krk | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -



06


「夏目さん、アドレス教えて!」
「あ……ごめん、私携帯持ってなくて……。」
「マジで!?」


あの破壊力抜群の笑顔が瞼の裏に焼きついて離れない。
夏目さんのこと好きになっちゃったんだろうなーと頭の片隅で考えながら、もっと仲良くなるために即行動!
っつーわけでまずは連絡先のゲットだぜ!と意気込んだ俺だが見事に玉砕。このご時勢に高校生が携帯持ってないってマジかよ!?
遠まわしに拒絶されてんのかなーって思ったけど、夏目さんの境遇を考えればありえることなのかもしれない。
ま、直接話す機会が増えるってポジティブに考えることにしよーっと。


「じゃあ今週の土曜日暇?」
「うん。」
「ウチで練習試合すんだけどさ、見に来ない?」
「練習試合っていうのは……部活の?」
「そーそー、バスケの!」
「あの……もしよければ、行きたい…。」
「もちろん!てか俺が誘ってんだから!」


何でアピールしようと考えた時、やっぱ得意分野しかないっしょってことで。
俺の得意なもの、バスケとカードゲーム。カードゲームなんて見せられたって女の子には意味わかんねーだけだろうし、ここはやっぱバスケだよな!
それにしても……前にも思ったけど、バスケの話に関して夏目さんの食いつきが妙にいいんだよなー。


「夏目さんバスケ好きなの?」
「えっと……近くにバスケやってる人がいて……ルールとか、よくわからないんだけど……」
「へー……。」


そう言ってはにかむ夏目さんは本当可愛い。けど、夏目さんをそんな表情にさせる人物が別にいると考えると素直に喜べないわけで。
その人物が誰なのかってところはすげー気になるけどその場では聞かないことにした。だってここで実はその人のことが好きとか言われたら高尾ちゃん立ち直れない。











そして練習試合当日。相手は都内でも毎年インターハイに出場してるなかなかの強豪校らしい。だけどなんつーの、負ける気がしないよな。
まーこっちには緑間っつー化け物もいるし?なんてったって夏目さん来てて俺ハイになっちゃってるし?
前半が終わったところで80−32のダブルスコア。


「おい……あれ、夏目さんだよな?」
「何でバスケ見に来てんだ?」


夏目さんが来てそわそわしてるのは俺だけじゃなく、他のチームメイト……心なしか相手校の選手もだ。下手すりゃ選手よりも注目集めてるあたり、夏目さんはやっぱすげー美人さんなんだなー。そんな中いつもと変わらないエース様がウケんだけど。


「た、高尾くん!」
「!」


休憩中に夏目さんが駆け寄って小声で俺の名前を呼んだ。途端に周囲の視線が俺に集まる。ちょっとなんつーか、優越感?


「ごめん、用事があって最後まで見られないんだけど……すごかった。」


いつもより歯切れの良い言葉に、無邪気な笑顔。俺たちのプレーを見て少なからず興奮してるみたいだ。何それ超可愛いんですけど。


「それで、あの……もしよかったら、今度、バスケのルールとか……教えてもらえないかな?」
「よ、喜んで!!」


思いがけない申し出に俺は喜んで返事をした。
俺の返事を聞くと夏目さんはまたはにかんで、「ありがとう」と呟いた。多分俺にしか聞こえてない。
ああもう、この声を、笑顔を独り占めしたいと思い始めてる俺はすっかり夏目さんに惚れているらしい。


「おい高尾ォ、何リア充してんだ轢くぞ。」
「え?リア充に見えちゃいます?」
「うぜぇ。20周してこい。」
「えええ理不尽!!」




next≫≫
≪≪prev