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04

 
7月に入ってセミも鳴き始め、いよいよ夏本番。インターハイの時期やなあ。今年も稲荷崎は順調に勝ち進んでいる。


「治先輩こんにちは!」
「おー。」
「あ、角名先輩こんにちは。」
「そのついで感やめてくれる。」


角名と購買にアイス買いに行ったら、同じくアイスを買いに来たらしい名字と遭遇した。部活以外で名字に会うのは久しぶりや。


「治先輩もアイスですか?」
「おん。何買うた?」
「モウです!みかん味です!」
「ふーん。俺ソウにしよ。」
「私もソウと悩みましたー!」


何でもない会話をした後、名字は友達と一緒にはしゃいで教室に向かっていった。


「……」


何やろ、なんか今日の名字はいつもと違う感じがした。ポニーテールやからか?いや、部活ん時もポニーテールにする時はある。制服姿が見慣れんからやろか。そういえば名字の夏服を見るのは初めてや。


「名字いつもと雰囲気違ない?」
「……名字ってさ、あんな胸大きかったっけ?」
「……」


……それや。



+++



「治先輩こんにちは!聞いてください今日数学の小テスト満点でした!」
「……」


そして部活の時間。ジャージとTシャツに着替えた名字がいつものように俺に寄ってきた。思わず視線が胸にいってまう。あれ、そんな大きない。制服着てる時はもっと大きく見えたのに。


「……治先輩?」
「……おん。」
「ふふふふ!」


胸について考えこむ俺を名字が不思議そうに見上げたから誤魔化すように頭を撫でた。俺が胸をジロジロ見とったとは露知らず、名字は今日も幸せそうにはにかんだ。
その無垢な笑顔に多少の罪悪感を感じた。昼間のは見間違いやったんやろか。


「名前ー!」
「ひぎゃっ!」


俺が名字から離れた後で卯月の色気のない悲鳴が聞こえた。振り返ってみると友人と思われる女子に羽交い絞めされとった。


「もー……会う度やめてや、あっちゃん!」
「一日一回は名前のおっぱい触ろ思てて。」
「何やのそれ〜。」


よく見たら後ろから胸を鷲掴みにされていた。


「Eカップの恩恵受けたいやんか。」
「大きくてもええことないよー。」
「嫌味星人め!けしからん揉んでやる!」
「やーめーてーー!」


なんか、こうやって女子同士で乳繰り合っとるのってええなあ。そんなおやじ臭いことを思ってしまった。
いやそれより今Eカップ言った?え、名字Eカップなん。


「スポブラあんましすぎると垂れるで?」
「でも運動する時、普通のブラやと痛いんよ。」
「巨乳にしかわからへん苦労やなあ。」


……なるほど、部活の時はスポブラやったからそこまで大きないんか。
そうか……Eカップか。




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