krk | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -



黒子×ツンデレ女子A

「あの…」


昨日から私の頭の中にリピートされる透き通った声。
会うのは初めてで、名前もクラスも学年も知らない。だけどすごく気になった。何も知らないのに彼のことばかり考えてて、こう、胸の奥がきゅんとする。友達から借りた少女漫画を読んでいた時の感覚と似ている。
それってつまり、これが「恋」というものなんだろうか?










「あ、あのさ、この学校に水色の髪の毛で、こう…目がくりくりした男の子、見たことない?」


気になる人の名前も学年も知らないということで、早速聞き込み調査開始。
昨日あの瞬間に見た彼の特徴を余すことなく伝えてみても、返ってくる言葉は「知らん」ばかり。
おかしいな、水色の髪の毛なんてすごく目立ちそうなのにこうも知られてないとなると………幽霊!?いやいや、私は霊感ないぞ…!でも図書室って確かに出そうでもある……


「名前が男子のこと聞くなんて珍しいじゃん!なに、もしかして恋しちゃった?」
「ちっ、ちが…!」


自分で恋だと自覚しても、それを友達に知られるのはなんだか気恥ずかしくて私は必死に否定する。
慌てた様子の私を見て友達はニヤニヤと詰め寄ってくる。ああバレた。自分でもバレバレの反応だとわかってる。


「誰!?詳しく聞かせない!」
「〜〜〜っ」












「はあ……。」


結局あの後友達に洗いざらい吐いて、彼の詳しい特徴を教えても「知らん。今度見せて。」という結論に落ち着いた。見せる以前に、まずその人を見つけられないのですが。
廊下で人とすれ違う度に確認したり、窓の外を眺めてみたり、ドキドキするのを我慢して図書室まで行ってみてもいなかった。同じ学校にいてここまで見つからないなんて……いよいよ私は幻でも見ていたんだろうか?
もう今日は諦めて部活に行こう。部活を始めちゃえばきっと集中して考えなくて済む。


「あの…」
「!?」


すっかり私の頭に刻まれた透き通った声に、思わず勢いよく振り向いてしまった。
すると、そこには昨日の彼がいて、私を見ている。がっちり目が合ってる。途端に心臓がバクバクといい出して、顔に熱が集中する。
やっと会えた嬉しさやら、目が合ってるという恥ずかしさやら、なんかよくわかんなくなってきた。あれ?そもそも何で声かけてくれたんだろ…


「これ。昨日、忘れていきましたよ。」
「!」


彼が差し出したのは昨日私が借りようとしていた本だった。
そのタイトルを見て私は青くなり、思わずふんだくるようにその本を受け取ってしまった。
だって、借りようとしてた本が「正しい筋肉のつくり方」だなんて…!女らしさの欠片もない…!絶対引かれたようわあああどうしよう……


「…それ、面白かったですよ。参考になりました。」


それなのに、彼は私に笑いかけてくれて……う、わあ、こうやって笑うんだ…。


「あのっ……名前、は…?」
「……黒子テツヤです。」


今日、好きな人の名前を知れた。






next≫≫
≪≪prev