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黄の訪問


「そんで、あのさ……」
「? まだ何かあるんですか?」


神奈川にある海常高校から東京の誠凛までわざわざ挨拶に来た黄瀬くん。
「キセキの世代」を倒すと火神くんと宣言して、ひと段落したところで、黄瀬くんがそわそわし始めた。用が済んだのなら帰ってほしいんですけど……。黄瀬くんは落ち着かない素振りで体育館を見渡した。


「名前っちは……いないんスか?」
「……」


なるほど。どうやら名字さんを探していたみたいです。ていうか、名字さんが誠凛に行ったこと、黄瀬くんは知ってたんですね。


「名字さんは今買出し中です。あと30分くらいかかると思いますけど……電話しますか?」
「あっ、や……いっスわ。」
「……珍しいですね。いつもなら名字さんに飛びつくのに。」
「飛びつく!?」


帝光時代、黄瀬くんが名字さんにまとわりつく光景は見慣れたものでした。だから意外だった。彼が名字さんとの接触を遠慮するなんて。


「俺、名前っちにはフられてるからちょっと気まずいんスよね。」
「「「!?」」」
「黄瀬くんが名字さんにフられるのはいつものことじゃないですか。」
「ヒドッ!!」


いつものようにおどけて言ってみせたけれど黄瀬くんの真意はわからない。


「まあ、どうせ練習試合で会うし……今日のところは帰るっスよ。」











「名前ちゃん聞きたいことがあるんだけど!」
「え?あ、はい。」


買出しから帰ってきたら何やらすごい形相の先輩達に囲まれた。
リコさんを筆頭に日向先輩、コガ先輩、伊月先輩、水戸部先輩まで……。何これ、集団リンチですか?


「黄瀬涼太をフったって本当!?」
「……はい?」
「さっき、黄瀬くんが来たんです。」


先輩達に囲まれたかと思ったら何故か黄瀬っちの名前が出てきて困惑していた私に助け舟を出してくれたのはテツくん。
何でも私が買出しに行ってる間に黄瀬っちが来たらしい。練習試合が決まったから挨拶に来たんだって。
黄瀬っちって確か神奈川の海常でしょ?いくら近いと言っても県またいでまで会いに来るなんてどんだけテツくんのこと好きなの。


「で!何でフったの!?」
「モデルだぞ!?」
「イケメンだったぞ!?」


……で、何で私が黄瀬っちをフったみたいなことになってんの?確かに中三の時告白されて断ってはいるけど……。
黄瀬っちが自虐ネタにでも使ったのだろうか。だとしたらいい迷惑だ。そういうことで騒がれるのは好きじゃない。相手が黄瀬っち……大事な友人だから、尚更。


「黄瀬っちが何を言ったかは知りませんけど……そもそも黄瀬っちが本気じゃないんですよ。」
「え?」
「ほら、飼い主にじゃれる犬みたいな……そんな感じです。」
「犬!?」
「えー、でもあいつそんな感じじゃ……」
「そっかー、黄瀬っちと試合やるんだ。楽しみだね、テツくん。」
「……はい。」





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