…名前は俺の幼なじみだ。巻き込むつもりはない。」
「…もう手遅れなんじゃねーか?」
「…どういう意味?」
「中途半端に突き放してウジウジしてるより覚悟を決めちまえって言ってんだ。」
「……」


それはつまり、名前を傍に置く覚悟を決めろってこと?確かに今の俺は中途半端だと……思う。
正妻とかはまあ置いといて、これからも名前と一緒にいるとしたら、守りきれる自信があるかと聞かれると答えられない。
この世界は何が起こるかわからない。それはここ数年やってきてよくわかってきた。
リボーンは簡単に言うけど…俺は……


「…ダメツナが。」
「……うるさい。」


俺は名前の世界を壊してまで一緒にいようとは…思わない。




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