キルアの初恋 (14/27)


兄貴に無理矢理連れていかれて
何故か女と合わされた
兄貴と同じ黒髪で猫目の女

兄貴と一緒にいる奴だから
どうせろくな奴じゃないなんて思った

でも話してると同業者でもなく
ただの女でなんで兄貴なんかと
一緒にいるんだろうとただ疑問だった

アラタの前では感情なんてないと思っていた
兄貴が少し優しくなる

キルア君からキルアに呼び方が変わる頃には
俺もアラタに懐いていた

「アラター!ゲームしようぜ!」

「んーいいけど、勝たせてよ!」

仕事がない日は
兄貴がいない時にでも押しかけては
くつろぐようになっていた
アラタの膝を枕にするのが
俺のお気に入り

「キル、何でいるの?」

「げっ!」

兄貴の声に飛び起きると
アラタすぐに兄貴の元へ行く
「イルミ!おかえりなさい!!」


その顔はとても嬉しそうで
俺に見せる顔なんかと全然違って
何故かズキリと痛む

「キル、今度から俺がいない時に此処にきたら
訓練とメニュー増やすから
俺がいる時にしか来るな
わかった?」

すげぇ殺気を出してるのに
アラタは呑気に兄貴にくっつきながら
「いいじゃん!楽しいよ!」
なんて軽口を叩いてる
他の奴ならすぐに殺されてるだろう
アラタ以外にはとことん冷酷な兄貴だ

「キル、返事」

アラタの頭を撫でながらも
冷たい声で言い放つ

「わ、わかった!!
兄貴がいる時にしかこねぇよ!」

「そ、じゃ、3人でゲームでもする?」

ポンと閃いたかのように
胸の前で手を叩く

「ふふ、イルミってば
本当、キルアの事がすきだねー!
とらないよ!」

絶対に違うなんてことは口が裂けてもいえず
俺の癒しが・・・なんて思っていることが
兄貴にはバレてんだろな

ちょっとだけ痛むこの気持ちは
きっと初めての事で友達が欲しかった
あの頃の気持ちとは少し違う

兄貴を見て笑い頬を染めるアラタを見て
ふぅっと息を吐く

「じゃ、格闘ゲームしようぜ!!」

兄貴に悟られないように
この気持ちを心の奥へと閉じ込めた




モドル


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