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緑と再会

インターハイの予選1回戦の帰り道。
何やら道行く人々がざわざわしてると思ってふと顔を見上げたら、リアカーを引く自転車に乗った男子学生2人がいた。そのうちリアカーの方に悠々と座っている緑頭に見覚えがある場合、私はどうしたらいいですか?


「名字!」


よし見なかったことにしようと私が結論づけたところで緑頭の彼がわざわざリアカーから降りて私のところにやってきた。
気付かないフリをしようとも考えたけども彼はかつてのイケメンランキング1位の男……無視なんてできなかった。くそ、学ラン超似合ってるかっこいい…!


「久しぶり、緑間くん。」
「久しぶりだな。」


彼の名前は緑間真太郎。元帝光バスケ部のキセキの世代の一人。
手にはイケメンとは不釣合いな招き猫。しかし私は驚かない。何故なら彼がおは朝占いの信者で、毎日必ずラッキーアイテムを携帯するということを知っているからだ。
最初見た時は「何だこの変人は」と思ったけど、今はキセキの世代の中で一番まともなのは緑間くんだと思ってる。


「背、伸びたね。」
「ああ……名字は変わらないな。いや、むしろ小さくなった気がするのだよ。」
「そりゃ緑間くんが伸びてるからでしょー。」


それにしても見れば見るほどかっこいいな緑間くん…。
学ランっていうのがまたたまらん。中学の時から緑間くんには学ランが似合うと思ってたんだよねー。学ランの高校に行ってくれてありがとう。


「なになに、真ちゃんの彼女!?」
「違う!中学の同級生なのだよ。」


私が緑間くんと話していると、自転車を漕いでいた方の男の子がリアカーを引き連れて近付いてきた。同級生かな。明るくて話しやすい感じの人だ。


「ども。俺高尾っス。」
「どうも。名字です。」


お名前は高尾くんというらしい。
ていうかちょっと、さっきスルーしちゃったけどこの人緑間くんのこと「真ちゃん」って呼んでたよね?


「緑間くん……」
「?」
「友達できて良かったね…!」
「……は?」


かつて緑間くんのことを「真ちゃん」だなんて馴れ馴れしく呼ぶ人なんていただろうか。いや、いない。
正直私心配だったんだよね、緑間くんが高校で友達できるか。慣れればいい人だってわかるけど、変人なうえにツンデレだからさあ。


「フン、こいつは下僕のようなものなのだよ。」
「あーはいはい。ツンいただきましたー。」
「ぶっは!何この子ちょーおもしれーんだけど!」


高校でも安定なツンデレ緑間くんにいつもの調子で返したら高尾くんに爆笑された。


「気にするな。こいつは笑いのツボがおかしいのだよ。」
「いや、むしろ気が合いそう。」
「はははっ、俺もそー思う!」
「緑間くんのことをよろしくお願いします。」
「いやいやこちらこそ。」
「やめるのだよ!」


初対面だけど高尾くんとは仲良くなれそうだ。
なんか緑間くんの友達としては新しいタイプだな。中学の時緑間くんと仲良かったのって……赤司くんくらいしか思いつかないなあ。
テツくんや青峰からはちょっと苦手とまで言われていた緑間くんがこんな明るいお友達を…。私は安心しました。せっかくこんなツッコミ所多い性格してるんだからいじってなんぼだよね。


「てか緑間くん、写真撮っていい?」
「は?」
「いや、緑間くんがあまりにもイケメンだから……観賞用として。」
「嫌なのだよ!」
「ぎゃははは!じゃー俺撮るからさ、二人並びなよ!」
「ほんと?ありがとー。」
「高尾……!」


あまりにも学ラン緑間くんがイケメンだったから私の携帯におさめようと思ったら高尾くんがツーショットを撮ってくれた。
なんてさり気なく気を遣える人なんだ…!うん、これなら緑間くんともうまくやっていけそう。
ノリ気じゃない緑間くんを二人してガン無視して高尾くんの携帯から「カシャ」っと音がする。
ふふ、嫌だと口で言ってはいても本気で嫌がってなんかないってこと、私にはわかるんだからね!


「ほい。これ送るからアドレス教えてくんね?」
「うん、私スマホだから緑間くんに聞いてもらえる?」
「わかった。じゃー後で送んね。」
「お願いします。」


おお、なんか成り行きで高尾くんのアドレスもゲットしてしまった。今度緑間くんの面白い姿写メってもらおー。


「そういえば名字は誠凛に行ったんだったな。」
「うん、そーだよー。」
「バスケ部のマネージャーをやるとは思っていなかったが……」
「あはは、まあ色々あってね。」
「……誠凛とは予選でいずれ当たることになるだろうが……残念だったな。俺が負けるという運命はありえない。」


写真の件はもう諦めたらしい緑間くんがよくわからない宣戦布告をしてきた。それ、マネージャーの私に言われてもさあ…。まあ緑間くんらしいけど。


「私は、今まで一度も勝ちに拘ったことはないけど……負けを決めつけたこともないよ。」
「………」
「いい試合をしようね。」
「……ああ。行くぞ高尾。」


正直私にとって勝ち負けは重要じゃない。勝利が全てだとは思わない。負けが悪いことだとも思わない。
というかお金がかかってるプロの世界じゃないんだし、学生の部活でそこまでこだわるのもどうかと思うわけですよ。
一応私もスポーツをやっていた身だから勝った時の嬉しさも負けた時の悔しさもわかってるつもりだ。でもそうやって一喜一憂できるのって、ちゃんと練習してきた人だけだと思うの。
……その点で言うと緑間くんは昔からブレなかったかな。


「あ、高尾くん。」
「ん?」
「緑間くんのこと、よろしくね。変だしマイペースだけど根は真面目でいい人だから。」
「…ん!わかってるよ!」
「ありがとう。」












「真ちゃん!名字ちゃん、めっちゃいい子じゃん!可愛いし!」
「無駄口叩く暇があるならもっと早く漕げ。」
「やっべー俺好きになっちゃうかも。」
「煩い黙れ。」








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