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黒と再会


名字名前、15歳。この間高校の入学式を終え、現在女子高生ライフを満喫中である。
具体的にどう満喫しているのかと言うと、アルバイトに勤しんでいます。私の高校3年間はアルバイトに費やすと決めた。全ては福山さんのライブに行くため。


選んだアルバイトはカラオケのスタッフ。学校から私の家に行く途中にあるし、時給いいし、求人情報誌で見てすぐに電話した。
暇なんで毎日でも入りますと言ったら店長は笑顔で採用してくれた。
今日は学校終わりの16時から20時までのバイト。一応バイト前にお菓子は食べるけど、終わる頃にはお腹が悲鳴をあげている。そしてカラオケから私の家に行く途中にはマジバがある。
……行っちゃうよね。
こうやって太っていくんだとは思いつつも空腹に勝てるわけがなく、結局食べてしまう私は馬鹿野郎です。


「……名字さん?」


そんな罪悪感と一緒にてりやきバーガーを噛み締めていると、私の隣のテーブルに中学の同級生がいた。


「久しぶりです。」
「わー、テツくん久しぶり!」


彼の名前は黒子テツヤくん。中学の同級生だ。こんなに近くにいたのに気づかなかったのはテツくんの影が薄いせいだ。
テツくんは私の知らないお友達と一緒にいるみたいだったけど、懐かしさと嬉しさが勝って私は隣のテーブルに椅子を持って移動した。


「誰だ?」
「中学の同級生です。」
「中学……っつーと帝光か。」
「名字名前です。」
「彼は高校の同級生で、火神大我くんです。」


背がでかいから先輩かと思ったけど同級生みたいだ。
てか、ちょ、この人もろタイプなんですけど。硬派でかっこいい感じ……もろタイプなんですけど!やばい、イケメンランキング不動の1位、緑間くんを抜くかもしれない。
高校生活まだ1ヶ月も経ってないのに、もう友達とマジバとは……テツくんもなかなか高校生活をエンジョイしてるじゃないか。


「そーいえばテツくんってどこの高校行ったの?」
「誠凛です。名字さんはどこですか?」
「…………ん?」


ちょっと待ってテツくん今「誠凛」って言った?
え、誠凛ていう名前の高校、一つしかないよね?ていうか今更だけど、この学ラン見覚えある。


「私も誠凛なんだけど!」
「……そうだったんですか。」


もっと驚いて!私今すごく吃驚してるんだけど!知らずに中学の同級生と同じ高校通ってるとかどんだけ。
いや確かにテツくんとは中学の頃一回も一緒のクラスになったことはない。それでも会えば必ずお喋りしてたし、私は仲の良い友達だと勝手に思ってる。
進路の話は聞いてなかったけど、まさか同じ高校だったとは……。2週間も気づかずに過ごしてしまった。これもきっとテツくんの影が薄い所為だ。


「名字さん、一人ですか?」
「うん、バイト帰りなのー。空腹に勝てなくて。テツくんは?」
「僕達は部活帰りです。」
「……一応聞くけど、何部?」
「バスケ部です。」


ですよねー。テツくんが入る部活なんてバスケ部に決まってますよねー。なるほど、火神くんの背が大きいのはバスケやってるからか。
何故同じクラスになったことがないテツくんと面識があるのかというと、部活が同じだったからだ。つまり、私はバスケ部のマネージャーをやっていた。
と言っても私が入ったのは中学の2年からでほぼ強制入部だったんだけど。既に家庭部に所属していた私に対してバスケ部員が武力介入してきたのだ。そのトドメをさしたのがまさしくテツくんであり、しばらくテツくんを恨んだのも今ではいい思い出だ。


「名字さんは部活、どうしたんですか?」
「家庭部だよ。」
「………」


テツくんの水色の瞳がじーっと私を見つめる。
いつもは何考えてるかわからないテツくんだけど、何でかな、なんとなくこれから言われるであろうことがわかってしまう。


「名字さん……バスケ部のマネージャーをやってください。」
「いやです。」


ほらきた。
私は昔から悪い勘程よく当たる。なんとなくだったけどそんなことを言われるんだろうと思って、即答で断った。別にバスケは嫌いじゃないけど、最初に宣言した通り私の高校生活はアルバイトに費やすと決めたんだ。


「お願いします。」
「私の話聞いてた?家庭部に入ったし、バイトしてるんだってば。」
「辞めてください。」
「テツくんって結構無茶言うよね。」


テツくんは普段紳士的なくせに、結構な頑固者なんだよねー。こういう時はテコでも動かないのは中学時代に学習済みだ。
でもここで根負けしてしまったら中学の二の舞だ。私だって断固拒否しますよっと。


「大丈夫、暇な子なら私以外にもたくさんいるよ、きっと。」
「僕は名字さんじゃなきゃいやです。」
「!」


こ、の………天然タラシめ…!
何今の台詞!そこだけ聞いたらものすごくときめく台詞じゃないか。いやいやいや騙されるな私。いくらテツくんがかっこいいからってここで騙されちゃダメだ。


「とにかくやりません!」
「……わかりました。」


テツくんは私が出した答えに頷くと、その透き通る瞳に私を映してこう続けた。


「名字さん、勝負しましょう。」





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