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12


「先生夏目さんいる!?」
「保健室では大声出さない。いるよ、そこのベッド。」


ホームルームが終わった途端に俺は保健室へ走った。
ドアを開けるとともに聞いたら保健室の先生が呆れた顔で教えてくれた。


「高尾くん……」
「あ、ごめん起こしちゃった?」
「ううん。どうしたの?」
「夏目さん保健室にいるって聞いて……ほら、鞄。」
「あ……ありがとう。」


鞄はただの口実だ。本当は夏目さんのことが心配で、すぐにでも夏目さんの顔を見たかったから。


「帰るでしょ?迎えは?」
「……」
「それが、迎えは必要ないって言うのよ。」
「……」


体調はもう回復したみたいだから安心したけど、ちゃんと家に帰るとこまで確認しないと安心できない。
俺は部活があるから送っていけない。家の人……黒子の家の人とは連絡がついてるんだろうか。それを聞くと夏目さんはバツが悪そうに視線を泳がせた。


「……じゃあ俺が送ってく。」
「え……だめだよ、高尾くん部活あるでしょ?」
「あるけど一人で帰らせるわけにはいかねーよ。だいじょーぶ!部活遅れても宮地さんにどつかれるだけだから!」
「大丈夫じゃない……!」


俺が送ると言えば案の定夏目さんはそれを拒否した。ほら、他人の心配はできるくせにどうして自分のことになると我慢するんだよ。


「夏目さんが俺の心配してくれるように、俺も夏目さんが心配なんだよ。」
「!」
「黒子の家の人だったら嫌な顔しないっしょ。」
「……うん。」
「ってわけで先生電話かーして!」
「はいはい。」


半ば強引に話をつけたけど夏目さんは観念したようだ。このくらいしないと夏目さんは折れないからな。


「そんじゃ、俺もそろそろ部活に……」
「あ……高尾くん!」


夏目さんの送迎が確定したところで部活に行こうと立ち上がった俺の袖を夏目さんが引っ張った。


「あの……ありがとう。」
「!」


少しはにかんで見上げる夏目さんはめちゃくちゃ可愛かった。惚れてるとか抜きにしても間違いなく可愛いと思う。


「実は保健室に来る時、高尾くんの友達……緑間くんに送ってもらったの。」


それは知ってる。緑間から直接聞いたからな。


「優しい人のまわりには優しい人が集まるんだね。」
「!」


あーもう…!また恥ずかし気もなく照れることを言ってくれる…!これ、夏目さんに自覚がないからタチが悪いよなァ…。
落ち着け俺。いちいちこんなことでノックアウトされてたらこれから先身が持たないぞ…!


「だったら、夏目さんが優しい人なんだよ。」
「!」


仕返しのつもりで同じようなことを言ってみたら、徐々に恥ずかしさがこみ上げてきた。


「……じゃ!また明日学校でな!」
「う、うん。」


言いなれないこと言うもんじゃねェな。





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