フィンクス×少女5 (19/27)


『フィンクス』

今日助けてくれた
ヒーローの名前を
忘れない様にと呟く

忘れるわけなんてないけれど。


弱い自分には
強いフィンクスが
拾った絵本でみた王子様に見えた

言われた通りに次の日の
夜に同じ場所に行くと
すぐにフィンクスが来てくれた

「フィンクス!」

「お前は夜でも目立つな……」

「ん、そうかな?」

くしゃくしゃと乱暴に撫でられる

「おらよ、食いもんだ」

袋に入った食べ物
パンやお肉がはいっている
ちゃんとした食べ物は
記憶にある限り初めてだった

口の中が唾液でいっぱいになる

「こ、これ食べていいの?!」

「おう、ってお前!
涎垂らすな!汚ねぇ!!」

「うー!
柔らかいパン!
お肉!おいしい!」

口に次々に食べ物をほうり込む

「おい、慌てんな!
おら!水飲め」

手渡された水はペットボトルに入っていて
泥なんか混じっておらず綺麗だった

ごくごくと飲むと
それはとても美味しくて
涙が出そうになった

「これ、どうしたの?」

「ガキは気にすんな!食え!」

「フィンクスもそんなに
変わらないでしょ?18歳くらい?」

「さぁな、自分の年齢なんてわかんねーな」

ふぅんと言いながら
有難くご飯を食べていると
フィンクスの手に怪我を負っていることに気がついた
それは少しだけの擦り傷

食べ物を食べ終えるとちょこんと
フィンクスの横に座る

「な、なんだよ」

「手痛い?」

怪我をしている場所を指差す

「あ?こんなの舐めときゃ治る」

「じゃ、お礼に治してあげる!
目瞑って!」

「お?おう」

言われた通りに目を瞑ってくれた
フィンクスの前に立ち唇にチュッと
キスをした

「なっ!!」

「えへへー!王子様にキスしたよ!
手見てみて!」

その手には傷はもうない
驚いた顔のフィンクスを前に
ふふんと自慢げに腕を組む

「すごい?!」

「お前、念能力使えるのか?」

「ネンノウリョク?
なにそれ?気が付いたらできるようになってたの!
でも他人に使ったのは初めてだよ!」

怖い顔で何かを考えてるように
腕を組んでいる

おーいと目の前でヒラヒラとすると
ガシッと腕を掴まれた

「・・・お前俺と暮らすか?
お前が住んでるとことたいして
変わんねーと思うがここより安全だろ」

「え!
フィンクスと?!」

驚いていると掴まれていた手が離された
掴まれていた場所が熱い

「悪ぃ、知らねぇ男となんて嫌だよな」

ギューっと勢いよく抱きつき
もう1度唇にキスをした

「おまっ!!!」

「嫌じゃないよ!!!
フィンクスに付いていく!!!」

抱きついたままのあたしを振りほどくことも無く
そのまま頭を撫でてくれた
その手が気持ちよくて目を細める

「荷物とかあんのか?」

「着替えが少しあるくらいかな?」

「服なんか新しいのやるよ
他は?」

「んーないかなー」

「じゃぁ、行くぞ」

「うん!!!」

大きな手にしがみつくように握った
どんなことが待っていようとも
フィンクスのそばにいたい
子供心にそう願った


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モドル


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