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火の呼び方


マネージャーが新しく入った。
そいつの名前は名字名前。黒子と同じ中学で、元々バスケ部のマネージャーをしていたらしい。
まあ、マネージャーがいるに越したことはねェけどよ、やるつもりないヤツを勝負までして引き入れようとする必要も無いと思うんだけど。
そいつもキセキの世代みたいに何か秀でた能力があるのかと黒子に聞いてみても、「ありません」の一言。じゃあ何でそこまで固執すんのか聞いてみると、黒子の答えはこうだった。


「名字さんがいると、バスケが楽しくなるんです。」











こんにちは名字名前16歳です。
高校こそは家庭部で平穏ライフを送ろうと思っていたのに、結局バスケ部のマネージャーをやることになってしまいました。くそう。
だってテツくんの頼みとあれば断ることもできなくて。まあ、やると決めたら一生懸命やりますよ。
ここにはキセキの世代みたいにつまんないバスケする人はいないだろうし、何よりテツくんがいるし。
というわけで本日が初参加。HRが早く終わったからリコさんから部員リストをもらって一人一人の名前をチェック中です。帝光みたいに人数多いわけじゃないから今日中に顔と一致させないと。


「ちース。」
「あ、火神くんだ。」
「お。名字……だったか。」
「そだよー。」


舞台に座って部員リストを眺めてると火神くんが一番乗りで入ってきた。名前覚えててくれたんだ、嬉しいな。
しかし改めて見てみると……うん、かっこいい。緑間くんごめんよ、イケメンランキング1位は火神くんに変更します。


「何してんだ?」
「部員の名前覚えてるの。」
「ふーん。」
「火神くん……下の名前何て読むの?だいが?」
「たいがだ。」
「へー!トラみたいでかっこいいね。」
「そーか?」


大我と書いてたいがと読むのか。私は早速火神くんの名前の上に読み仮名をふった。


「親しみを込めてタイガーって呼んでいい?」
「おー。じゃあ俺も名前って呼ぶな!」
「!!」


ちょっとした冗談のつもりで言ってみたら思いのほか通じなくてマジレスが返ってきた。
ちょ、天然さん可愛い…!そしてサラっとイケメンに名前呼びされちゃったよっしゃ!
これに乗じて私もしっかり大我と呼ばせてもらおう。ふふふ。


「帝光中学でバスケ部のマネージャーやってたんだよな?」
「うん。」
「じゃあキセキの世代ってのも知ってんだろ?」
「まあ、うん。」
「どんなヤツらなんだ?」


どうやら大我はキセキの世代に興味津々らしい。
話を聞いてみれば大我はずっとアメリカでバスケしてたからこっちのバスケ事情には疎いみたい。まあ、『キセキの世代』なんてそんな大それた名前つけられたら気にもなるよね。


「うーんと……一言で説明できないくらい個性が強くてね……」
「バスケ強ェんだろ?」
「……」
「黒子に聞いてもあんま詳しいこと教えてくれなくてよ。どんなプレーヤーなんだ?」
「……私はプレーヤーじゃないから技術とかよくわかんないけど……好きか嫌いかで言ったら嫌いかな。」
「……?」


彼らの人となりだったらよく知ってるし喜んで教えてあげられるけど、プレーヤーとしての彼らは正直あまり好きではない。少し言い方を直すと、「好きではなくなった」。


「もともとバスケ部には強制的に入れられてさー。まあ、楽しかったけど。最後の試合は胸くそ悪かった。」
「……」
「だから絶対高校ではバスケに関わらず、青春を謳歌してやろうと思ってたんだけどなー。」
「黒子があんな執着すんのは意外だった。」
「ふふ、今回も逃げられなかったなー。」


そう、高校ではバスケとは無縁の生活を送ってやろうと思ってたんだけどね。強引なテツくんに落とされました、はい。


「なんか……悪ィな。」
「ううん、後悔してないよ。テツくんのバスケは好きだし、大我のバスケも好きだから。」
「そ、そうか。」


大我に言った通り後悔はしていない。数日間誠凛の練習を見ていて中学の頃とは違うってわかったし、元々テツくんのバスケは好き。それに大我のプレイも真っ直ぐで豪快で見てて気持ちいいしね。
みんなが頑張ってる姿を見てると、勝ってほしいなあって思うんだよね。


「何イチャイチャしてるんですか。」
「うぉわっ黒子!?」
「いいいつの間に!?」






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