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黒子×ツンデレ女子@


私、名字名前は本当に可愛くない女だと思う。
例えば見た目。小さい頃からずっと野球をやってきて、高校ではソフトボール部に入ってるため常にショートヘア。普通の女の子と比べて日焼けもしてるし、筋肉もある。
それから性格。特別男勝りというわけじゃないけど、かといって女の子らしいかと言われればそれは違う。女友達の数人からは「男だったら付き合いたい」という評価をもらってる。
でも別に特に好きな人もいないし、今は部活が楽しいし……周りの友達みたいに彼氏がほしいとは思わない。
だってもし仮に私に彼氏ができたとして、その人と手を繋いだりちゅ、ちゅーしたりするのって……想像できないし、なんか自分が自分じゃないみたいで気持ち悪い…!
…何でこんなことを考えているのかというと、友達から借りた少女漫画を読んだからだ。今まで少女漫画読んだことないって言ったらありえないと言われて無理やり押し付けられたものだったけど、いざ読んでみると面白くて一気に読んじゃって、いわゆる「きゅんきゅん」して。だけどそれを自分に当てはめてみても違和感しかなくて。


「えーっと……」


そして本日、そんな雑念を払うために私は滅多に来ない図書室に来ていた。
図書室で本を借りるなんてこと初めてで、探すこと数十分。やっとお目当ての本を見つけることができた。
…が、なんと一番高いところにあるではないか。私はそこまで背が低い方じゃないけどそれでも女子なので、ギリギリ届かない。脚立は…見当たらない。……ちょっとジャンプすれば取れる、かな…


「んっ…!」
「あの……これですか?」
「!?」


私がお目当ての小説に向かって手を伸ばしていると背後から聞き覚えの無い声。後ろを振り返ってみると見たことのない男子生徒が立っていた。
恥ずかしいところを見られてしまったとかそういうことを考える前に、私の胸に得体の知れない衝撃が走った。


「……違いました?」


私に向けられた透き通った瞳に透き通った声。何か言わなきゃと思うけど私の口は金魚みたいにパクパクと動くだけ。
ていうか、ほんと、どうしよう、心臓バクバク言って死んじゃいそう…!


「あの…」
「〜〜〜〜っ」
「あっ…」


結局私は一言も発することなくその場を逃げた。
しばらく走って階段の踊り場でしゃがみ込む。いつまで経っても胸の動悸は治まらない。
むしろ、彼のことを思い出すとそれは激しくなる一方で………


『彼のことを想うと胸が痛いの―――…』


私は友達に借りた少女漫画のヒロインの言葉を思い出した。
もしかして、これは“恋”ではないでしょうか。






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