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07


今日は公園でファッション雑誌6月号の撮影。コンセプトは「この夏くる、短パン男子」らしい。
午前中に木陰で一通り写真を撮って休憩中、公園をぶらぶら歩いていたら女の子が片隅のベンチで寝ていた。
人目につきにくいところではあるけど、こんなところで寝るなんて無用心な…。
寝ている状態でもわかるほど、すごく綺麗な子だと思った。こんな子、今日一緒のモデルの中にはいなかったと思うんだけど…


「……わっ…!」
「えっ!?」


しばらく見つめていたら女の子がうっすらと目を開けて、やがて俺と目があうと悲鳴をあげて逃げられた。
女の子に悲鳴をあげられることは多々ある。悲鳴といってもそれは全部黄色いもの。そんな女の子達はその後目を輝かせて握手してくださいとかサインくださいとか言ってくるものだと思っていた。
けどさっきの女の子は違った。初めての反応に正直戸惑う。
ふと彼女がいなくなったベンチを見てみると、学生証を落としていた。秀徳高校1年、夏目名字さん……










次の日、俺は秀徳高校まで来ていた。だって、学生証失くしたら困るじゃないスか。
まあ案の定門のところで女の子に囲まれちゃったわけだけど。事情を話したら一人の女の子が夏目さんを連れてきてくれた。


「黄瀬くん、連れてきたよー!」
「あ……」
「こんにちは。」


また微妙な顔。周りの女の子と比べるとやっぱり違う。モデルに興味ないとしても、もうちょっと違う表情すると思うんスけどね。多分彼女と俺は初対面。こんな表情をされる理由がわからない。


「落し物を届けに来たんスよ。」
「あ……すみません、わざわざ……」
「いーえ。……えっと…」
「あの……この前はすみませんでした。気分を害してしまったのなら謝ります。」


目的を果たして何を話していいかわからなくなった。まあ、初対面なわけだし。
すると、彼女がこの前のことに対して頭を下げてきた。


「いやいや別に怒ってないっスよ!」


確かに珍しい反応に戸惑ったけど別に怒ってるわけじゃない。ただ理由が気になるだけ。でもどうやって聞けばいいんだ?「俺のこと嫌いっスか?」……は、初対面でどうかと思うし……


「えっと……せっかくだし、これからお茶でもどうスか?」
「……ごめんなさい、用事があるので…。本当にありがとうございました。失礼します。」
「あ……」


気付いたら自分でもねーわと思う程のナンパ文句を口にしていた。まあ普通の女の子だったらそれでも喜んでついてくるんだろうけど、やっぱり夏目さんは微妙な顔をして、逃げるように行ってしまった。
本当にわからない。ただ、この不思議な女の子がどうしても気になった。





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