人形 (4/27)



シャルはかっこよくて優しくて
何でもしてくれて
甘やかしてくれて
でもそれじゃ何にもできなくなっちゃうから
少し頭を冷そうと気持ちを伝えた。

今まで笑顔だったシャルの顔から
表情が消えた

ガンっと
椅子を蹴り倒され
床に放り出される

『え?』

何が起きたかわからなかった

髪を掴まれ顔を持ち上げられる
「誰にそそのかされたの?」
「好きな奴でもできたの?」

笑顔なのに冷たくて
汗が背中をつたうのがわかった

『ちがっう!誰にも何も言われてない!』

「誰?リン?アイラ?」
次々と友達の名前を上げていく
話したことない友達の名前まで
出てくることに
頭が真っ白になっていく

『な・・・んで』

「アラタの交友関係なんて
いくらでも知ってるし
ほんとは女ですら近づくのも嫌だけど
我慢してたんだ
アラタに気がある男も消してるよ?」

そういえば男友達もいたはずだが
全然連絡もなくなった

『けしたってなに・・・?』

「ただの男友達には脅しをかけたし
気があるようなやつは殺した。
アラタが何も思ってなくても
下心があるやつなんていっぱいなんだよ?」

殺した

シャルが何を言ってるのか
わからなくて
その言葉を理解すると
身体がカタカタと震える

「ねぇ聞いてる?」

髪をさらに引っ張られ
ぼーっとしていた思考が
現実に引き戻される

『・・・っ』

痛みに顔が歪む

「で?誰なの?」

ニコニコと爽やかな笑顔が
今はとても怖い

「言えないなら片っ端から
聞いて回ってもいいんだよ?」

フルフルと首をふるしか
できなかった

「そっ!じゃあもう離れるとか
別れるとか言わないよね?
言ったらアラタの周りの人間が
消えちゃうかもね」

『・・・うん』

良かった!と言う彼は
優しく抱きかかえた

椅子を蹴り倒して
髪を引っ張りあげる姿は
夢だったのだろうか


あれから何ヶ月たったのか

携帯も壊され
仕事もやめさせられた

一回1人で買い物に行こうとしたら
逃げようとしたとおもわれ
暴力を受けた

ごめんなさいと理由を話して
もうしないと懇願すれば


「勘違いさせるアラタが
悪いんだからね
俺はこんなに愛してるのに
殴ったりしてごめんね」
と優しく手当をしてくれた

どっちも本当の彼なんだろう

それからは1人でどこもいけないし
彼が仕事の時は閉じ込められるようになった



「おはようアラタ」

優しいキスが口に落ちてくる

『おはよう』
とキスを返せば
ほほ笑み優しく頭を撫でられた


何の意味があるかわからない涙が
頬をつたった



モドル


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