イルミと待ち合わせ (12/27)


「おねーさん!今暇?」

イルミと珍しく外でご飯の約束をして
待ち合わせていると
男の人に声をかけられた

目も合わせず聞こえていないふりをする

「ねー無視しないでよ」

なんてニコニコと話しかけてくる。
これは君のためでもあるんだよと
内心思いながら無視を続けていると
ナンパ男も苛立ってきたのか
肩を掴んできたが
これっぽちも痛くない

「おい、無視してんじゃーねよ!」

「アラタお待たせ」

運の悪い男。
イルミが来る前にさっさっと
どこかに行けばよかったのに

「何コイツ。アラタの知り合い?」

無表情のままあたしを掴んでいる手を掴む
首を振ると男が悲鳴を上げ
うずくまろうとするが
それでもイルミは手を離さない

「アラタに触れたお前のこの手ちぎっていい?」

「や、やめて・・・ぎゃぁぁっ!」

男の腕を持っていない方の腕に
手を絡める

「イ、イルミ!お腹空いたから!
早く行こうよ」

「やめてあげて」なんて
男の味方をしてもいけない。

「お腹空いたの?じゃ、いこっか」

確実に腕の骨は折れただろう
男はうずくまったままうごかない

「アラタは優しいね」

「え?何で?」

唐突に言われる言葉に吃驚する

「アラタがあの男会話してたら
それこそ殺してた」

「あーうん。そうだね」

「ご飯の前に返り血なんて浴びたら
お店入れないしね。
俺のためにあの男と喋らなかったんでしょ」

少し天然なイルミの回答。

沈黙していると
「え?違うの?まさか
あの男のため?」

ピリッとする空気に
あ、やばいと思い
慌てて返事をする

「ううん!そのとおりだよ!」

「ふーん」

と少し纏う空気が優しくなる
ご機嫌になり予約しているお店へと向かった

時々変なところで
天然ぶりを披露してくれるイルミが
少し可愛いなんて思ってしまうのは内緒の話



モドル


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