イルミ×元カノ (22/27)


イルミ×元カノ


仕事が終わり自分の家に帰宅すると
リビングから光が漏れている

「ねぇ、何でいるの?」

「おかえり」

自分の家の様にソファに座り
テレビを見ている男

「イルミ、聞いてる?」

問いかけを無視するイルミの邪魔をすべく
テレビの前に立つ
そうしてやっと答えてくれる

「なんでかって?
外で待つのも嫌だし
迎えに行ったらアラタ怒るでしょ」

「・・・違う!そうじゃない!」

「なに?」

「あたし昨日別れるって言ったよね」

「うん」

「なのに、なんで家にいるのか聞いてるの。
鍵も変えたのに!」

「俺別れるのに同意してない」

「何回も言ってるでしょ」

「うん。昨日で15回目。
でも1回も同意してないから
1回も別れてないよ」

涼しい顔で言うイルミの顔面に
パンチを食らわしたい
けれど一般人のあたしには
触れる事すらできないだろう

「で、なんでいつも
理由も言わずに別れるっていうわけ?
そろそろ理由教えてくれない?」

今まで一方的に別れを告げているだけで
理由を伝えたことは無い
こんな醜い感情をイルミに見せたくないから
それでも離れれるなら伝えてもいいのかもしれない

「・・・仕事でも女の人と
一緒にいるの嫌なの
そんな男の人とはいたくない」

女の人といる所を何回か見てしまった
それがたとえ仕事でも嫌なのだ

恐る恐るイルミの顔見ると
やはりいつもの無表情
呆れられたかもしれない
でももうそれでもいいや

「・・・それだけ?」

「え?」

「その理由だけ?」

「え、、うん」


それ以外に離れたい理由なんかない
あたしの醜い独占欲だ

「ふーん」

そのまま携帯を手に取りどこかに
電話をし出す

別れ話の最中に電話をかけるなんて
本当にあたしの事なんて
どうでもいいのかもしれない
惨めになり泣きそうになってしまう


「あ、母さん?
俺結婚するから女との仕事できなくなる。
うん。わかった。じゃぁね」

「え・・・?」

頬を伝いそうになっていた涙も
引っ込んでしまうぐらい
吃驚してイルミを見る


「これで別れる理由なんかないよね
結婚したらアラタが嫌がる
仕事しなくてよくなるし」

呆然とするあたしの腕を引っ張り
イルミの腕の中で閉じ込められる

「結婚して」

まだ混乱する思考
それでも返事は決まっている

「はい・・・」

抱きしめ返す
ぬくもりがじんわりと伝わってきて
幸せな気持ちでいっぱいになった



「あーよかった。
じゃ、早速俺の家いくよ」

「え、ちょっと早くない?!」

「母さん喜んでたから
すぐに連れてこいって」

「えぇっ!!?」



モドル


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