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大学生黄瀬

「名前、こっち来て。」
「んー?」


涼太の家でゼミの課題をやっていてそろそろ飽きたなーテレビでも見るかと立ち上がったところで、タイミングを見計らったかのようにソファで雑誌を読んでいた涼太が私を呼んだ。
雑誌に重し沿い記事でもあったのだろうか。丁度息抜きしたいと思ってたところだったし、隣に腰をおろしたら雑誌はたたまれて机の上に置かれてしまった。


「そっちじゃなくて、こっち。」
「……」


涼太は隣に座った私に対してファンが卒倒しそうな爽やかスマイルを浮かべながら自分の膝を指し示した。
なるほど…これは甘えたさんモードだ。つまり、イチャつきたいだけである。


「言っとくけど今日はしないからね。」
「…わかってるっスよ〜。」


実は昨日、晩御飯を作って一緒に食べてから帰る予定だったのをあれよあれよと流されて一晩泊ってしまったばかりなのだ。
干しっぱなしの洗濯物とゴミ出しの日を逃した償いは期間限定のプリンでしっかりしてもらった。
だから今日こそはちゃんと自分の家に帰って洗濯物を取り込まなきゃいけないのだ。午後からは雨が降るって天気予報で言ってた。ゴミは…明後日までの我慢だけど。


「どっこいしょ。」
「だーかーら、違うってば。」


テレビの方に体を向けて涼太の膝に手をつけば、違うと言われ脇を持たれた。
そしてそのままぐるんと回されて、目の前にはニコニコ顔の涼太。
私は今、涼太と向き合って膝に跨っている。
…なんかえろい体制だと思うのは私だけでしょうか?
文句を込めた視線で涼太をじっと見つめると、涼太は相変わらずニコニコしたまま目を瞑った。
多分キスをすればいいんだと思う。
腰はがっちりホールドされてて逃げられない…これはもう諦めるしかない。
睫毛長いなこんちくしょうと思いつつ、髪の毛が涼太の顔にかからないように耳にかける。
そして渇いた唇をひと舐めしてから涼太のそれを合わせる。
柔らかい。温かい。自分からするとより一層その感触が伝わってくる気がする。


「!」


唇を離そうとしたところで後頭部を掴まれて顔をぐっと引き寄せられた。
ぴったりと体が密着して、口内に舌が入り込んでくる。
抵抗してみても当然の如く力で敵うはずがない。
せめてもの抵抗で睨みつけてやろうと目を開けたら、至近距離で金色の瞳と視線が合う。
ああ、もう無理。止められない。


「ねえ名前…」
「…なに。」
「しよっか。」
「…この甘え上手め。」







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