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08:カナヅチ


「名前さん!お風呂掃除終わりました!」
「ありがとう。助かるよ。」
「喉渇いてないですか?紅茶いれましょうか?」
「…じゃあ頂こうかな。一緒に飲んでくれる?」
「は、はいっ!」


晴れて名前の船に乗ることになったランボはすっかり亜未に懐いて、名前に喜んでもらうため甲斐甲斐しく働いた。
そんなランボが名前は可愛くてしょうがなかった。まるで弟ができたみたいだと思った。


「へー。お前悪魔の実の能力者なのかー!」
「はい。小さい頃間違えて食べちゃって……」
「ケッ、アホくさ。」


山本は持ち前のコミュ力でうまくやっている。
獄寺は名前にべったりなランボが気に入らないようだ。あからさまに態度が悪い。
リボーンは我関せずだ。


「電気を操れるんでしょ?すごいね。」
「で、でもまだコントロールできなくて…」
「じゃーこれから特訓だな!」
「は、はい!ちゃんとコントロールできるようになって、名前さんを守ります!」
「ふふ、ありがとう。」
「チッ……」


名前が笑顔でランボの頭を撫でる度に獄寺はイライラした。


「力使えねェんじゃただのカナヅチだからな。」
「カナヅチ?」
「…なんだ名前、知らねェのか?」
「え?何を?」


さっきまで優雅に一人コーヒータイムを過ごしていたリボーンが口を挟んだかと思ったら…


げしっ


「うわあっ!?」
「ちょ、リボーン!?」


ランボを海へ蹴り落とした。


「悪魔の実を食った奴は能力を手に入れる代わりに一生泳げない体になっちまうんだ。」
「あぶっ、た、たすけ…!」
「えええ!?ランボ待ってて!」


悪魔の実を食べたらカナヅチになる…それを説明するためだけにランボを海に落としたらしい。
確かにランボは泳げないようで、足をバタバタさせて沈みかけている。
名前は慌てて海に飛び込んだ。…が。


「わぷっ、わ、私も泳げないんだった…!」
「ハハハ、しょーがねーなァ。」


名前は元々カナヅチだが、ランボが危険だと思って考えるよりも先に体が動いてしまったようだ。
そんな名前を笑ってから、山本が海へ飛び込んだ。


「ご、ごめん、ありがとう…。」
「ありがとうございます…」


2人は無事、山本に船へ引き上げられた。


「…名前もどーせカナヅチなら悪魔の実食ったらどーだ?」
「や、やだよ!能力とかいらないし…」
「まあ無理強いはしねェが…。グランドラインには能力者がうじゃうじゃいて、そいつらと戦わなきゃいけねーんだからな。」
「た、戦わないよ!」


リボーンから海へ蹴り落としたことに対する謝罪はなかった。それどころか教え子に悪魔の実を勧めている。
確かにこの先、南の海を出てグランドラインに入ることとなる。グランドラインには幾多もの修羅場をくぐり抜けた猛者達がたくさんいるのもまた事実なのだ。


「今この海で名をはせてんのは…こいつだな。」
「ひっ…」


リボーンがいつの間にか持ってきた手配書の束から一枚抜き取って見せた。そこには赤髪を逆立てて凶悪に笑う男が写っていた。


「ユースタス・“キャプテン”キッド。この前海軍基地を一つ潰したらしい。」
「こ、恐すぎる…!」
「いつか会うことになるだろうからな。心してかかれよ。」
「まず逃げるよ!」
「大丈夫っス10代目!オレが果たします!」
「い、いいから!」


ここ最近南の海を騒がせている海賊の船長らしい。名前は心の底から会いたくないと願った。


「それから東の海ではモンキー・D・ルフィ……魚人を倒したらしい。」
「魚人って……確か人間の何倍も力があるんでしょ?」
「ああ。しかもこいつが倒したのはサメの魚人アーロン……まあまあの相手だな。」
「恐ろしく強そうなんだけど……でもこの人は、あまり海賊って感じじゃないね。」
「そろそろ海賊に対する偏見は捨てろ。志は人それぞれだからな。」
「………」


次に説明された海賊はさっきとは違う、無邪気な満面の笑みで写っていてとても海賊には見えなかった。
しかし人間の数倍も力がある魚人を倒したとなると只者でないのは間違いないだろう。


「北の海ではトラファルガー・ロー……“死の外科医”だ。」
「医者にあるまじき二つ名だね…」
「こいつも悪い噂ばっかりだな。」


3人目は底意地の悪そうな笑顔を浮かべていた。医者にも関わらず「死」がつくなんて不謹慎すぎる。
写真だけではあるが、名前はなんとなくリボーンと同じ属性じゃないかと思った。


「ま、どんな強敵が来ても大丈夫なようにビシバシ鍛えるからな。」
「えええ!?」


最終的にリボーンが言いたいことはいつもと同じだった。






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