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こいつらが家にやって来て約2時間もうすぐ7時を回る
そろそろコイツらも帰らなければまらない。
こいつらの本命である名前はというと連絡したが返事はなくLINEは既読すらつかない。
「ねぇ〜幼馴染みちゃんからは連絡なしぃ〜?」
しつこく絡み付いてくる勘右衛門を払いのけてスマホの画面を開くが未だに既読は増えない
それを横から覗いた勘右衛門は大げさにため息をはいてぐたりとなる
「まぁまぁとりあえず俺らはそろそろ帰ろうぜ。」
ちょうどキリのいい所でゲームをやめた八左ヱ門は立ち上がって部屋の隅に置いてある鞄と上着をとる
駄々をこねる勘右衛門に苦笑いしながら雷蔵と兵助が勘右衛門の分の帰る準備をする。
それを見ているとふとスマホの画面を見てみると既読が一つ増えている
それを言おうと口を開いた瞬間室内に電子音がなる
見るとその音の発信源は机の上の雷蔵のスマホでその画面には名前と表示されている
「あ、名前」
「何々!?幼馴染みちゃん!?」
さっきまで駄々をこねていたの姿が嘘のように勘右衛門はすばやい動きでスマホをとり耳へと当てる雷蔵にはりつく
それをうっとおしそうにする雷蔵に勘右衛門を引っぺはがそうとするとそれより早く八左ヱ門と兵助が雷蔵にはりつく
「声、声聞かせて!」
勘右衛門の要求に余程うっとおしかったのか雷蔵は応じて通話をスピーカーへと変える
「名前?」
『うん。』
電話口から聞こえた名前の声に勘右衛門たちが小さく「女の子の声だ。」「女子…」「女子の声」と当たり前のことを言い合っている
「来る!?今から来るの!?」
「マジか!?何それ超緊張すんだけど!」
ワクワクと期待に体を揺らす勘右衛門たちに雷蔵は名前に「今どこ?」と問う
「友達ん家だけど…何かあったの?」
名前の言葉にガックリとうなだれるバカ3人
名前の声はどこかグッタリと疲れているようできっと今日はもう家に来ることはないだろう。
その後2.3言葉交わした雷蔵と名前だったがいざ、通話を切るという時にそれを勘右衛門が遮る
『ん?』
名前が訝し気な声を出す。それに雷蔵は勘右衛門が何か言う前にすばやく「何でもないよ。じゃぁね。」と電話を切る
「雷蔵ー!」
「勘右衛門、いい加減にしようか。」
勘右衛門へにここりと笑った雷蔵の目は決して笑っておらず「今日は名前のことは見れないし、明日にしてくれないかな」と全く疑問形になっていない台詞をいう
それに「勘衛門、また明日にしよう。」「ゲームだってあるしな。」と兵助と八左ヱ門がたたみかけるように言い
流石の勘右衛門も引きさがったのか「わかったよ。でも俺諦めないから!」と言って雷蔵から逃げるように部屋を出る
「はぁ、全くあいつらは……」
ため息を吐いて一応奴等を見送るために腰を持ち上げ雷蔵とともに玄関に向かった
明日も3人は家にやってくるのか。
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