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キセキと生理

私は生理痛が酷い。頭、お腹、腰……全てにくる。
生理が発覚したのは今朝。今は放課後、部活の時間。ほぼ5時間座りっぱなしだった私の腰はそろそろ爆発しそうだ。いやまじで。お腹の方もじわじわと痛みを増してきた。
生理とは約1年お付き合いしてるけど、毎回何でこんな痛い思いしなきゃいけないのかと思う。女ばっかり痛い思いするなんて不公平だ。男も何かあればいいのに。
……こうやってイライラして思考が荒むのも生理の症状の一つである。


そんな症状を少しでも軽減するために生理痛の薬がある。そんなありがたいお薬を忘れてきてしまった。だって生理に気づいたの出かける直前だったんだもん。ナプキン持っただけで満足しちゃうよね。


「さっきから腹押さえてるけど、いてーの?」


私の異変にまず気づいてくれたのは青峰だった。流石、2年間同じクラスなだけあるね。いい友達を持ったよ私は。


「我慢せずトイレ行ってこいよ。」
「青峰どっか行って。」


この無神経男めが!お腹押さえてる女子にトイレ行って来いって……まじありえないと思いませんか全国の女子の皆さん。生理だって察しない普通!?百歩譲ってわからなかったとしても女子に向かって「トイレ行ってこい」ってなくない!?
無性にイラッとしたから追い払うと、青峰は「んだよ、折角心配してやったのに」と口を尖らせて練習に戻っていった。
部活開始からまだ30分しか経ってない。部活終わるまで我慢できるだろうか……。いやいや弱気になるな私。これから先このくらいの苦難いくらだってある。ここで頑張らなきゃどうするんだ。


「名前っちーー!!」
「………」


決意した矢先、非常に煩い人が来て血管の2,3本切れた気がする。


「今の俺と黒子っちの見事な連携見てた!?俺、ダンク決めたんスよ!!」
「………」
「あ、その様子じゃ見てなかったんスね。でも大丈夫っス!名前っちのためにもっかいやるっス!」
「………煩いです。」
「!?」


きゃんきゃん犬のようにまとわりつく黄瀬っちを睨んだら大人しくなった。若干涙目になっていたのは気にしない。今の私に気にしてる余裕ない。


「名前ちんお腹痛いの〜?」


のっそりと私に近寄ったのはむっくん。アップが終わったところらしく、うっすら汗をかいている。
ちなみに私は大した運動もしてないくせにうっすらどころじゃなくぶわっと汗をかいている。


「大丈夫?」
「……うん、大丈夫。」


なんだかんだ、むっくんが一番私のことよく見てくれてると思う。この前だって体調悪いのに気づいてくれたし。


「いたいいたいのとんでけー。」
「!」


な、なななな……!


「とんでった?」
「とんでった!」


何この可愛い子!何この可愛い子!そりゃ飛んでくよバカっ!あーもう、何でこんなでかいのに可愛く見えるんだろう。テツくんぐらいのサイズだったら抱きしめてるところだよ…!











「………」


むっくんの癒し効果もものの10分もしないうちに切れて、部活開始から1時間。私の生理痛はピークを迎えていた。
動くのも辛い。ここまで辛いのは初めてかもしれない。きっと薬を飲んでいないからだ。
あと10分で休憩だからその隙に保健室に行って薬もらってこようそうしよう。だからあと10分……なんとか耐えるんだ、私…!


「どうしたんだ名字?」
「緑間くん……」
「…顔色が悪いな。風邪か?」
「ううん、大丈夫。」
「辛いなら今日は早退したらどうだ?」
「この後赤司くんとコーチと打ち合わせあるから……」
「ああ……なら少し休んでおけ。危なっかしくてしょうがないのだよ。」


まったくやれやれという感じに言ってくるけど、素直に心配だと言わないところが緑間くんらしいよね。私には緑間くんの優しさ、ちゃんと伝わってるよ!イケメンに心配されてニヤニヤしちゃうよ!


「うん、ドリンク作っちゃったら休憩するね。ありがとう。」
「別に礼を言われる筋合いはないのだよ。」


まったくもう素直じゃないんだから。
そんな言葉は押し込んで、もうひと踏ん張りだと立ち上がると、目の前がぐらっと揺れた。
立ちくらみ……まあ、よくあることだ。私は少しよろめきながらも目を瞑って、立ちくらみが治まるのを待つ。


「名前さん。」
「うわっ吃驚した!」


だんだん視界が正常に戻った頃、目の前にテツくんがいた。
私はいつになったらテツくんの登場に驚かなくなるんだろうか…。それにしても今のは不意打ちすぎた。危うく倒れそうだった。


「調子、悪いんですね?」
「え……ああ、でもだいじょう…」
「赤司くん。名字さんが調子悪いみたいなので保健室に連れて行きます。」
「!」


テツくんは「大丈夫」と言おうとした私の言葉を遮って私の手首を掴んだ。
スパルタな赤司くんにここまで堂々と伝えるなんて……ああもうテツくん男前すぎ!惚れそう!
でも問題は赤司くんだ。練習を中断されて怒らないだろうか。私はいつもの感じで対応できるけど、私のせいでテツくんが怒られるのは嫌だな。


「黒子、練習に戻れ。」
「でも…」
「名字の対応は俺がする。心配するな。」
「………」


え、何、私赤司くんに対応されんの?そんなん全力で遠慮しますが。そもそも保健室行かせてくれるんだったら一人で行くよ。
あ、ちょっと待ってテツくん私を赤司くんと二人だけにしないで!……という心の叫びは残念ながら届かず、テツくんは渋々練習に戻ってしまった。


「赤司くん、私一人で……」
「薬だろう?ほら。」
「……ん?」


ちょっと待っておかしいよ。よく考えてみて。
今、この男が平然と私に手渡したのは紛れもなく私が求めていたもの……そう、生理痛の薬だ。私にとっては非常にありがたいアイテムなのだが、ここで重要なことがある。何で赤司くんがこれ持ってんの?


「保健室は今日17時までだから先にもらっておいたんだ。」


なーるほど、赤司くんってば頭いいー!


「……じゃなくて!」
「いらないのか?生理なんだろう?」
「な、何で赤司くんが…!」
「見てればわかる。」


え……ええええ〜〜……もう、優しさに感動するとかすっ飛ばしてドン引きだよ。


「それ飲んで大人しくしていろ。あまりに酷かったら帰っていい。」
「……アリガトウ。」


赤司くん……ドン引きだよ。






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