57




団子片手に外の長椅子に座ればッギョとした顔で私を見る女の子

えっへ、来ちゃったぁ♪ とか言おうと思ってたけどそんな雰囲気違うぞこれは。

ぜんか…おっと、先程なんだかシリアスな感じだったから…て、あれ?言うほどシリアスでもないな。

まぁ、兎に角あまりにも女の子がふざけることのできないような雰囲気を纏っているので何も言えなくなった。


『…』


なんでそんな顔をするの?
私たち前に会った事あったっけ?


色々聞きたい事があるけど女の子のあまりにも切ないその目に声に出す事に躊躇する。


掃除する筈に出てきたのであろうその子は掃除もせずに私の顔を見つめる
私もそれを見つめていたけど、なんだか気まずくて視線を足元に移す。


それで相手もっはとしたのかあの痛いほどの視線が外される


私たちの間にっざっざと箒で地面をはく音だけが響く


えぇぇ…気まずぅぅ
何これえぇぇ…!
な、何か、何か話しかけねば…!
折角仲良くなるために外に出てきたんだから!


意を決して口を開く


『えっと………私名前っていうんだけど…貴方は?』
「…………私は佐江と申します。」
『!そっか、佐江ちゃんか!!』


答えてくれたことが嬉しくて反らしていた視線を佐江ちゃんに向ける


『ねぇ!佐江ちゃんって呼んでもいい?』
「え、えぇ。」
『私のことは好きに呼んでね!!』


ふふんと鼻を鳴らしてから脇に置いてあった団子の串を掴み口に入れる

さっきまでのかたい雰囲気はどこやらえ、調子にのった私は次々と口を開いて話出す。


話し初めてしばらく始めの内は硬い表情だった佐江ちゃんも声を上げて笑ってくれるまでになった。

そこで、しばらく2人で話しをして一区切りついたので空になった団子の皿の傍に置いてあったお茶をすする


はぁ、と一息ついて顔を上げると何故か佐江ちゃんは悲し気な顔をしていた。


『どうしたの佐江ちゃん?』
「っあ、ん、私仕事中なのに…」
『あ!そっか、ごめんね。』


そういえば仕事中だったんだっけ、すっかり話しこんでしまっていた自分にケラケラ笑う

私が笑ったのを見て何処か安心したような顔をする佐江ちゃん

真面目だなぁ佐江ちゃん、さっすが佐江ちゃんだわぁ。


『まぁさ、ちょっと位いいでしょ、佐江ちゃんちゃんと掃除もしたんだから』


我ながら適当だなぁと思う
佐江ちゃんはそれにそっかと言ってップと2人で同時に噴き出す

なんだかそのノリが以前の女子高生だった頃のようだったので懐かしいその頃を思い出しながら、よいっしょと立ち上がる

それに続いて佐江ちゃんも一応話しながらも集めていた落ち葉やらゴミを捨てに行く

それを団子の皿と湯のみを手に持ちながら待つ

私が待っていたのに気づいたのか小走りでやってくる佐江ちゃんに笑いかける

佐江ちゃんもふわりと優しく笑い返してくれたので2人してニコニコしながら店の中に入って行った。





(久々に見たきみの笑顔に安心した)


58/63
prev | next

back

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -