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「う〜ん混んでるね〜」
『そだね。』


たどりついた、団子屋には沢山の人。

私とサブは2人して遠い目をしながら隅の方の開いている場所に座る


『こりゃぁ、2人を待たしちゃうね。』
「でも、多分佐和さんならわかってんじゃないかな」
『確かに』


確かに佐和さんならこの事もわかってそうだな。


しばらくすると、サブは隣の人と話始めてしまった。

サブのくせに、私を仲間外れにするなよ〜〜

そうやってぶうたれていると、私の隣にだれかが座った。

それは私より少し年上位の、でも子供で私は目が合ったので笑いかける。


『こんにちは、君もお使い?』


すると、少年は何も言わずコクリと頷く。

、、、表情が変わらない、私何かまずったかな?


『今日は天気がいいからお団子日和だね〜』


と、とりあえず何か話題を、と思い適当に話題をだす。


「それ、俺が使える屋敷の若様も言ってた。」


若干頬を緩めながら言う少年にっほとする。

よかった、答えてくれた。
と言うか、この年でもう働いているのか。

この戦国の世は、子供でもお屋敷に奉公に行っていたりする、ハードな世界だ。

だから、別段不思議な事じゃない。


『はは、その若様も私と同じで団子好きなんだね。』
「だから若様のためにここの団子買いに来た。」


そう言う少年の目は愛しいものを思うような目だ。


『へぇ、優しいね。』


そう言えば、驚いたように目を見開かせる少年。

え?なに?変なこと言った?


「それも、若様に言われた……でも、なぜそう思う?」


少年は私に問いただすような目を向けてくる。

なんとなく、その目が怖く感じた。
てか、その若様さっきから、私と意見が合うな。


『だって、その団子好きな若様のためにキミは態々ここに来たんでしょう?』
「だけど、、それは、、」


私がそう言えば今度は少年が戸惑いながらモゴモゴと口を動かす。


『キミがその若様に喜んでもらうために団子を買いにきたんでしょ。
ほら、やっぱりキミは優しいよ。』


そう言って私が自分で納得するが、まだ少年は納得してないみたいだ。


『じゃぁ、キミが若様に優しいと言われたのはどんな時なの?』


ここまで、自分が優しいって言われているのを認めないなんて、中々頑固者だ。


「、、、俺はただ、若様の相手をしただけだ。」
『じゃぁ、、若様はキミが相手してくれたのが嬉しかったんじゃない?
だから、相手をしたキミは優しいってなったんじゃない?』


若干投げやりに答える。
こういうのは言葉で伝えるのは難しいしよくわからない。

こんなに、自分の気持に疎いのは珍しいんじゃないか?


「でも、感情は捨てたのに。」


そんな独り言が聞こえて悲しくなる。

この世は戦乱の世、だから家庭の事情も色々あってきっと彼もそんな複雑な家庭で生きてきたのだろう


『人間、感情は捨てようと思って捨てられるもんじゃないでしょ。』


そう呟けば、勢いよくこっちを見てくる少年。

な、なんだよっ。私は変な事言ってないしっ。


『感情がないなんて言ったらそれは人間じゃない
だけどキミは人間なんだから、感情があって当然でしょ。』


生きてるんだから当然、そう付け足して言えば、微妙な顔をしている少年。

え?何コイツ痛いみたいに思われてんの?
確かに自分でも若干思ったけどさー。

そんな、あからさまに顔にだなくてもよくねー?
てか、顔に出るとかもう思いっきり感情あんじゃん、なんだよー私からかわれてたのかよー。

そうやって、不貞腐れているとっじっと黙ってこっちを見ていた少年が口を開く。


「じゃぁ、若様が俺を道具じゃないというのは何故だ。」


なんだよ、次は道具かい。

この子はいったい、私に何を求めてるんだ。


『それは、その若様はキミのことが大切だからだよ、
大切な人が自分を道具なんて言えば否定するよ。』
「大切……なら、俺はこれから若様にどうやって接したらいい?」


どんだけ、若様大切なのこの子?

相思相愛じゃん、おめでとー。


『優しく接したらいいんじゃない?
だけど、今のその話かたじゃだめだよ、もっと明るい話かたでさ。』
「明るい…」


淡々と話す少年に明るい印象はない。
だから、少年が若様と言うぐらいだまだ少年より年下の子供なんだろう。

なら、なおさら話方をフレンドリーにするべきだと思うよ、うん。


「それは「お待たせしました。」…」

少年が口を開いた瞬間、団子屋のお姉さんがやって来た。

タイミング悪いな…。

苦笑いしながらお姉さんから包んだ団子を受け取り
少年にも苦笑いを向ける。


すると、隣の人との話に夢中になっていたサブが団子が来た事に気付いた


「あ、やっと、団子来たんだ、じゃぁ行こっか。」


そうやって私の持っていた団子を持って立ち上がるサブ。


『っあ、じゃぁ私行かなきゃいけないから、じゃぁまたね。』


また、何か縁があれば会えるでしょ。

と少年に手を振ると、少年もかすかに振り返してくれた。





感情を捨てようとした少年


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