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02


次の日、夏目さんは足に包帯を巻いてきた。校則をきっちり守った膝丈のスカートから覗き見える包帯はふくらはぎまで達していて正直異常だ。
あれって間違いなく俺のせいだよな……結構おもっきしぶつかっちゃったもんな……。ちゃんと歩けてはいるみたいだけどまずいよなァ、女の子に……。


「夏目さん!」
「あ、高尾くん……」
「ほんとにゴメン!!」
「え……?」
「その足、俺のせいだよな……。」
「あ……」


足のことを謝ると、夏目さんはバツが悪そうに視線を泳がせた。


「ううん、違うの。高尾くんのせいじゃないよ。」
「え、でもその足……」
「これは……私、が、悪くて……。ほんとに違うから……ごめんね、気にしないで。」


どう考えたって俺が加害者なのに、夏目さんは自分の所為だと言って譲らない。俺に気を遣ってるわけではなくて、ただ単にそのことに触れてほしくないという感じだった。
だから俺はそれ以上何も言えなくて、やりきれない気持ちで自分の席に座った。
鞄から教科書を出す夏目さんをチラリと見てみる。やっぱり綺麗だと思った。












それから改めて意識して夏目さんを観察してみた。
噂で聞く夏目さんの人物像としては、清楚・おしとやか・クール・近寄りがたい・美人……こんなもんかな。でも実際よーく見てみると、若干ズレてんだよね。やっぱり噂はあくまでも噂だ。
例えば授業中。夏目さんは大抵寝てる。睡魔と闘ってるのはわかるんだけどいつも負けてるみたいだ。コクリコクリと頭が動いてはハッとして黒板を見るけど、また目が閉じてきて最終的に机に伏してしまう。
休み時間にそのことを言うと、夏目さんは恥ずかしそうに「寝るつもりはないんだけど」と苦笑した。うんうん、その気持ちすっげーわかる。
そのせいか、勝手に秀才のイメージつけてたけど、案外そうでもないようだ。今日交換した英語の小テストは半分くらい間違えていた。


それから、話しかけられれば答えるけど自分から誰かに話しかけようとはしない。休み時間はたいてい一人で本を読んでいるか寝ているかだ。
女子から嫌われてるとかいじめとか、そういうのは無さそうだけど……近寄りがたいのは本当かな。でも実際話してみればちゃんと返してくれるし、反応も普通の女の子だ。こういうところ、周りに見せていけば環境も変わるんじゃないかなー。友達だってたくさんできるのに。そうすれば、自然と笑顔だって……


「………」


帰りのHRの最中、ずっと見ていた夏目さんが急に顔を青くした。汗をかいて息苦しそうにしている。どうしたんだろうか。
HRが終わってすぐに声をかけようとしたら、夏目さんはそれよりも先に急いで教室を出て行ってしまった。
よく体調が悪くなるとは聞いていたけど、果たしてアレは体調の問題なのか。俺には何か別に理由があるように思える。
まあ……ウワサとは若干ズレはあっても、夏目さんが不思議なことは間違いないかな。




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