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青と宿題

「おい名字勉強教えろ。」


さてそろそろ帰ろうかというところで青峰に止められた。
青峰が勉強教えろって……いったいどういう風の吹き回し?
確かに青峰の頭はヤバい。何がとか聞かれても困る。何故なら全てがヤバいから。バスケには人一倍熱いくせに勉強のこととなると向上心の欠片もない。
そんな青峰がテスト期間でもないのに勉強教えろなんて……どんな改心だ。


「数学の小テストで0点連発してたら特別課題もらった。」


アホすぎる。
数学は週に1回小テストがある。といっても1週間のおさらいといった感じで、問題は基本的なものばかり。0点取る方が逆に難しいと思うんだけど……ああ、こいつ解こうとしてないのか。


「これ出来ねェと部活停止とか言いやがるからよ。きたねーよな。」
「当然の処置ですね。」


もし私が教師の立場で、バスケバカの青峰にどうやって勉強やらせるかって考えたら、やっぱり同じ答えに行き着くと思う。


「つか、名字がこのプリントやってくれれば手っ取り早く済むんだけど。」
「ふざけんなそこになおれ。」


ここまできて他力本願とは、本当にバスケ以外適当すぎる。
こうなったら意地でも理解させてやる。次の小テストで3点は取れるようにしてやる。あ、いや満点は無理でしょ。













「だーかーらー、さっき公式教えたじゃん!」
「忘れた。」
「鶏以下の脳みそめ!」


私はナメていた……青峰の理解力の無さを…!プリントの一番最初の問題の時に教えた超簡単な公式を、4問解いてる間に忘れやがった…!3歩歩いてもいないのに忘れるなんて、鶏以下か。鶏もビックリだよ。


「もうやだ帰りたい……。」
「最後まで付き合えよ。次の問題は?」
「まず自分で考えるとかしてみたら?」


時計を見ると17時をまわっていた。最後の問題に辿りつくまでに1時間以上もかかるなんて……。せっかく部活がなくて早く帰れる日だったのに、青峰のせいで台無しだ。


「これもさっきみたいに……」
「お、こうか?」
「! そーそー、やればできるじゃん青峰!」


ただ公式にあてはめて計算していけば答えが出る問題だったけど、注目すべきはそれを青峰がやったということだ。
私今すごく感動してる!将来教師になろうかなってくらい感動してる!


「名字に教えてもらうのが一番わかりやすいわ。お礼に何か奢ってやるよ。」


そう言って無邪気に笑いながら私の頭を撫でる青峰に不覚にもキュンとしてしまった。
くそう、こいつもなかなかのイケメンなんだよな……アホだけど!


「ハーゲンダーツでお願いします。」
「よし、ゴリゴリ君な。」





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