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『っ!!』


何だ此処!初めて来たけどすごいぞ!そして色々すごいぞ!
何がすごいって看板娘の可愛さっ!!


今私たちはある団子屋にいる。

旅の途中の団子屋で休むために入ったここ
のれんをくぐった瞬間私に衝撃が走った


何ですかこのめんこい娘っ子は〜!?

お目目パーンだよお目目パーン!!

見てみなさいな、あのお客さんたちのデレデレっぷり!!

そして私のこのデレデレっぷり!!!


デュフフフフフ!!肌白っ!!お目目パッチリ!!笑顔が可愛いー!!!

食べちゃいたぁい。

ジュルリと涎を拭きながら団子を頬張る


その間も視線を反らさない私に隣に座っていた重弥さんが苦笑いする


「そんなに気になんなら話かけてみたらどうだ?」


え、やっだぁ!恥かしくてできないよぉ!!

いつになくシャイな私はいやんと自分を抱きしめるように腕をまわしてクネクネと動く


そうやって重弥さんとふざけてから再度その子を見るとバチリと思いっきり視線が合う

それでチャンスッッ!!と思って手をふるとすぐさま視線を反らされる


うえぃ!!めーそらされたー!!


テンションの高いまま落ち込むが、そんなんでへこたれる名前じゃないわよ!!

突き放されれば突き放されただけ燃えるわ!!


ギラギラと自分でも気持ち悪いくらいに少女を凝視して付け入る隙を探していると

それに気付いたサブと話していたはずの佐和さんの拳がゴツンと頭に下ろされる


うへぇ、暴力はんたーい


『佐和さん酷いっこの暴れん坊将め!』
「そんな事を言う口はこの口かい?」


私の頬をビヨーと伸ばす佐和さんに図星だろ〜うへへへと笑えばヒュォ佐和さんの纏う空気が冷たくなる

ば、バサラを使うのは反則ー!!


最近あれだよね、佐和さんったら私が戦闘慣れしてきたからって容赦ないよね、酷いよね。


佐和さんが本格的に私にバサラ技を繰り出す前にすぐに謝る


『すみませんでした。』
「…よろしい。」


あっぶねあっぶね、あの目は本気だった、やる気だった。

きっと鍛錬と称して私を力尽きるまで追い回す気だったよあの目は。

なんたって私は前科ありだよ!!


仕方ないから舐めまわすように見るのを止めて、眺めるだけにしておこう。


とほほと頬をこすりながら体勢を戻せば
私たちを何かを切望するような視線でみる少女と目が合う

しばらく少女と見つめ合っていたがっはと我に返ったのか厨房の方へ引っ込んでしまう


少女のその目がなんだか知っているもののような気がして小さく首を傾げる


気づけば長い事ここでワイワイしていたせいか私たち以外にお客はおらず、そのためか少女は箒を持って店の外へ行ってしまう


、あの目は…


胸の引っかかりを覚えつつ今行かないでいつ行くの?今でしょ!と心の中の先生が語りかけてきたので大量にある団子の皿から一皿取ってそのまま外へ向った





(あの目は、何だったかな……)


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